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後日談 黛家の妊婦さん5
(189)お義父さんの帰宅
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黛が夜勤で不在の夜。そろそろ食事にしようかと、七海が立ち上がると玄関に繋がるドアが開いた。
「あっ……お帰りなさい!」
そこに立っていたのは、スーツ姿の龍一だった。いつも通り厳めしい雰囲気でニコリともせずにこちらを見ている彼の表情の理由が、特に自分を責めているからとか機嫌が悪いからというわけじゃないことを、もうとうに七海は理解している。そして妊婦である七海に気を使って、彼が既に洗面所で手洗いやうがいなども済ませて部屋に入ってきている事も。
「ただいま」
そう言って龍一は紙袋をダイニングテーブルに置いた。ずっしりと重そうな中身は羊羹だ。
「わぁ、ありがとうございます」
同封されていた小さなリーフレットによると、百年以上続く九州の老舗和菓子屋のものらしい。それも五本セット。
悪阻が終わって流石に羊羹ばかりおかしいくらい食べる、と言うほどではなくなったが、あれ以来すっかりそれがお気に入りになった七海には嬉しいお土産だ。
「お義父さん、夕飯もう食べましたか?」
「いや」
「今用意しようと思っていた所なんです。出来たらお呼びしますね」
「ありがとう」
龍一は頷いて、着替えの為に部屋に戻って行った。
最近漸く知ったのだが、龍一は内視鏡手術を得意としている医師で、都内の病院の雇われ院長をしているようだ。通常はそちらに出勤するのだが、地方の病院に請われて手術をしたり他県にある施設で手術の講義などをしていることも多いらしい。
近頃特に龍一の忙しさに拍車が掛かったようで、彼がいつ帰って来るのか、日本の何処にいるのかさえ七海は把握していない。……いや、ひょっとして海外にいるかもしれない、とも思ったりする。
黛家に暮らすことになった当初のことだが、結婚後クラウドにある龍一の予定表を閲覧できるようにしてくれたので、最近お義父さんと会わないな? と気になって確認したことがある。すると、ドイツにいることが分かった。
想像の範囲外過ぎて……それ以来確認すること自体、諦めた。元々龍一の仕事は不規則で、外で食べることも多いから食事などは気にしなくて良い、と言われている。それでも新婚当初、同居したばかりの頃は一応七海に気を使って割と連絡を入れたり、帰って来てくれていたようだ。その内元のペースに戻って来たようで、多忙な龍一と顔を合わせる機会は激減した。ほぼ黛と二人で暮らしているような気分だ。
しかし産休中の七海は現在家にいることが多いので、このように突発的に顔を合わせる機会が増えた。出掛けた後誰もいない部屋に帰って来たと思い込んで、お風呂に入りご飯を食べてテレビを見ていたら、防音室からヌッと龍一が現れて心臓が止まるかと思った事もある。
だから龍一の食事については特に用意はしていないのだが、お祖母ちゃんの作り置きおかずが常備されている冷蔵庫は無敵なのだ……! 咄嗟に人が増えても、問題なく対処できる。
食事の支度を終えた所で、ちょうど龍一が着替えを終えて戻って来た。
義父と二人切りの食卓は、いつも静かだ。
向かい合って食事をする間、龍一は特に口を開くこともないが、それにもすっかり慣れた。黛によると、龍一は食事の時も仕事のことを考えていることが多いらしい。せめてお仕事の邪魔はしないようにと、七海も必要以上に話し掛けたりはしない。
しかしその龍一が、珍しく口を開いた。
「予定日はいつだ?」
「えーと……一応、十日後です」
「そうか。体調はどうだ?」
「元気です。あっ……この子も順調です」
超多忙な上にマイペース、息子夫婦の新婚生活にほとんど苦言も要望も示さない龍一が、わざわざ自分と子供のことを気遣ってくれたことが、七海は何だか嬉しくなった。
「龍之介は立ち会いたいみたいなので、予定日がちょうど休日にあたると喜んでいるんですけど……そんなに都合よくぴったり産まれる、なんて無理だろうなって。初産は出産が遅れがちだって、検診の時に先生もおっしゃっていましたし」
なかなか自由に休める職場じゃないのは、七海も承知している。実家の祖母が間に合えば来てくれるとも言っているし、近くに親友の唯だっている。それに出産時に一人だとしても、アットホームな産婦人科だから特に心細いとは思わないだろう、と七海は考えていた。七海より黛の方が、立ち合いに関する情熱がずっと強いように思えた。ひょっとすると職業柄の探求心から、経験しておきたいと言うのもあるかもしれない。
「そうでもない」
すると食事を食べ終わった龍一が、箸を置いてそう応えた。一瞬、何が『そうでもない』のか七海にはピンと来なかったが、彼が続けた説明でその意図する所を漸く理解する。
「腹の子に予定日に産まれるように、今から頼んでおくと良い」
「アハハ、お義父さんがそんな冗談言うなんて、珍しいですね」
思わず笑った七海だが、改めて義父の顔を見ると全く笑っていなかった。……真顔だ。いや、龍一が冗談を言って大笑いする所など、これまで見たことはないのだが。
「現に俺も立ち会った。ほとんど手術で埋まっていた予定の、たまたま一日だけ空いている日に生まれたんだ。玲子が繰り返し頼んでいたのを、アイツが酌んだらしい」
迫力のある真顔のまま、龍一がそう語った。
胎児はお腹の中に居る時から、耳で子宮の外の音を聞いているらしい。だから『胎教』などと言う言葉があって、モーツァルトを聞かせたり、優しく話し掛けたりするのが良いとされている。胎児の発育に良い影響を与えるそうだ。
もちろん七海も、普段から『りゅうちゃん』にいちいち話し掛けている。更に言うと、黛は胎内記憶があった、と言うようなことも話していた。だから玲子がお願いしていたとしたら、その言葉自体はお腹の中にいた黛にも聞こえていて覚えていた可能性はあると思う。
しかし生まれて来る日にちまで理解して、その通りに本人の意思で生まれて来るなんてことが―――果たして、このお腹の中で眠っている、ちっぽけな生命に可能なのだろうか。普段から見るからに理路整然としていて、科学の最先端にいるような仕事をしている龍一が当り前のような口調で話すのが、何だか七海には不思議だった。
「もしそうだったら……龍之介も喜ぶとは思いますけど……」
「確かに非科学的だし、法則が立証されている訳でもないが」
濁した口調に否定の意味を感じ取ったらしい龍一が、僅かにフッと口元を緩めた。
「やってみたら良い。ただの迷信や慣習と思われていた現象が、のちのち科学的な裏付けを得る例など幾らでもある」
経験や年齢に裏打ちされた龍一の語り口には、何か途轍もない説得力がある。他の人が言うと眉唾のように聞こえそうなことも、義父から聞くと重々しく聞こえるから不思議だ。
だから確かに、と特に学も経験も無い一般人の七海は頷かざるを得ない。
でも例えりゅうちゃんが七海の言葉を理解できたとしても、七海が説得している時間に彼がたまたま寝ていたり、話が聞こえていても面倒くさくて聞き流したりすることも……普通にあるような気がするけれど。とも思う。
とは言え、やってみて実害があるワケでもなし。出産までは比較的暇な時間を過ごしているのだし、立ち会える日に生まれて来るように『りゅうちゃん』にお願いしてみるのも、アリかもしれない。と七海は思い直した。
七海にとっては初めての出産だ。色々理由を上げて、平気! と思いつつも、やはり不安は残る。できれば黛が傍に居てくれれば、とても心強いと思うのだ。
「そうですね。せっかくだから、ダメもとでやってみます……!」
そう力強く請け負った七海だったが、直ぐに自分の失言に気付いて口を押さえた。
「……あっ、スイマセン。『ダメもと』なんて」
慌てて撤回の言葉を口にした七海に、龍一は首を振って笑ったのだった。
珍しく声を出して笑う龍一に目を丸くしながらも、七海は「本当にりゅうちゃんがお願い聞いてくれたら嬉しいな」と思うのだった。
ーーーーーーーーーーーーーー
お読みいただき、誠に有難うございました!
P.S.久し振りなので、手を付けてから投稿までえらく時間が掛かりました…( ゚Д゚)
「あっ……お帰りなさい!」
そこに立っていたのは、スーツ姿の龍一だった。いつも通り厳めしい雰囲気でニコリともせずにこちらを見ている彼の表情の理由が、特に自分を責めているからとか機嫌が悪いからというわけじゃないことを、もうとうに七海は理解している。そして妊婦である七海に気を使って、彼が既に洗面所で手洗いやうがいなども済ませて部屋に入ってきている事も。
「ただいま」
そう言って龍一は紙袋をダイニングテーブルに置いた。ずっしりと重そうな中身は羊羹だ。
「わぁ、ありがとうございます」
同封されていた小さなリーフレットによると、百年以上続く九州の老舗和菓子屋のものらしい。それも五本セット。
悪阻が終わって流石に羊羹ばかりおかしいくらい食べる、と言うほどではなくなったが、あれ以来すっかりそれがお気に入りになった七海には嬉しいお土産だ。
「お義父さん、夕飯もう食べましたか?」
「いや」
「今用意しようと思っていた所なんです。出来たらお呼びしますね」
「ありがとう」
龍一は頷いて、着替えの為に部屋に戻って行った。
最近漸く知ったのだが、龍一は内視鏡手術を得意としている医師で、都内の病院の雇われ院長をしているようだ。通常はそちらに出勤するのだが、地方の病院に請われて手術をしたり他県にある施設で手術の講義などをしていることも多いらしい。
近頃特に龍一の忙しさに拍車が掛かったようで、彼がいつ帰って来るのか、日本の何処にいるのかさえ七海は把握していない。……いや、ひょっとして海外にいるかもしれない、とも思ったりする。
黛家に暮らすことになった当初のことだが、結婚後クラウドにある龍一の予定表を閲覧できるようにしてくれたので、最近お義父さんと会わないな? と気になって確認したことがある。すると、ドイツにいることが分かった。
想像の範囲外過ぎて……それ以来確認すること自体、諦めた。元々龍一の仕事は不規則で、外で食べることも多いから食事などは気にしなくて良い、と言われている。それでも新婚当初、同居したばかりの頃は一応七海に気を使って割と連絡を入れたり、帰って来てくれていたようだ。その内元のペースに戻って来たようで、多忙な龍一と顔を合わせる機会は激減した。ほぼ黛と二人で暮らしているような気分だ。
しかし産休中の七海は現在家にいることが多いので、このように突発的に顔を合わせる機会が増えた。出掛けた後誰もいない部屋に帰って来たと思い込んで、お風呂に入りご飯を食べてテレビを見ていたら、防音室からヌッと龍一が現れて心臓が止まるかと思った事もある。
だから龍一の食事については特に用意はしていないのだが、お祖母ちゃんの作り置きおかずが常備されている冷蔵庫は無敵なのだ……! 咄嗟に人が増えても、問題なく対処できる。
食事の支度を終えた所で、ちょうど龍一が着替えを終えて戻って来た。
義父と二人切りの食卓は、いつも静かだ。
向かい合って食事をする間、龍一は特に口を開くこともないが、それにもすっかり慣れた。黛によると、龍一は食事の時も仕事のことを考えていることが多いらしい。せめてお仕事の邪魔はしないようにと、七海も必要以上に話し掛けたりはしない。
しかしその龍一が、珍しく口を開いた。
「予定日はいつだ?」
「えーと……一応、十日後です」
「そうか。体調はどうだ?」
「元気です。あっ……この子も順調です」
超多忙な上にマイペース、息子夫婦の新婚生活にほとんど苦言も要望も示さない龍一が、わざわざ自分と子供のことを気遣ってくれたことが、七海は何だか嬉しくなった。
「龍之介は立ち会いたいみたいなので、予定日がちょうど休日にあたると喜んでいるんですけど……そんなに都合よくぴったり産まれる、なんて無理だろうなって。初産は出産が遅れがちだって、検診の時に先生もおっしゃっていましたし」
なかなか自由に休める職場じゃないのは、七海も承知している。実家の祖母が間に合えば来てくれるとも言っているし、近くに親友の唯だっている。それに出産時に一人だとしても、アットホームな産婦人科だから特に心細いとは思わないだろう、と七海は考えていた。七海より黛の方が、立ち合いに関する情熱がずっと強いように思えた。ひょっとすると職業柄の探求心から、経験しておきたいと言うのもあるかもしれない。
「そうでもない」
すると食事を食べ終わった龍一が、箸を置いてそう応えた。一瞬、何が『そうでもない』のか七海にはピンと来なかったが、彼が続けた説明でその意図する所を漸く理解する。
「腹の子に予定日に産まれるように、今から頼んでおくと良い」
「アハハ、お義父さんがそんな冗談言うなんて、珍しいですね」
思わず笑った七海だが、改めて義父の顔を見ると全く笑っていなかった。……真顔だ。いや、龍一が冗談を言って大笑いする所など、これまで見たことはないのだが。
「現に俺も立ち会った。ほとんど手術で埋まっていた予定の、たまたま一日だけ空いている日に生まれたんだ。玲子が繰り返し頼んでいたのを、アイツが酌んだらしい」
迫力のある真顔のまま、龍一がそう語った。
胎児はお腹の中に居る時から、耳で子宮の外の音を聞いているらしい。だから『胎教』などと言う言葉があって、モーツァルトを聞かせたり、優しく話し掛けたりするのが良いとされている。胎児の発育に良い影響を与えるそうだ。
もちろん七海も、普段から『りゅうちゃん』にいちいち話し掛けている。更に言うと、黛は胎内記憶があった、と言うようなことも話していた。だから玲子がお願いしていたとしたら、その言葉自体はお腹の中にいた黛にも聞こえていて覚えていた可能性はあると思う。
しかし生まれて来る日にちまで理解して、その通りに本人の意思で生まれて来るなんてことが―――果たして、このお腹の中で眠っている、ちっぽけな生命に可能なのだろうか。普段から見るからに理路整然としていて、科学の最先端にいるような仕事をしている龍一が当り前のような口調で話すのが、何だか七海には不思議だった。
「もしそうだったら……龍之介も喜ぶとは思いますけど……」
「確かに非科学的だし、法則が立証されている訳でもないが」
濁した口調に否定の意味を感じ取ったらしい龍一が、僅かにフッと口元を緩めた。
「やってみたら良い。ただの迷信や慣習と思われていた現象が、のちのち科学的な裏付けを得る例など幾らでもある」
経験や年齢に裏打ちされた龍一の語り口には、何か途轍もない説得力がある。他の人が言うと眉唾のように聞こえそうなことも、義父から聞くと重々しく聞こえるから不思議だ。
だから確かに、と特に学も経験も無い一般人の七海は頷かざるを得ない。
でも例えりゅうちゃんが七海の言葉を理解できたとしても、七海が説得している時間に彼がたまたま寝ていたり、話が聞こえていても面倒くさくて聞き流したりすることも……普通にあるような気がするけれど。とも思う。
とは言え、やってみて実害があるワケでもなし。出産までは比較的暇な時間を過ごしているのだし、立ち会える日に生まれて来るように『りゅうちゃん』にお願いしてみるのも、アリかもしれない。と七海は思い直した。
七海にとっては初めての出産だ。色々理由を上げて、平気! と思いつつも、やはり不安は残る。できれば黛が傍に居てくれれば、とても心強いと思うのだ。
「そうですね。せっかくだから、ダメもとでやってみます……!」
そう力強く請け負った七海だったが、直ぐに自分の失言に気付いて口を押さえた。
「……あっ、スイマセン。『ダメもと』なんて」
慌てて撤回の言葉を口にした七海に、龍一は首を振って笑ったのだった。
珍しく声を出して笑う龍一に目を丸くしながらも、七海は「本当にりゅうちゃんがお願い聞いてくれたら嬉しいな」と思うのだった。
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