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11.目の前に壁を作れるなら足元に床を貼れるはず
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ドラゴン討伐の作戦を説明します。
第一段階。ドラゴンガード南、サグラダ丘に対竜砲を装備した砲兵と砲兵を守る兵士を配置。
第二段階。囮の斥候部隊がドラゴンを第一段階の陣地まで誘導。
第三段階。私がドラゴンの飛行能力を無力化させ地面に墜とす。
第四段階。砲兵の一斉射撃で討伐。
第五段階。家に帰る。
以上!
文章にすると簡潔だけどやってることは偉業なんよね。人にとっても私にとっても。
古今東西ドラゴンを倒した英雄の話はあれど、ドラゴンを定期的に殺すのはどこを探しても、ここドラゴンガードくらい。他かの地域から来た人には信じられないだろうね。
そして私が参加しない場合の作戦は、第三段階がドラゴンが地面に下りるまで持久戦に変わる。いやだね消耗戦は、そりゃ首長も嫌がるよ。
サグラダ丘。
「いやーこうして見ると圧巻だね」
等間隔で並べられた火砲、動きの乱れぬ兵士たち。こう軍隊!って感じがして好き。
「先生に褒められるとは、我々も鼻が高い」
このおじさんに片足突っ込んだちょび髭の軍人、今回のドラゴン討伐の指揮官のヘラー・バジルール君。彼は貴族出身の軍人で能力も高い、ちょっとお腹は出てるけどね。
貴族の割に私の事は先生呼びなのは、彼が子供の頃に家庭教師のアルバイトした時の生徒。当時は貧乏で私くらいしか雇えなかったんだよね、世の中世知辛い。でも貧乏貴族からバリバリの武闘派貴族に一代で上り詰めたのだから大したものだ。
まあ彼の兵士達、特に新顔の面々は私に忌避的だ。私がエルフなのもあるけど、大体が「一人でドラゴンを撃ち落とすなんて無理でしょw」って意味合いが強い。
きっとベテラン達が有ること無い事吹き込んだのでしょう。特に私が街に来た時、門番やってた奴とか。なにが「山賊が占領した砦を粉微塵に吹き飛ばした」だの「吸血鬼を素手でねじり殺した」だの「家を錬金術で吹っ飛ばした」だのあること無いこと言っちゃって、もう年なんだから引退してください。
「斥候部隊から連絡です。誘因成功とのことです」
「総員戦闘準備!」
ヘラー君の号令で兵士たちに緊張の糸が走る。それに合わせて私もドラゴンを墜とす準備に入る。
変性魔法の合わせ技、自分の体重を軽くして何もない空間に足場を作り空へ上っていく。
本来の変性魔法は防御よりの魔法、魔力の障壁を作ったり、物を浮かせ飛ばしたり、鉱石を別の鉱石へ変えたり、魔力を集め変化させ放出し飛散させる事が本質。
私のように空中を”歩く”と言う使い方は滅茶苦茶驚かれた。空を飛ぶなら自分を浮かせればいいからね。でも物を浮かせるのと障壁を出すのとでは後者の方が難易度が低い。何でもかんでもリソースは小さい方がいいのだ。
ドラゴンの飛行高度とだいたい同じ高さまで登ってきた私は、そのまま魔法を解除して落下傘無しのフリーフォールを楽しむ。その間に私の落下予定地には大きな魔方陣が表れる。
この三重の魔法陣は怪しく輝きながら回転して、私を受け止めると内側の魔方陣が大きく沈み込んで、外側の魔法陣がドラゴンの居る方向へと垂直に向く。
簡単に原理を説明するなら、この魔法陣は大きなトランポリン。私と言う弾をドラゴンヘ発射する射出装置。
「イヤッッホォォォオオォオウ!」
スリルと爽快感は随一、安全は自己責任で。
飛びながら下を確認すると今回初陣の兵士たちが「なにあれ」って顔したままフリーズしてる。まあそうよね、対してベテラン勢はそんな新兵たちを見て爆笑してた。
第一段階。ドラゴンガード南、サグラダ丘に対竜砲を装備した砲兵と砲兵を守る兵士を配置。
第二段階。囮の斥候部隊がドラゴンを第一段階の陣地まで誘導。
第三段階。私がドラゴンの飛行能力を無力化させ地面に墜とす。
第四段階。砲兵の一斉射撃で討伐。
第五段階。家に帰る。
以上!
文章にすると簡潔だけどやってることは偉業なんよね。人にとっても私にとっても。
古今東西ドラゴンを倒した英雄の話はあれど、ドラゴンを定期的に殺すのはどこを探しても、ここドラゴンガードくらい。他かの地域から来た人には信じられないだろうね。
そして私が参加しない場合の作戦は、第三段階がドラゴンが地面に下りるまで持久戦に変わる。いやだね消耗戦は、そりゃ首長も嫌がるよ。
サグラダ丘。
「いやーこうして見ると圧巻だね」
等間隔で並べられた火砲、動きの乱れぬ兵士たち。こう軍隊!って感じがして好き。
「先生に褒められるとは、我々も鼻が高い」
このおじさんに片足突っ込んだちょび髭の軍人、今回のドラゴン討伐の指揮官のヘラー・バジルール君。彼は貴族出身の軍人で能力も高い、ちょっとお腹は出てるけどね。
貴族の割に私の事は先生呼びなのは、彼が子供の頃に家庭教師のアルバイトした時の生徒。当時は貧乏で私くらいしか雇えなかったんだよね、世の中世知辛い。でも貧乏貴族からバリバリの武闘派貴族に一代で上り詰めたのだから大したものだ。
まあ彼の兵士達、特に新顔の面々は私に忌避的だ。私がエルフなのもあるけど、大体が「一人でドラゴンを撃ち落とすなんて無理でしょw」って意味合いが強い。
きっとベテラン達が有ること無い事吹き込んだのでしょう。特に私が街に来た時、門番やってた奴とか。なにが「山賊が占領した砦を粉微塵に吹き飛ばした」だの「吸血鬼を素手でねじり殺した」だの「家を錬金術で吹っ飛ばした」だのあること無いこと言っちゃって、もう年なんだから引退してください。
「斥候部隊から連絡です。誘因成功とのことです」
「総員戦闘準備!」
ヘラー君の号令で兵士たちに緊張の糸が走る。それに合わせて私もドラゴンを墜とす準備に入る。
変性魔法の合わせ技、自分の体重を軽くして何もない空間に足場を作り空へ上っていく。
本来の変性魔法は防御よりの魔法、魔力の障壁を作ったり、物を浮かせ飛ばしたり、鉱石を別の鉱石へ変えたり、魔力を集め変化させ放出し飛散させる事が本質。
私のように空中を”歩く”と言う使い方は滅茶苦茶驚かれた。空を飛ぶなら自分を浮かせればいいからね。でも物を浮かせるのと障壁を出すのとでは後者の方が難易度が低い。何でもかんでもリソースは小さい方がいいのだ。
ドラゴンの飛行高度とだいたい同じ高さまで登ってきた私は、そのまま魔法を解除して落下傘無しのフリーフォールを楽しむ。その間に私の落下予定地には大きな魔方陣が表れる。
この三重の魔法陣は怪しく輝きながら回転して、私を受け止めると内側の魔方陣が大きく沈み込んで、外側の魔法陣がドラゴンの居る方向へと垂直に向く。
簡単に原理を説明するなら、この魔法陣は大きなトランポリン。私と言う弾をドラゴンヘ発射する射出装置。
「イヤッッホォォォオオォオウ!」
スリルと爽快感は随一、安全は自己責任で。
飛びながら下を確認すると今回初陣の兵士たちが「なにあれ」って顔したままフリーズしてる。まあそうよね、対してベテラン勢はそんな新兵たちを見て爆笑してた。
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