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・後日談・ 俺とねーちゃんのその後の話
45.後輩と彼女のその後のお話 <高坂> 【最終話】
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最終話です。
高坂視点となります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
待合わせ場所にスタバを選んだのは俺だった。
だけどガラスの壁の外側から、既に席について談笑している2人を見た時「ああ、こんな事以前あったな」と心の中で笑ってしまった。
あの時は逆の立場だったと思う。
本当に奴はただの『我儘なガキ』だった。
大事なオモチャを取り上げられた子供みたいに、イライラしていた。その無様な様子を思い出してニヤリとしてしまう俺は、心底意地が悪いと改めて思う。
けれども俺がそんな感情を抱いてしまうのは、清美ぐらいなものだ。
俺をイラつかせ、嗜虐心を煽るのはコイツだけなんだ。
「晶ちゃん、待った?」
ニッコリと可愛らしい友人に微笑んで挨拶をする。晶ちゃんは首を振って「全然。さっき来たとこだよ。ね、清美」と隣の男に同意を求めた。
「お久しぶりです」
「どちらさんでしたっけ?」
スッとぼけてニヤニヤしていると、清美は苦笑いしてスルーした。
―――なんだ余裕だな。
余裕なワケは、話しているうちに何となく伝わって来た。
姉弟の筈の2人の距離感が縮まっている気がする。
あ、心理的なモノだけどね。恥ずかしがりやの晶ちゃんが外で清美にイチャイチャするのを許すハズが無い。
「―――で?」
「はい?」
暫く近況報告やたわいない世間話をして一段落した頃、俺は切り出した。
「どうなったの?」
「え?何のコトですか?」
清美が照れた素振りで一丁前にトボケて見せた。
うっとうしいな、コイツ。
どう見てもデレデレニヤニヤしていて、気持ちがダダ漏れなんだよ。
一方晶ちゃんは何を聞かれているのか見当がつかないらしく、首を傾げている。
くそう、可愛いな。
晶ちゃんは本当に可愛くなった。
今まで地味な外見に隠されていた、その優しさや堅実さ、愛らしさが分かり易く見た目に反映されるようになったのだ。特に作り込んでいる訳では無いのに、ちょっとした気の使い方の違いで、内面の魅力が顕著に外側に現れてしまっている。
普通にすごく可愛い女の子になっちゃって―――本気の虫除けが必要になってしまった。
あれに似てるな。
アンモナイト?
地中から掘り出した化石って、余計なホコリを落とさないとその全容を目にできない。慎重にクリーニングして初めてその本質が見て取れる。それまではチラッと見れる一部分だけで専門家が判断するだけだったのに。
例えが悪いかな……?エメラルドの原石を掘り出して磨いたって言う方が女の子に相応しいかな?
でも、晶ちゃんの希少さって、単純に宝石に例えるより、化石に例えた方がしっくり来るんだよなあ……男のロマンって言うの?俺だけに判る魅力が良いって言うか。
俺よりマニアな男が目の前で嬉しそうに浮かれているのを見ると、本当に面白くない。
結局。晶ちゃんが俺に靡く事は無かった。
まあ、鈍いからなぁ……俺がはっきり言わないから、いつまでたっても俺が向ける好意は友情なのだと、彼女は信じて疑わないままだった。
『男』にあまり免疫の無い晶ちゃんに意識された結果、避けられて話すらできなくなる状態は避けたかった。それに晶ちゃんの清美に対する気持ちは変わっていないって、察しの良い俺には明白だったから。
俺、モテるんだけどな。
清美よりよっぽど。
飲み会行ったら「お前一人勝ちだな、もう呼びたくねー」って言われるし、女の子を集めるために「どうしても出席してくれ」って言われるんだぞ。
って、そういうの全く気にしない2人の前で口に出しても虚しいだけだけど。
それに本命の晶ちゃん本人にモテて無いから、ただの負け惜しみだよな。
いや『負け犬の遠吠え』かな。
「は~~」
大仰に溜息を吐くと、晶ちゃんが「どうしたの?」と心配そうに俺を覗き込んできた。そのつぶらな……黒曜石のような瞳を見返すと、いつものように吸い込まれそうになる。
「良かったね」
「?」
「両想いになったんでしょ?」
「!」
俺にも一応矜持というものがあるので、思いっきり魅力的に見える笑顔でもって、彼女にそう尋ねた。まあこんな風に特別な笑顔を彼女に何度も送って、効いた試しは無かったのだけれども。
「高坂君って本当に美形だよね」って熱の籠らない声で他人事のよう評価された位がせいぜいだ。
彼女は俺の指摘に真っ赤になってしまった。
『湯気が出そう』とは、まさにこういう状態を言うんだろう。
「俺ずっと、清美に晶ちゃんの『虫除け』役、頼まれていたんだ」
「『むしよけ』……?」
「なっ……高坂先輩っ」
首を傾げる晶ちゃんと、少し慌てる清美。
「晶ちゃんに男が近寄ってこないように、牽制する役ってコト」
「……」
晶ちゃんは言葉の意味をすぐに飲み込めなかったようだ。
それから数秒後、頓狂な声を上げた。
「……ええ?!なにそれ……」
清美が呻いて立ち上がった。そして、俺の両肩に手を置いて「出ましょう」と言った。
おう、望むところだ。
いい加減目の前でイチャイチャされるの、どれだけストレスになると思っているんだ。
俺が頷いて清美に腕を取られて外に出るのを、晶ちゃんはポカンと見上げていた。
外に出て入口から少し離れる。
「高坂先輩、あんまりバラさないでください」
清美が険しい顔で俺に詰め寄って来た。
俺は真面目な表情で清美を睨みつけ、容赦なく言い放った。
「バラす」
「勘弁してください」
「じゃ、一発殴らせろ」
「え!……う……判りました」
観念したように一歩下がると、清美は目を閉じた。
そんなに自分が裏で立ち回っていた事を知られるのが嫌なのか。
「このリア充め」
「高坂先輩に言われたく無いです……うっ!!」
油断している腹に一発お見舞いしてやった。
「……ちょっと……顔じゃ、無いんですか……」
「お前のお綺麗な顔に傷を付けたら、俺が晶ちゃんに恨まれるだろ?」
清美が腹を抱えてしゃがんでいると、飲み物の容器やトレーを全部片づけたらしい晶ちゃんがスタバの出入口から顔を出した。
俺は清美の首根っこを乱暴に掴んで、無理矢理立ち上がらせた。
「どうしたの?清美」
「ん……なんでも無いよ」
脂汗を掻いて、何でもない素振りをする清美。
健気だな。
「ちょっと、男同士の話をね」
「?」
「さっき終わったよ」
サラリと言う俺を訝し気に見てから、晶ちゃんの視線が心配そうに清美に移る。
あーあ。
とうとうこの日が来ちまったか。
「晶ちゃん、ちょっとこっち見て」
辛そうな清美を覗き込む晶ちゃんに、手招きをする。
「はい?なーに」
俺の方を見上げる小さな白い顔の、顎を手で支える。
一瞬の隙を突いて、その柔らかな頬に口付けた。
「え?」
「は?」
痛みに耐える清美は咄嗟の事に、口を開けて見守るしかなかった。
俺はさっと手を放し、素早く身を引く。
晶ちゃんも何があったのか把握するのに、時間が掛かっているらしい。そうだろう、俺はこれまで晶ちゃんに自分の下心を知られるような下手な手を打ってこなかったから。
「俺からの餞別!晶ちゃん、良かったな。お幸せに!」
「あ、うん……アリガト」
キスされた頬に手を当てながらも、律儀に返事を返す晶ちゃん。
本当に真面目なんだから。
「……!」
清美は言葉にできずに、動揺で口をパクパクしている。
「じゃ、またな!」
俺は手を振ってその場を後にした。
その時余裕たっぷりで清美に笑いかけるのを忘れずに。
今日も快晴だ。
と、言っても見上げても札幌の空みたいに綺麗な水色は見られない。俺には東京のほうが住みやすいけど、空の色だけは地元のほうが好きかも。と内心呟きながら、振り向かずにその場を後にした。
【俺とねーちゃんのその後のお話・完】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回で一応『おとうとが私にかまい過ぎる』シリーズの清美と晶の物語はお終いです。
これ以降この二人の間に波風は立ちません。めでたしめでたし。
『おとうとが私にかまい過ぎる』からお読みいただいた方、長い間お付き合い有難うございました。
幾つか後日談を追加する予定ですので、興味を持たれた方はまた覗いてやってください。
お読みいただき、有難うございました。
高坂視点となります。
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待合わせ場所にスタバを選んだのは俺だった。
だけどガラスの壁の外側から、既に席について談笑している2人を見た時「ああ、こんな事以前あったな」と心の中で笑ってしまった。
あの時は逆の立場だったと思う。
本当に奴はただの『我儘なガキ』だった。
大事なオモチャを取り上げられた子供みたいに、イライラしていた。その無様な様子を思い出してニヤリとしてしまう俺は、心底意地が悪いと改めて思う。
けれども俺がそんな感情を抱いてしまうのは、清美ぐらいなものだ。
俺をイラつかせ、嗜虐心を煽るのはコイツだけなんだ。
「晶ちゃん、待った?」
ニッコリと可愛らしい友人に微笑んで挨拶をする。晶ちゃんは首を振って「全然。さっき来たとこだよ。ね、清美」と隣の男に同意を求めた。
「お久しぶりです」
「どちらさんでしたっけ?」
スッとぼけてニヤニヤしていると、清美は苦笑いしてスルーした。
―――なんだ余裕だな。
余裕なワケは、話しているうちに何となく伝わって来た。
姉弟の筈の2人の距離感が縮まっている気がする。
あ、心理的なモノだけどね。恥ずかしがりやの晶ちゃんが外で清美にイチャイチャするのを許すハズが無い。
「―――で?」
「はい?」
暫く近況報告やたわいない世間話をして一段落した頃、俺は切り出した。
「どうなったの?」
「え?何のコトですか?」
清美が照れた素振りで一丁前にトボケて見せた。
うっとうしいな、コイツ。
どう見てもデレデレニヤニヤしていて、気持ちがダダ漏れなんだよ。
一方晶ちゃんは何を聞かれているのか見当がつかないらしく、首を傾げている。
くそう、可愛いな。
晶ちゃんは本当に可愛くなった。
今まで地味な外見に隠されていた、その優しさや堅実さ、愛らしさが分かり易く見た目に反映されるようになったのだ。特に作り込んでいる訳では無いのに、ちょっとした気の使い方の違いで、内面の魅力が顕著に外側に現れてしまっている。
普通にすごく可愛い女の子になっちゃって―――本気の虫除けが必要になってしまった。
あれに似てるな。
アンモナイト?
地中から掘り出した化石って、余計なホコリを落とさないとその全容を目にできない。慎重にクリーニングして初めてその本質が見て取れる。それまではチラッと見れる一部分だけで専門家が判断するだけだったのに。
例えが悪いかな……?エメラルドの原石を掘り出して磨いたって言う方が女の子に相応しいかな?
でも、晶ちゃんの希少さって、単純に宝石に例えるより、化石に例えた方がしっくり来るんだよなあ……男のロマンって言うの?俺だけに判る魅力が良いって言うか。
俺よりマニアな男が目の前で嬉しそうに浮かれているのを見ると、本当に面白くない。
結局。晶ちゃんが俺に靡く事は無かった。
まあ、鈍いからなぁ……俺がはっきり言わないから、いつまでたっても俺が向ける好意は友情なのだと、彼女は信じて疑わないままだった。
『男』にあまり免疫の無い晶ちゃんに意識された結果、避けられて話すらできなくなる状態は避けたかった。それに晶ちゃんの清美に対する気持ちは変わっていないって、察しの良い俺には明白だったから。
俺、モテるんだけどな。
清美よりよっぽど。
飲み会行ったら「お前一人勝ちだな、もう呼びたくねー」って言われるし、女の子を集めるために「どうしても出席してくれ」って言われるんだぞ。
って、そういうの全く気にしない2人の前で口に出しても虚しいだけだけど。
それに本命の晶ちゃん本人にモテて無いから、ただの負け惜しみだよな。
いや『負け犬の遠吠え』かな。
「は~~」
大仰に溜息を吐くと、晶ちゃんが「どうしたの?」と心配そうに俺を覗き込んできた。そのつぶらな……黒曜石のような瞳を見返すと、いつものように吸い込まれそうになる。
「良かったね」
「?」
「両想いになったんでしょ?」
「!」
俺にも一応矜持というものがあるので、思いっきり魅力的に見える笑顔でもって、彼女にそう尋ねた。まあこんな風に特別な笑顔を彼女に何度も送って、効いた試しは無かったのだけれども。
「高坂君って本当に美形だよね」って熱の籠らない声で他人事のよう評価された位がせいぜいだ。
彼女は俺の指摘に真っ赤になってしまった。
『湯気が出そう』とは、まさにこういう状態を言うんだろう。
「俺ずっと、清美に晶ちゃんの『虫除け』役、頼まれていたんだ」
「『むしよけ』……?」
「なっ……高坂先輩っ」
首を傾げる晶ちゃんと、少し慌てる清美。
「晶ちゃんに男が近寄ってこないように、牽制する役ってコト」
「……」
晶ちゃんは言葉の意味をすぐに飲み込めなかったようだ。
それから数秒後、頓狂な声を上げた。
「……ええ?!なにそれ……」
清美が呻いて立ち上がった。そして、俺の両肩に手を置いて「出ましょう」と言った。
おう、望むところだ。
いい加減目の前でイチャイチャされるの、どれだけストレスになると思っているんだ。
俺が頷いて清美に腕を取られて外に出るのを、晶ちゃんはポカンと見上げていた。
外に出て入口から少し離れる。
「高坂先輩、あんまりバラさないでください」
清美が険しい顔で俺に詰め寄って来た。
俺は真面目な表情で清美を睨みつけ、容赦なく言い放った。
「バラす」
「勘弁してください」
「じゃ、一発殴らせろ」
「え!……う……判りました」
観念したように一歩下がると、清美は目を閉じた。
そんなに自分が裏で立ち回っていた事を知られるのが嫌なのか。
「このリア充め」
「高坂先輩に言われたく無いです……うっ!!」
油断している腹に一発お見舞いしてやった。
「……ちょっと……顔じゃ、無いんですか……」
「お前のお綺麗な顔に傷を付けたら、俺が晶ちゃんに恨まれるだろ?」
清美が腹を抱えてしゃがんでいると、飲み物の容器やトレーを全部片づけたらしい晶ちゃんがスタバの出入口から顔を出した。
俺は清美の首根っこを乱暴に掴んで、無理矢理立ち上がらせた。
「どうしたの?清美」
「ん……なんでも無いよ」
脂汗を掻いて、何でもない素振りをする清美。
健気だな。
「ちょっと、男同士の話をね」
「?」
「さっき終わったよ」
サラリと言う俺を訝し気に見てから、晶ちゃんの視線が心配そうに清美に移る。
あーあ。
とうとうこの日が来ちまったか。
「晶ちゃん、ちょっとこっち見て」
辛そうな清美を覗き込む晶ちゃんに、手招きをする。
「はい?なーに」
俺の方を見上げる小さな白い顔の、顎を手で支える。
一瞬の隙を突いて、その柔らかな頬に口付けた。
「え?」
「は?」
痛みに耐える清美は咄嗟の事に、口を開けて見守るしかなかった。
俺はさっと手を放し、素早く身を引く。
晶ちゃんも何があったのか把握するのに、時間が掛かっているらしい。そうだろう、俺はこれまで晶ちゃんに自分の下心を知られるような下手な手を打ってこなかったから。
「俺からの餞別!晶ちゃん、良かったな。お幸せに!」
「あ、うん……アリガト」
キスされた頬に手を当てながらも、律儀に返事を返す晶ちゃん。
本当に真面目なんだから。
「……!」
清美は言葉にできずに、動揺で口をパクパクしている。
「じゃ、またな!」
俺は手を振ってその場を後にした。
その時余裕たっぷりで清美に笑いかけるのを忘れずに。
今日も快晴だ。
と、言っても見上げても札幌の空みたいに綺麗な水色は見られない。俺には東京のほうが住みやすいけど、空の色だけは地元のほうが好きかも。と内心呟きながら、振り向かずにその場を後にした。
【俺とねーちゃんのその後のお話・完】
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今回で一応『おとうとが私にかまい過ぎる』シリーズの清美と晶の物語はお終いです。
これ以降この二人の間に波風は立ちません。めでたしめでたし。
『おとうとが私にかまい過ぎる』からお読みいただいた方、長い間お付き合い有難うございました。
幾つか後日談を追加する予定ですので、興味を持たれた方はまた覗いてやってください。
お読みいただき、有難うございました。
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