27 / 132
第1幕 異世界転生失敗??? 悪霊 縄破螺編
魂は再び現世へ
しおりを挟む
「善朗君~~・・・その手に持ってるのって、まさかバン桃?」
空を飛びつつ、善朗の手を引っ張る乃華の後を追っていた伊予が、善朗の手に握られている桃に目をやる。
「・・・え~~とっ・・・なんかそんな感じのこといってましたけど・・・たべまっ。」
「バカじゃないですかッ!その桃の事、聞いてないんですか?!」
善朗が桃を羨ましそうに見る伊予に桃を上げようかと尋ねるや否や、乃華が烈火の如く、善朗を怒鳴りつけた。
「・・・すっ・・・すみませんっ!?」
善朗は乃華の怒りに怯えきって、謝る。
「バン桃ってぇ~・・・霊界でも、ものすごい高価な桃なんですよぉ~~・・・生きてる人間が食べると不老不死になるって言われてるぐらいぃ~。」
伊予が指を加えながら、知っていることを話す。
「・・・霊にとっては、これ以上ない回復薬なんですっ・・・きっと縄破螺と戦う時に善朗君の身体が万全であるようにって、渡してくれたんですよッ!」
どこか抜けている善朗にイライラしながら乃華が先を急ぐ。
「・・・とこさんが危険って・・・大丈夫なんですか?」
善朗は周囲の慌てている雰囲気に流されて、頭の片隅に流れてしまったとこさんの事を乃華に尋ねる。
「・・・・・・とこさん、結構無理したみたいで・・・危ない状況です・・・このままだと、魂が消滅してしますかも知れません・・・最悪は、縄破螺の邪念にけがされて怨霊になってしまうかも・・・。」
下唇を噛んで乃華が状況を善朗に話す。
「・・・そんなっ。」
とんでもない状況だとやっと分かった善朗が青ざめる。
「・・・まぁ、でもぉ~・・・バン桃があるんなら大丈夫だと思いますよぉ。」
どこまでも人事のように伊予が気の抜けた声で善朗に話す。
(・・・とこさん・・・善文を守ってくれようとしたんですよね・・・ありがとうございますっ・・・。)
善朗はバン桃を見ながら、とこさんの事を考える。
「・・・見えてきましたよッ!あそこが三途の川の出入り口ですっ!」
乃華が前方に見えてきた河岸について、大きな声で善朗に教える。
「伊予ッ、後はお願いッ!」
「えっ?!・・・ちょっとぉ~~、乃華チャーーーンッ!」
「ちょっと困りますよっ!身分証明書のご提示をッ!フリーパスはお持ちなんですかッ!」
乃華は三途の川の向こう岸の立ち込める深い霧に向かって、勢い良く突っ込んでいく。
その姿に三途の川を管理している職員が慌てて止めようとするが、遅れてきていた伊予をガードに使って、乃華達は霧の中へとお構いなしに突っ込んでいった。
「・・・・・・っ。」
善朗の目の前が霧によって、完全に視界を奪われる。
「・・・もうすぐですよっ、冥さんの気配を見失わないで下さいッ!」
目を閉じようとした善朗に乃華の指示が飛ぶ。
「・・・はいっ!」
善朗は乃華の言葉に返事をして、冥の気配に集中する。
善朗は目を閉じて、冥の事だけを考えて、先ほど頭の中に浮かんできたとこさんを心配そうに介抱する冥の姿を再び強く捉える。
「・・・・・・いたっ!」
「ッ?!」
乃華の声に反応して、善朗が目を開けると、ちょうど冥達の頭上に善朗達が現れる形となり、目下に気を失って冥の腕の中にぐったりしているとこさんの姿が、一番視界に入り込んで離れない。
「とこさああああああんッ!」
「善朗君っ!」
頭上から善朗がとこさんに叫ぶ。
その善朗の声に導かれるように冥が頭上を見上げて、善朗の名を叫んだ。
「とこさんっ・・・しっかりっ!」
善朗は乃華から少し乱暴に離れて、とこさんの傍に降り立った。
「・・・善朗君・・・ごめん・・・とこさんが・・・。」
危ない状況のとこさんの姿に冥が涙を堪えきれない。
「・・・・・・よし・・・ろう・・・くん・・・。」
とこさんが善朗の声に引っ張られるように意識を取り戻す。
「とこさんっ・・・殿がバン桃っていうすごいのくれたんだ・・・ゆっくりでいいから食べて・・・。」
善朗は持っていたバン桃の皮をむいて、小さく指で実をもぎとり、とこさんの口に無理やり押し込む。
「・・・・・・。」
とこさんは善朗から無理やり入れられたバン桃を口の中に含む。
その桃は溶けるような柔らかさで、かむ必要がないように口の中にさわやかな甘い味を広がらせる。溶けた桃の存在がノドを通ると、暑い夏にカラカラに乾いた身体に水が流し込む時に感じる胃から身体全体に水が行き渡る時のように、さわやかな開放感がとこさんの中に広がっていく。
