147 / 211
・番外編・お兄ちゃんは過保護
4.お兄ちゃんと喧嘩
しおりを挟む
あの日以来、勇気は私の家にやって来ない。
ちょっと落ち込んだ私を気にしてくれるのか澪がいつもよりちょっとだけ多く遊びに来てくれるけど―――頻繁に来てくれていた勇気がいないとやっぱり物凄く寂しい。
お兄ちゃんとはあれ以来ギスギスしている。
と言うか、私だけ一方的にギスギスしている。
お兄ちゃんが怒った顔がとても怖かった。そんな怖い顔を私に見せたのは本当に幼い子供の頃以来の事だった。
それに全然、全くお兄ちゃんが怒った理由に納得できない。
お兄ちゃんがイキナリ怒ったせいで、勇気と会えなくなって寂しかった。もともと私はクラスの子達に敬遠されているので、親しい友達は勇気と澪しかいないのだ。
お兄ちゃんなんか仕事があるから帰りも遅いし、休みの日は綺麗な女の人とデートしていていない事も多い。なのに私の数少ない友達を取り上げるなんて……!
ズルい。お兄ちゃん
頭がグチャグチャで、胸がモヤモヤしてお兄ちゃんの顔を見るのがつらかった。
気持ちが収まらないので、お兄ちゃんと目が合うと私はプイッと逸らしてしまう。
お母さんはそんな私とお兄ちゃんを見て、困ったように笑っている。
分かってる―――きっと私が我儘なんだ。
理不尽な事を言われている気がするけど、お兄ちゃんは私に危険があったり、困った状況に陥りそうな時だけ物凄く怖い顔で怒るんだ。
だからきっと―――ちゃんと話し合えば、お兄ちゃんが怒る理由が分かれば元通りに楽しい食卓が戻って来るのに。
今はお通夜みたいに静かな食卓。
私に話しかけたそうなお兄ちゃん。
必死でそれを避ける私。
それを眉を八の字にして見守るお母さん。
ちょっと前まで、いつも冗談を言って笑い合っていたのが夢みたいに思えて―――とてもとても悲しくなった。
ちょっと落ち込んだ私を気にしてくれるのか澪がいつもよりちょっとだけ多く遊びに来てくれるけど―――頻繁に来てくれていた勇気がいないとやっぱり物凄く寂しい。
お兄ちゃんとはあれ以来ギスギスしている。
と言うか、私だけ一方的にギスギスしている。
お兄ちゃんが怒った顔がとても怖かった。そんな怖い顔を私に見せたのは本当に幼い子供の頃以来の事だった。
それに全然、全くお兄ちゃんが怒った理由に納得できない。
お兄ちゃんがイキナリ怒ったせいで、勇気と会えなくなって寂しかった。もともと私はクラスの子達に敬遠されているので、親しい友達は勇気と澪しかいないのだ。
お兄ちゃんなんか仕事があるから帰りも遅いし、休みの日は綺麗な女の人とデートしていていない事も多い。なのに私の数少ない友達を取り上げるなんて……!
ズルい。お兄ちゃん
頭がグチャグチャで、胸がモヤモヤしてお兄ちゃんの顔を見るのがつらかった。
気持ちが収まらないので、お兄ちゃんと目が合うと私はプイッと逸らしてしまう。
お母さんはそんな私とお兄ちゃんを見て、困ったように笑っている。
分かってる―――きっと私が我儘なんだ。
理不尽な事を言われている気がするけど、お兄ちゃんは私に危険があったり、困った状況に陥りそうな時だけ物凄く怖い顔で怒るんだ。
だからきっと―――ちゃんと話し合えば、お兄ちゃんが怒る理由が分かれば元通りに楽しい食卓が戻って来るのに。
今はお通夜みたいに静かな食卓。
私に話しかけたそうなお兄ちゃん。
必死でそれを避ける私。
それを眉を八の字にして見守るお母さん。
ちょっと前まで、いつも冗談を言って笑い合っていたのが夢みたいに思えて―――とてもとても悲しくなった。
0
お気に入りに追加
406
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
子ども扱いしないでください! 幼女化しちゃった完璧淑女は、騎士団長に甘やかされる
佐崎咲
恋愛
旧題:完璧すぎる君は一人でも生きていけると婚約破棄されたけど、騎士団長が即日プロポーズに来た上に甘やかしてきます
「君は完璧だ。一人でも生きていける。でも、彼女には私が必要なんだ」
なんだか聞いたことのある台詞だけれど、まさか現実で、しかも貴族社会に生きる人間からそれを聞くことになるとは思ってもいなかった。
彼の言う通り、私ロゼ=リンゼンハイムは『完璧な淑女』などと称されているけれど、それは努力のたまものであって、本質ではない。
私は幼い時に我儘な姉に追い出され、開き直って自然溢れる領地でそれはもうのびのびと、野を駆け山を駆け回っていたのだから。
それが、今度は跡継ぎ教育に嫌気がさした姉が自称病弱設定を作り出し、代わりに私がこの家を継ぐことになったから、王都に移って血反吐を吐くような努力を重ねたのだ。
そして今度は腐れ縁ともいうべき幼馴染みの友人に婚約者を横取りされたわけだけれど、それはまあ別にどうぞ差し上げますよというところなのだが。
ただ。
婚約破棄を告げられたばかりの私をその日訪ねた人が、もう一人いた。
切れ長の紺色の瞳に、長い金髪を一つに束ね、男女問わず目をひく美しい彼は、『微笑みの貴公子』と呼ばれる第二騎士団長のユアン=クラディス様。
彼はいつもとは違う、改まった口調で言った。
「どうか、私と結婚してください」
「お返事は急ぎません。先程リンゼンハイム伯爵には手紙を出させていただきました。許可が得られましたらまた改めさせていただきますが、まずはロゼ嬢に私の気持ちを知っておいていただきたかったのです」
私の戸惑いたるや、婚約破棄を告げられた時の比ではなかった。
彼のことはよく知っている。
彼もまた、私のことをよく知っている。
でも彼は『それ』が私だとは知らない。
まったくの別人に見えているはずなのだから。
なのに、何故私にプロポーズを?
しかもやたらと甘やかそうとしてくるんですけど。
どういうこと?
============
番外編は思いついたら追加していく予定です。
<レジーナ公式サイト番外編>
「番外編 相変わらずな日常」
レジーナ公式サイトにてアンケートに答えていただくと、書き下ろしweb番外編をお読みいただけます。
いつも攻め込まれてばかりのロゼが居眠り中のユアンを見つけ、この機会に……という話です。
※転載・複写はお断りいたします。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる