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・番外編・お兄ちゃんは過保護【その後のお話】

19.お兄ちゃんと私 2

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朝溜息を吐いている私を見て、お兄ちゃんが言った。

「明日美味しいモノ、食べに行かない?」

ニッコリと笑うお兄ちゃんに、私は疑問を抱いた。

「あれ?土曜日はデートじゃ無かったっけ?」
「……ちょっと都合が悪くなったから、凛とデートしたいな」

お兄ちゃんが私と出掛けるのは大抵日曜日だ。偶にお母さんも一緒に3人で出かける事もある。お父さんがごくごくたま~に休みになった時はお兄ちゃんの代わりにお父さんが私達を何処かに連れて行ってくれる。お兄ちゃんはそういう時は付いて来ない。私が尋ねると「男と出掛けたって面白くないから」って答えた。だけど私が小さい頃から年に1回くらい遊びに来てくれていた『きよちゃん』とは飲みに行ったりする筈なのになぁ。だからはぐらかされたのだと思う。
ちなみに最近、きよちゃんは家族と一緒に札幌に戻って来た。うちにはそれほど顔を出さないけど、お兄ちゃんは彼とよく顔を合わせているらしい。

「んー、じゃあ付き合って上げますか!部活の後に勇気が来ると思うから、それまでならいーよ」

偉そうに胸を張って言うと、お母さんが噴き出した。

「あ!お母さんも行く?」
「ううん、明日はお父さんのお仕事手伝わなきゃならないから」

私が大きくなってから、よくお母さんは土日にお父さんの仕事を手伝うようになった。事務仕事もあるけど、知合いのホームパーティに付き添うよう頼まれたりするらしい。だけど何となく私は気付いている。お父さんはただお母さんと一緒に居たいんじゃないかなって。仕事にかこつけながらも、何だか機嫌の良いお父さんが目に浮かぶ。

「じゃあ2人でデートだね?」
「光栄です、姫をエスコートできて」

お兄ちゃんがお道化て言うから、私はケラケラ笑ってしまった。
私の気分を上向かせるの事に掛けては、お兄ちゃんの右に出る者はいない。

と言っても交友関係の狭い私には、お兄ちゃんと両親以外に日常接している相手って、澪と勇気しかいないのだけれど……。
二人の事を思い出すと何故かモヤモヤとしたものが込み上げてくる。こんなコト、これまで無かったのになぁ。だけど「明日はお兄ちゃんとデート!」と唱えて私は心に掛かる黒いもやを追い払った。今は楽しい事を考えよう。



そんなワケで土曜日、お兄ちゃんと出掛ける事になったのだった。


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