「・・・善朗君・・・。」
とこさんは少し元気を取り戻して、善朗に手を伸ばす。
「・・・とこさん、まずはバン桃を食べて・・・じゃないと、俺が殿に叱られちゃうからっ。」
善朗は自分の手を握ろうとするとこさんの手にバン桃を渡して、殿からの指示を忠実に守ろうとする。
「・・・・・・。」
とこさんは善朗に渡されたバン桃を受け取るとそれを口に持っていく。
とこさんは一口、力なくバン桃をかじるが、もう一口かじると手に力が戻り、もう一口かじると上体を起こせるほど回復し、気付けばあっという間にバン桃がなくなってしまった。
「とこさんッ!」
元気を取り戻したとこさんの姿に冥が思わず抱きつく。
「・・・あぁ・・・冥さん・・・助けてくれてありがとう・・・。」
とこさんは寸前のところで助けてくれた冥に涙を流してお礼を言った。
「・・・すごい・・・。」
とこさんの凄まじい回復力に口を開けて驚く乃華。
「・・・・・・。」
善朗はとこさんの無事を確認すると、袋からもう一つのバン桃を取り出して、それを握り締めた。
〔キン~~ッ、コーーーーーンッ、カンッ、コーーーーーンッ!〕
学校の教室で未だに姿の見えない善文の空の机を美々子が眺めている。
美々子の耳には始業の鐘の音が響く。
「はーーーいっ、皆さん・・・それではまずは出席を取りますね・・・あらっ、義文君は来てないの?」
担任の先生が教室に入ってきて、教室を見渡すと、珍しく姿の見えない善文の机を見て誰とも無く尋ねる。
〔ガタッ〕
担任の声に促されるように美々子が席を立つ。
「・・・美々子ちゃん、どうしたの?」
突然立ち上がった美々子に不思議がる担任。
「・・・・・・。」
「ちょっ・・・ちょっと美々子ちゃんっ!」
美々子は誰かに導かれるように突然走り出し、教室を出て行く。
その姿に担任は時々不思議な行動を取る美々子の姿が重なり、慌てて声をかける。
「美々子ちゃーーーーんっ!!」
下駄箱に走り出す美々子の背後から担任の悲痛な叫び声が廊下に反響する。
(・・・善文君。)
美々子は急いで靴を履き替えると学校から抜け出して、善文の気配がする方へと当然かのように走り出した。
空を飛びつつ、善朗の手を引っ張る乃華の後を追っていた伊予が、善朗の手に握られている桃に目をやる。
「・・・え~~とっ・・・なんかそんな感じのこといってましたけど・・・たべまっ。」
「バカじゃないですかッ!その桃の事、聞いてないんですか?!」
善朗が桃を羨ましそうに見る伊予に桃を上げようかと尋ねるや否や、乃華が烈火の如く、善朗を怒鳴りつけた。
「・・・すっ・・・すみませんっ!?」
善朗は乃華の怒りに怯えきって、謝る。
「バン桃ってぇ~・・・霊界でも、ものすごい高価な桃なんですよぉ~~・・・生きてる人間が食べると不老不死になるって言われてるぐらいぃ~。」
伊予が指を加えながら、知っていることを話す。
「・・・霊にとっては、これ以上ない回復薬なんですっ・・・きっと縄破螺と戦う時に善朗君の身体が万全であるようにって、渡してくれたんですよッ!」
どこか抜けている善朗にイライラしながら乃華が先を急ぐ。
「・・・とこさんが危険って・・・大丈夫なんですか?」
善朗は周囲の慌てている雰囲気に流されて、頭の片隅に流れてしまったとこさんの事を乃華に尋ねる。
「・・・・・・とこさん、結構無理したみたいで・・・危ない状況です・・・このままだと、魂が消滅してしますかも知れません・・・最悪は、縄破螺の邪念にけがされて怨霊になってしまうかも・・・。」
下唇を噛んで乃華が状況を善朗に話す。
「・・・そんなっ。」
とんでもない状況だとやっと分かった善朗が青ざめる。
「・・・まぁ、でもぉ~・・・バン桃があるんなら大丈夫だと思いますよぉ。」
どこまでも人事のように伊予が気の抜けた声で善朗に話す。
(・・・とこさん・・・善文を守ってくれようとしたんですよね・・・ありがとうございますっ・・・。)
善朗はバン桃を見ながら、とこさんの事を考える。
「・・・見えてきましたよッ!あそこが三途の川の出入り口ですっ!」
乃華が前方に見えてきた河岸について、大きな声で善朗に教える。
「伊予ッ、後はお願いッ!」
「えっ?!・・・ちょっとぉ~~、乃華チャーーーンッ!」
「ちょっと困りますよっ!身分証明書のご提示をッ!フリーパスはお持ちなんですかッ!」
乃華は三途の川の向こう岸の立ち込める深い霧に向かって、勢い良く突っ込んでいく。
その姿に三途の川を管理している職員が慌てて止めようとするが、遅れてきていた伊予をガードに使って、乃華達は霧の中へとお構いなしに突っ込んでいった。
「・・・・・・っ。」
善朗の目の前が霧によって、完全に視界を奪われる。
「・・・もうすぐですよっ、冥さんの気配を見失わないで下さいッ!」
目を閉じようとした善朗に乃華の指示が飛ぶ。
「・・・はいっ!」
善朗は乃華の言葉に返事をして、冥の気配に集中する。
善朗は目を閉じて、冥の事だけを考えて、先ほど頭の中に浮かんできたとこさんを心配そうに介抱する冥の姿を再び強く捉える。
「・・・・・・いたっ!」
「ッ?!」
乃華の声に反応して、善朗が目を開けると、ちょうど冥達の頭上に善朗達が現れる形となり、目下に気を失って冥の腕の中にぐったりしているとこさんの姿が、一番視界に入り込んで離れない。
「とこさああああああんッ!」
「善朗君っ!」
頭上から善朗がとこさんに叫ぶ。
その善朗の声に導かれるように冥が頭上を見上げて、善朗の名を叫んだ。
「とこさんっ・・・しっかりっ!」
善朗は乃華から少し乱暴に離れて、とこさんの傍に降り立った。
「・・・善朗君・・・ごめん・・・とこさんが・・・。」
危ない状況のとこさんの姿に冥が涙を堪えきれない。
「・・・・・・よし・・・ろう・・・くん・・・。」
とこさんが善朗の声に引っ張られるように意識を取り戻す。
「とこさんっ・・・殿がバン桃っていうすごいのくれたんだ・・・ゆっくりでいいから食べて・・・。」
善朗は持っていたバン桃の皮をむいて、小さく指で実をもぎとり、とこさんの口に無理やり押し込む。
「・・・・・・。」
とこさんは善朗から無理やり入れられたバン桃を口の中に含む。
その桃は溶けるような柔らかさで、かむ必要がないように口の中にさわやかな甘い味を広がらせる。溶けた桃の存在がノドを通ると、暑い夏にカラカラに乾いた身体に水が流し込む時に感じる胃から身体全体に水が行き渡る時のように、さわやかな開放感がとこさんの中に広がっていく。
「・・・善朗君・・・。」
とこさんは少し元気を取り戻して、善朗に手を伸ばす。
「・・・とこさん、まずはバン桃を食べて・・・じゃないと、俺が殿に叱られちゃうからっ。」
善朗は自分の手を握ろうとするとこさんの手にバン桃を渡して、殿からの指示を忠実に守ろうとする。
「・・・・・・。」
とこさんは善朗に渡されたバン桃を受け取るとそれを口に持っていく。
とこさんは一口、力なくバン桃をかじるが、もう一口かじると手に力が戻り、もう一口かじると上体を起こせるほど回復し、気付けばあっという間にバン桃がなくなってしまった。
「とこさんッ!」
元気を取り戻したとこさんの姿に冥が思わず抱きつく。
「・・・あぁ・・・冥さん・・・助けてくれてありがとう・・・。」
とこさんは寸前のところで助けてくれた冥に涙を流してお礼を言った。
「・・・すごい・・・。」
とこさんの凄まじい回復力に口を開けて驚く乃華。
「・・・・・・。」
善朗はとこさんの無事を確認すると、袋からもう一つのバン桃を取り出して、それを握り締めた。
〔キン~~ッ、コーーーーーンッ、カンッ、コーーーーーンッ!〕
学校の教室で未だに姿の見えない善文の空の机を美々子が眺めている。
美々子の耳には始業の鐘の音が響く。
「はーーーいっ、皆さん・・・それではまずは出席を取りますね・・・あらっ、義文君は来てないの?」
担任の先生が教室に入ってきて、教室を見渡すと、珍しく姿の見えない善文の机を見て誰とも無く尋ねる。
〔ガタッ〕
担任の声に促されるように美々子が席を立つ。
「・・・美々子ちゃん、どうしたの?」
突然立ち上がった美々子に不思議がる担任。
「・・・・・・。」
「ちょっ・・・ちょっと美々子ちゃんっ!」
美々子は誰かに導かれるように突然走り出し、教室を出て行く。
その姿に担任は時々不思議な行動を取る美々子の姿が重なり、慌てて声をかける。
「美々子ちゃーーーーんっ!!」
下駄箱に走り出す美々子の背後から担任の悲痛な叫び声が廊下に反響する。
(・・・善文君。)
美々子は急いで靴を履き替えると学校から抜け出して、善文の気配がする方へと当然かのように走り出した。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。
Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。
最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!?
ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。
はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切)
1話約1000文字です
01章――バトル無し・下準備回
02章――冒険の始まり・死に続ける
03章――『超越者』・騎士の国へ
04章――森の守護獣・イベント参加
05章――ダンジョン・未知との遭遇
06章──仙人の街・帝国の進撃
07章──強さを求めて・錬金の王
08章──魔族の侵略・魔王との邂逅
09章──匠天の証明・眠る機械龍
10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女
11章──アンヤク・封じられし人形
12章──獣人の都・蔓延る闘争
13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者
14章──天の集い・北の果て
15章──刀の王様・眠れる妖精
16章──腕輪祭り・悪鬼騒動
17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕
18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王
19章──剋服の試練・ギルド問題
20章──五州騒動・迷宮イベント
21章──VS戦乙女・就職活動
22章──休日開放・家族冒険
23章──千■万■・■■の主(予定)
タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。
超越者となったおっさんはマイペースに異世界を散策する
神尾優
ファンタジー
山田博(やまだひろし)42歳、独身は年齢制限十代の筈の勇者召喚に何故か選出され、そこで神様曰く大当たりのチートスキル【超越者】を引き当てる。他の勇者を大きく上回る力を手に入れた山田博は勇者の使命そっちのけで異世界の散策を始める。
他の作品の合間にノープランで書いている作品なのでストックが無くなった後は不規則投稿となります。1話の文字数はプロローグを除いて1000文字程です。
人質から始まった凡庸で優しい王子の英雄譚
咲良喜玖
ファンタジー
アーリア戦記から抜粋。
帝国歴515年。サナリア歴3年。
新国家サナリア王国は、超大国ガルナズン帝国の使者からの宣告により、国家存亡の危機に陥る。
アーリア大陸を二分している超大国との戦いは、全滅覚悟の死の戦争である。
だからこそ、サナリア王アハトは、帝国に従属することを決めるのだが。
当然それだけで交渉が終わるわけがなく、従属した証を示せとの命令が下された。
命令の中身。
それは、二人の王子の内のどちらかを選べとの事だった。
出来たばかりの国を守るために、サナリア王が判断した人物。
それが第一王子である【フュン・メイダルフィア】だった。
フュンは弟に比べて能力が低く、武芸や勉学が出来ない。
彼の良さをあげるとしたら、ただ人に優しいだけ。
そんな人物では、国を背負うことが出来ないだろうと、彼は帝国の人質となってしまったのだ。
しかし、この人質がきっかけとなり、長らく続いているアーリア大陸の戦乱の歴史が変わっていく。
西のイーナミア王国。東のガルナズン帝国。
アーリア大陸の歴史を支える二つの巨大国家を揺るがす英雄が誕生することになるのだ。
偉大なる人質。フュンの物語が今始まる。
他サイトにも書いています。
こちらでは、出来るだけシンプルにしていますので、章分けも簡易にして、解説をしているあとがきもありません。
小説だけを読める形にしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる