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・番外編・お兄ちゃんは過保護【その後のお話】

31.私の気持ち 2

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帰り道の勇気は無言だった。

何だろうなぁ……試合を見ていた時は楽しかったのに。
一気に気分が急降下している。私と勇気の頭の上にだけ小さな雨雲が掛かっているのではなかろうか。

「やりたいのか?」

歩きながら唐突に勇気が口を開いた。

「え?」
「マネージャー」
「……」

私はマネージャーをやりたい……のだろうか?
『コイツには無理』と断言されて悔しくなった。
最近常々考えるようになった。

私って子供。
小心で心が狭くて―――人の影に隠れて、ヌクヌク甘えている。

そんな自分がもどかしい。
澪と勇気に置いて行かれないか、愛想尽かされないかって不安な気持ちが時々せり上がって来る。今はまだいい。でもその内―――このまま楽ばっかりしていたら、それこそ高校生になった頃にはすっかり二人と差がついてしまって、相手にされなくなってしまうのじゃないだろうか。

例えば二人が好き合って付き合ったとして。若しくは他の彼氏彼女が出来たり、休みの日に会いたい相手が別に出来たとしたら。

私はこのまま―――誰とも付き合えない人間のままでいたら、独り寂しく家で漫画を読んでゲームをして過ごすのだろうか?……オンラインゲームで友達はできるかな。それに、お兄ちゃんも偶に構ってくれるかもしれない。

でもゲームの友達と直接顔を合わせる事は、ほとんどないだろう。
お兄ちゃんも今は異常なシスコン&マザコンだけど、1~2年後にはちゃっかり結婚して家を出ちゃうかもしれない。同居なら良いけど……でも新婚夫婦にはお邪魔虫かも、小姑の私って。

「勇気は―――私がマネージャーやるの、反対なの?」
「反対」

即答された。

「私には無理だから?」
「うん、無理。俺や鈴木くらいだろ、凛が付き合えるのって」

取り付く島もない。
私はガクリと肩を落として、立ち止まった。
前を行く勇気は気付かない。

だから二人の距離が―――すごくあいてしまった。

ピタリと勇気が立ち止まった時。
私は顔を上げて、勇気の背中を見ていた。
クルリと振り向いて、呆気に取られた勇気に向かって。離れた所から両手をメガホンの代わりにして、私は叫んだ。



「勇気の意地悪!やってみなきゃ、分からないでしょー!」



そんなつもりは無かったのに。
私は言ってしまった。そんで、後から自分の意地っ張りと軽率さに頭を抱えた。

やっぱ、私って―――子供だっ!!

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