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47.永遠の愛を誓う
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あっという間に季節は巡り、王国には実り豊かな秋が訪れた。
いよいよ俺たちの婚儀が行われる日がやって来たわけだが、朝から空は清々しいほどよく晴れて、見事な秋晴れを見せている。
純白の花婿衣装を身にまとい、綺麗に髪をセットして顔にほんのり化粧を施されたエドワードは、見蕩れてしまって咄嗟に何も言葉が出なくなるくらい美しかった。
この世の宝石を全部かき集めても、彼の内側から輝くような美しさの前では、きっと霞んでしまうだろう。
エドワードも、花婿らしく純白の華やかな装いをした俺に見蕩れてくれたようで、しばらく無言で見つめ合う時間が続いた。
「……綺麗だ」
言いたいことはたくさんあったのに、口から出てきたのはその一言だけだった。そこに込められた万感の思いを感じ取ったのか、エドワードは白い頬を染めて嬉しそうに微笑む。
「ありがとう。君も素敵だ」
「ふふ、嬉しいな。愛しているよ、エドワード」
「ん……ウィリアム、私も愛している」
エドワードの体を抱き寄せ、そっと指を絡める。唇が触れてしまいそうな距離で、内緒話をするみたいに小さな声で喋りながらいちゃいちゃしていたら、婚儀のための身支度を手伝ってくれた若い侍女たちが、それを見て頬を赤らめていた。
「エドワード殿下、ウィリアム様。お時間でございます」
侍従に声をかけられ、俺たちは手を繋いで婚儀の間に向かった。
純白の生地に絢爛な金刺繍が入ったエドワードと俺の花婿衣装は、パッと見たときの印象は異なるものの、細部のデザインがさりげなく揃っているので、全体的な統一感があって素晴らしい。
隣に並ぶと互いの美しさがさらに際立つようで、婚儀の間に入って奥の祭壇まで腕を組んで歩いているとき、あちこちから「ほぅ……」と感嘆のため息が聞こえてきた。
ちょっと緊張するけど、この婚儀を終えたらエドワードと正式な伴侶になれるんだって思うと、嬉しくて胸が熱くなる。
俺たちは王族の方々や多くの高位貴族たちに見守られながら、永遠の愛を誓い、そっと唇に触れるだけの口付けを交わした。
ゆっくり唇を離した後、大輪の花が綻ぶみたいに幸せそうに微笑んだエドワードの顔を、俺は生涯忘れることはないだろう。
婚姻の儀式は厳かに進み、つつがなく終了した。俺たちは大きな歓声と拍手に包まれながら、手を繋いで婚儀の間から退出した。
婚儀の後は二時間ほど昼休憩を取ってから、エドワードと一緒に結婚パレードと称して王都を巡るのだ。屋根のない豪奢な造りの馬車に乗り、国民たちの大歓声に手を振って応える。
俺たちの結婚が多くの人々に祝福されてることを実感して嬉しかったし、王太子配としての自覚が深まると同時に、気も引き締まった。
夕方からは王宮で祝宴が開かれた。
俺とエドワードは祝宴の前に湯浴みを済ませ、華やかで上品ながらも婚礼衣装よりは随分とラフなデザインの礼服に着替えている。
来賓たちが次々とお祝いの言葉をかけてくれるものだから、祝宴が始まってしばらくは慌ただしい時間が続いた。
その後は気が済むまで祝宴を楽しんでいいことになっていたので、俺はエドワードと一緒に王族席に座って宮廷料理の美味しさに舌鼓を打つ。
この世界の成人年齢は十八歳。お酒も飲もうと思えば飲めるんだけど、俺たちはふたりとも飲んでいない。
夜も更け、酔いが回ってきたのか来賓たちがどんちゃん騒ぎを始めた頃、俺はそっとエドワードの手を取ってホールを抜け出した。
いよいよ俺たちの婚儀が行われる日がやって来たわけだが、朝から空は清々しいほどよく晴れて、見事な秋晴れを見せている。
純白の花婿衣装を身にまとい、綺麗に髪をセットして顔にほんのり化粧を施されたエドワードは、見蕩れてしまって咄嗟に何も言葉が出なくなるくらい美しかった。
この世の宝石を全部かき集めても、彼の内側から輝くような美しさの前では、きっと霞んでしまうだろう。
エドワードも、花婿らしく純白の華やかな装いをした俺に見蕩れてくれたようで、しばらく無言で見つめ合う時間が続いた。
「……綺麗だ」
言いたいことはたくさんあったのに、口から出てきたのはその一言だけだった。そこに込められた万感の思いを感じ取ったのか、エドワードは白い頬を染めて嬉しそうに微笑む。
「ありがとう。君も素敵だ」
「ふふ、嬉しいな。愛しているよ、エドワード」
「ん……ウィリアム、私も愛している」
エドワードの体を抱き寄せ、そっと指を絡める。唇が触れてしまいそうな距離で、内緒話をするみたいに小さな声で喋りながらいちゃいちゃしていたら、婚儀のための身支度を手伝ってくれた若い侍女たちが、それを見て頬を赤らめていた。
「エドワード殿下、ウィリアム様。お時間でございます」
侍従に声をかけられ、俺たちは手を繋いで婚儀の間に向かった。
純白の生地に絢爛な金刺繍が入ったエドワードと俺の花婿衣装は、パッと見たときの印象は異なるものの、細部のデザインがさりげなく揃っているので、全体的な統一感があって素晴らしい。
隣に並ぶと互いの美しさがさらに際立つようで、婚儀の間に入って奥の祭壇まで腕を組んで歩いているとき、あちこちから「ほぅ……」と感嘆のため息が聞こえてきた。
ちょっと緊張するけど、この婚儀を終えたらエドワードと正式な伴侶になれるんだって思うと、嬉しくて胸が熱くなる。
俺たちは王族の方々や多くの高位貴族たちに見守られながら、永遠の愛を誓い、そっと唇に触れるだけの口付けを交わした。
ゆっくり唇を離した後、大輪の花が綻ぶみたいに幸せそうに微笑んだエドワードの顔を、俺は生涯忘れることはないだろう。
婚姻の儀式は厳かに進み、つつがなく終了した。俺たちは大きな歓声と拍手に包まれながら、手を繋いで婚儀の間から退出した。
婚儀の後は二時間ほど昼休憩を取ってから、エドワードと一緒に結婚パレードと称して王都を巡るのだ。屋根のない豪奢な造りの馬車に乗り、国民たちの大歓声に手を振って応える。
俺たちの結婚が多くの人々に祝福されてることを実感して嬉しかったし、王太子配としての自覚が深まると同時に、気も引き締まった。
夕方からは王宮で祝宴が開かれた。
俺とエドワードは祝宴の前に湯浴みを済ませ、華やかで上品ながらも婚礼衣装よりは随分とラフなデザインの礼服に着替えている。
来賓たちが次々とお祝いの言葉をかけてくれるものだから、祝宴が始まってしばらくは慌ただしい時間が続いた。
その後は気が済むまで祝宴を楽しんでいいことになっていたので、俺はエドワードと一緒に王族席に座って宮廷料理の美味しさに舌鼓を打つ。
この世界の成人年齢は十八歳。お酒も飲もうと思えば飲めるんだけど、俺たちはふたりとも飲んでいない。
夜も更け、酔いが回ってきたのか来賓たちがどんちゃん騒ぎを始めた頃、俺はそっとエドワードの手を取ってホールを抜け出した。
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