276 / 363
太っちょのポンちゃん 社会人編5
ポンちゃんと、キャビンアテンダント 2
しおりを挟む
コンコン。ノックをして暫く待つと扉が開いた。
「はい―――あれ?豊田さん」
驚いたように目を見開いた本田さんは一度扉を閉め、U字ロックを外して再びドアを開けてくれた。さっきまでカッチリと締めていたボタンが二つほど外されていて、いつも乱れることの無い前髪がパラリと額に掛かっているのが無防備で、思わず眩暈がしそうになった。
わぁあ……何だかとっても若く見える。って実際若いのよね、実年齢よりしっかりしているイメージがあるからそう見えないだけで。だってまだ二十代なんだもんね。私と年はそれほど変わらないんだよね。
「……豊田さん?」
「はっ……あ、はい!」
見惚れるあまりトリップしてしまった……!
「何かあったんですか?」
私の挙動不審な反応に、本田さんは何かあったと誤解したようだった。無防備だった表情をキリッと引き締めて真正面から私を見つめている。その精悍な眼差しに再びクラリと来たが、脚を踏ん張りグッと背筋に力を込めて姿勢を持ち直した。
「あの、違うんです。今ちょっと……良いですか?」
真面目そうな彼が、チャラくて有名なU機長やM副機長みたいにCAを部屋に連れ込む(噂です。見た事は無いです)なんてそんな展開があるとまでは思っていない。
……いや、そう言う展開があればきっと拒まないけど……でもそう言うキャラだったら、今まで抱いていた彼の清廉なイメージが崩れてしまうし……いやいやでも!中身が実は真面目じゃ無くてもこれだけカッコいければ一度限りの関係だって構わな……いやいやいや!しゃらーっぷ!余計な妄想はここまでにして!私!!
そう『忘れ物を届けに来ました』そう言ってペンを差し出すだけなら、こうしてここに来ていない。
当たって砕けろの精神でここまで来たのは、ペンを返す口実で一対一でほんのちょっとでもしゃべりたい!更に言えば、ちょっとだけでも親しくなって個別認識して欲しい!もう一つ欲を言えば、相談と称してホテルのバーで一杯飲めたら御の字!―――と思ってのこと。
別にそれ以上の展開を今望んでいる訳では無い。いや、彼が望んでくれれば一夜の遊びでも……って、この妄想また始まったらループだし長いから、止めっ!ストップ!!
自分を鼓舞しわざわざこの扉をノックしたのは、出来たらこれを切っ掛けにちょっとでも彼と親しくなってプライベートの連絡先でも教えて貰えないかな、なんて下心を持っているからだ。誰にでも向ける丁寧な通り一辺倒の対応をしてくれる彼じゃなくて、一歩踏み込んだ友達に対するような気さくな面も見てみたい……なんて。でもホントにダメ元なんだけど。きっと駄目だろうけど……でも。
「今ですか?えーと……」
しかし彼の困ったような、強張った表情を目にして、瞬時にして覚ってしまった。
あ、ナイ。これナイな、と。
これ、ソッコー断られる流れだ……!!
「はい―――あれ?豊田さん」
驚いたように目を見開いた本田さんは一度扉を閉め、U字ロックを外して再びドアを開けてくれた。さっきまでカッチリと締めていたボタンが二つほど外されていて、いつも乱れることの無い前髪がパラリと額に掛かっているのが無防備で、思わず眩暈がしそうになった。
わぁあ……何だかとっても若く見える。って実際若いのよね、実年齢よりしっかりしているイメージがあるからそう見えないだけで。だってまだ二十代なんだもんね。私と年はそれほど変わらないんだよね。
「……豊田さん?」
「はっ……あ、はい!」
見惚れるあまりトリップしてしまった……!
「何かあったんですか?」
私の挙動不審な反応に、本田さんは何かあったと誤解したようだった。無防備だった表情をキリッと引き締めて真正面から私を見つめている。その精悍な眼差しに再びクラリと来たが、脚を踏ん張りグッと背筋に力を込めて姿勢を持ち直した。
「あの、違うんです。今ちょっと……良いですか?」
真面目そうな彼が、チャラくて有名なU機長やM副機長みたいにCAを部屋に連れ込む(噂です。見た事は無いです)なんてそんな展開があるとまでは思っていない。
……いや、そう言う展開があればきっと拒まないけど……でもそう言うキャラだったら、今まで抱いていた彼の清廉なイメージが崩れてしまうし……いやいやでも!中身が実は真面目じゃ無くてもこれだけカッコいければ一度限りの関係だって構わな……いやいやいや!しゃらーっぷ!余計な妄想はここまでにして!私!!
そう『忘れ物を届けに来ました』そう言ってペンを差し出すだけなら、こうしてここに来ていない。
当たって砕けろの精神でここまで来たのは、ペンを返す口実で一対一でほんのちょっとでもしゃべりたい!更に言えば、ちょっとだけでも親しくなって個別認識して欲しい!もう一つ欲を言えば、相談と称してホテルのバーで一杯飲めたら御の字!―――と思ってのこと。
別にそれ以上の展開を今望んでいる訳では無い。いや、彼が望んでくれれば一夜の遊びでも……って、この妄想また始まったらループだし長いから、止めっ!ストップ!!
自分を鼓舞しわざわざこの扉をノックしたのは、出来たらこれを切っ掛けにちょっとでも彼と親しくなってプライベートの連絡先でも教えて貰えないかな、なんて下心を持っているからだ。誰にでも向ける丁寧な通り一辺倒の対応をしてくれる彼じゃなくて、一歩踏み込んだ友達に対するような気さくな面も見てみたい……なんて。でもホントにダメ元なんだけど。きっと駄目だろうけど……でも。
「今ですか?えーと……」
しかし彼の困ったような、強張った表情を目にして、瞬時にして覚ってしまった。
あ、ナイ。これナイな、と。
これ、ソッコー断られる流れだ……!!
20
お気に入りに追加
1,357
あなたにおすすめの小説
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる