捕獲されました。

ねがえり太郎

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捕まりました。<亀田視点>

7.誘いに乗りました。

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「―――えええっ!」

おい、自分で誘っておいてそれは無いだろう。―――と内心ツッコミを入れてしまったが『まあ、大谷だしな……』と半ば投げやりな気持ちで心の中で呟いた。

「もしかして……冗談だったか?」

やはり可笑しいと思ったんだ。そう言えば『事故があったら寝覚めが悪い』と言っていたな。『眠いなら運転を無理するな』と言う注意喚起の意味合いが強かったのかもしれない―――普通ならそんな紛らわしい言い方するなんてあり得ないが……うさぎ狂いの男に居座られても流されて追い出す事も出来ない大谷だもんな、そんな遠回しな言い方があり得ないとも言い切れない。



「いえ!冗談じゃあ、ありません!どーぞ、泊まってって下さいっっ!」



焦って否定する所がますます怪しい。どうしても……一応社交辞令として言っただけなのに、上司が本気にしたから慌てているようにしか見えなくなって来た。

「あ、じゃあえっと……お風呂!今、お風呂入って下さい!」

なっ……お前、それ禁句だぞ……?!
お前に気のある男に風呂に入れって……いや、俺の気持ちに気付いているようにはどうも思えないが……そうだとしても普通、無いだろ。やっぱコイツ何も考えてねーわ。ひょっとして天然記念物?つーか絶滅危惧種……?

「え……そこまでして貰っては」
「いーんです!その間にお布団敷いたりしますし、私も入りますし。あ、ユニットバスなんでシャワーになっちゃいますけど……」

ドクドクと心臓がエライ事になっている。俺は心を落ち着ける為にうータンを更に丁寧に撫でた。そして暫しの間、何と言って良いか思案する。



えーい、もうどうにでもなれ!



「分かった。じゃあ、お言葉に甘えさせて貰う」

俺はやけにシッカリと頷いて、了承の意を伝えた。そうじゃないと、何だか奇声を発して叫び出してしまいそうな気がしたからだ。

大谷の思いも寄らない一言一言に、ブンブン振り回されまくっている。
もうコイツの意図を読もうとするのは、止めだ。俺が大谷じょせいの気持ちを推し量ろうなんて考えるのが、そもそもの間違いなのだ。

疲れた状態で運転するのは確かに危ない。事故でも起こしたら大変だからな……だから俺はここに泊まる。後は家主の指示に従う。それだけだ―――それ以上の意味なんか無い。無いんだっつーの。

「じゃあ、お風呂の準備しますんで!課長はうータンと戯れていてください」
「悪いな……有難う、大谷」

どうしても口が笑ってしまう。

『意味なんかない』と自分に言い聞かせる傍から、悩ましい妄想が止まらない。これはもう仕方ないだろう……打ち消そうったって後から後から湧いてきてしまう。



はー……今夜、俺は理性を保てるのだろうか……?



それに関しては、二割くらいしか……いや全くもって自信がない……っ!!!

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