84 / 375
捕まりました。<亀田視点>
7.誘いに乗りました。
しおりを挟む
「―――えええっ!」
おい、自分で誘っておいてそれは無いだろう。―――と内心ツッコミを入れてしまったが『まあ、大谷だしな……』と半ば投げやりな気持ちで心の中で呟いた。
「もしかして……冗談だったか?」
やはり可笑しいと思ったんだ。そう言えば『事故があったら寝覚めが悪い』と言っていたな。『眠いなら運転を無理するな』と言う注意喚起の意味合いが強かったのかもしれない―――普通ならそんな紛らわしい言い方するなんてあり得ないが……うさぎ狂いの男に居座られても流されて追い出す事も出来ない大谷だもんな、そんな遠回しな言い方があり得ないとも言い切れない。
「いえ!冗談じゃあ、ありません!どーぞ、泊まってって下さいっっ!」
焦って否定する所がますます怪しい。どうしても……一応社交辞令として言っただけなのに、上司が本気にしたから慌てているようにしか見えなくなって来た。
「あ、じゃあえっと……お風呂!今、お風呂入って下さい!」
なっ……お前、それ禁句だぞ……?!
お前に気のある男に風呂に入れって……いや、俺の気持ちに気付いているようにはどうも思えないが……そうだとしても普通、無いだろ。やっぱコイツ何も考えてねーわ。ひょっとして天然記念物?つーか絶滅危惧種……?
「え……そこまでして貰っては」
「いーんです!その間にお布団敷いたりしますし、私も入りますし。あ、ユニットバスなんでシャワーになっちゃいますけど……」
ドクドクと心臓がエライ事になっている。俺は心を落ち着ける為にうータンを更に丁寧に撫でた。そして暫しの間、何と言って良いか思案する。
えーい、もうどうにでもなれ!
「分かった。じゃあ、お言葉に甘えさせて貰う」
俺はやけにシッカリと頷いて、了承の意を伝えた。そうじゃないと、何だか奇声を発して叫び出してしまいそうな気がしたからだ。
大谷の思いも寄らない一言一言に、ブンブン振り回されまくっている。
もうコイツの意図を読もうとするのは、止めだ。俺が大谷の気持ちを推し量ろうなんて考えるのが、そもそもの間違いなのだ。
疲れた状態で運転するのは確かに危ない。事故でも起こしたら大変だからな……だから俺はここに泊まる。後は家主の指示に従う。それだけだ―――それ以上の意味なんか無い。無いんだっつーの。
「じゃあ、お風呂の準備しますんで!課長はうータンと戯れていてください」
「悪いな……有難う、大谷」
どうしても口が笑ってしまう。
『意味なんかない』と自分に言い聞かせる傍から、悩ましい妄想が止まらない。これはもう仕方ないだろう……打ち消そうったって後から後から湧いてきてしまう。
はー……今夜、俺は理性を保てるのだろうか……?
それに関しては、二割くらいしか……いや全くもって自信がない……っ!!!
おい、自分で誘っておいてそれは無いだろう。―――と内心ツッコミを入れてしまったが『まあ、大谷だしな……』と半ば投げやりな気持ちで心の中で呟いた。
「もしかして……冗談だったか?」
やはり可笑しいと思ったんだ。そう言えば『事故があったら寝覚めが悪い』と言っていたな。『眠いなら運転を無理するな』と言う注意喚起の意味合いが強かったのかもしれない―――普通ならそんな紛らわしい言い方するなんてあり得ないが……うさぎ狂いの男に居座られても流されて追い出す事も出来ない大谷だもんな、そんな遠回しな言い方があり得ないとも言い切れない。
「いえ!冗談じゃあ、ありません!どーぞ、泊まってって下さいっっ!」
焦って否定する所がますます怪しい。どうしても……一応社交辞令として言っただけなのに、上司が本気にしたから慌てているようにしか見えなくなって来た。
「あ、じゃあえっと……お風呂!今、お風呂入って下さい!」
なっ……お前、それ禁句だぞ……?!
お前に気のある男に風呂に入れって……いや、俺の気持ちに気付いているようにはどうも思えないが……そうだとしても普通、無いだろ。やっぱコイツ何も考えてねーわ。ひょっとして天然記念物?つーか絶滅危惧種……?
「え……そこまでして貰っては」
「いーんです!その間にお布団敷いたりしますし、私も入りますし。あ、ユニットバスなんでシャワーになっちゃいますけど……」
ドクドクと心臓がエライ事になっている。俺は心を落ち着ける為にうータンを更に丁寧に撫でた。そして暫しの間、何と言って良いか思案する。
えーい、もうどうにでもなれ!
「分かった。じゃあ、お言葉に甘えさせて貰う」
俺はやけにシッカリと頷いて、了承の意を伝えた。そうじゃないと、何だか奇声を発して叫び出してしまいそうな気がしたからだ。
大谷の思いも寄らない一言一言に、ブンブン振り回されまくっている。
もうコイツの意図を読もうとするのは、止めだ。俺が大谷の気持ちを推し量ろうなんて考えるのが、そもそもの間違いなのだ。
疲れた状態で運転するのは確かに危ない。事故でも起こしたら大変だからな……だから俺はここに泊まる。後は家主の指示に従う。それだけだ―――それ以上の意味なんか無い。無いんだっつーの。
「じゃあ、お風呂の準備しますんで!課長はうータンと戯れていてください」
「悪いな……有難う、大谷」
どうしても口が笑ってしまう。
『意味なんかない』と自分に言い聞かせる傍から、悩ましい妄想が止まらない。これはもう仕方ないだろう……打ち消そうったって後から後から湧いてきてしまう。
はー……今夜、俺は理性を保てるのだろうか……?
それに関しては、二割くらいしか……いや全くもって自信がない……っ!!!
0
お気に入りに追加
1,547
あなたにおすすめの小説
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
【短編】悪役令嬢と蔑まれた私は史上最高の遺書を書く
とによ
恋愛
婚約破棄され、悪役令嬢と呼ばれ、いじめを受け。
まさに不幸の役満を食らった私――ハンナ・オスカリウスは、自殺することを決意する。
しかし、このままただで死ぬのは嫌だ。なにか私が生きていたという爪痕を残したい。
なら、史上最高に素晴らしい出来の遺書を書いて、自殺してやろう!
そう思った私は全身全霊で遺書を書いて、私の通っている魔法学園へと自殺しに向かった。
しかし、そこで謎の美男子に見つかってしまい、しまいには遺書すら読まれてしまう。
すると彼に
「こんな遺書じゃダメだね」
「こんなものじゃ、誰の記憶にも残らないよ」
と思いっきりダメ出しをされてしまった。
それにショックを受けていると、彼はこう提案してくる。
「君の遺書を最高のものにしてみせる。その代わり、僕の研究を手伝ってほしいんだ」
これは頭のネジが飛んでいる彼について行った結果、彼と共に歴史に名を残してしまう。
そんなお話。
花婿が差し替えられました
凛江
恋愛
伯爵令嬢アリスの結婚式当日、突然花婿が相手の弟クロードに差し替えられた。
元々結婚相手など誰でもよかったアリスにはどうでもいいが、クロードは相当不満らしい。
その不満が花嫁に向かい、初夜の晩に爆発!二人はそのまま白い結婚に突入するのだった。
ラブコメ風(?)西洋ファンタジーの予定です。
※『お転婆令嬢』と『さげわたし』読んでくださっている方、話がなかなか完結せず申し訳ありません。
ゆっくりでも完結させるつもりなので長い目で見ていただけると嬉しいです。
こちらの話は、早めに(80000字くらい?)完結させる予定です。
出来るだけ休まず突っ走りたいと思いますので、読んでいただけたら嬉しいです!
※すみません、100000字くらいになりそうです…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる