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本編 平凡地味子ですが『魔性の女』と呼ばれています。
49.話は変わりますが
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七海は首を捻りながらも助手席に収まった後、手早くシートベルトを付けた。手間取って黛に手を出され、また無駄にドキドキさせられてはたまったもんじゃないと思ったからだ。
カチリと金具が嵌る音がして七海がしっかりと助手席に収まった後、黛がスムーズに車を発進させた。
「あのさ」
七海は流れる景色を見るともなく見ながら尋ねた。
「何でわざわざこんな所まで来たの?忙しいのに」
「は?昼ご飯を食べに来たに決まってるだろ」
「そうじゃなくて―――」
何を当り前の事を聞くのか?と言うような黛の台詞に、七海は少し苛立ちを感じながら重ねて尋ねた。
「黛君の家の近くか、勤務先の近くで食べれば良いじゃない?車でこんな所まで来て私とご飯食べてたら寝る時間が削られるでしょ?なのに何でわざわざここまで来たのかって思ったの!」
すると黛は何でも無いような口調でサラリと爆弾を投下した。
「七海に会いたかったから」
一瞬時が止まった。
「七海とご飯が食べたかった。俺がそうしたいからそうしただけだ」
「なっ……えっ……」
油断していた七海は正面から攻撃を食らって、一溜りも無い。
言葉を継ぐ事もできず、真っ赤になって口籠った。
思わず左隣を振り返ると、運転手は憎らしいほど涼しい顔で顔色一つ変えずハンドルを握っている。
七海を思いっきり動揺させる台詞を放っておきながら―――本人はどうとも思っていないのだと思い知らされ、開いた口が塞がらなかった。
すると更にマイペースな男は彼女に追い討ちを掛けるのだった。
「―――そんな事より―――お前、この先どうする気だ?立川って聞く限りは結構優良物件なんだろ?それを断るなんて―――他に当てがあるのか?……と言うか、そもそもお前はこの先、結婚をする気があるのか?」
カチリと金具が嵌る音がして七海がしっかりと助手席に収まった後、黛がスムーズに車を発進させた。
「あのさ」
七海は流れる景色を見るともなく見ながら尋ねた。
「何でわざわざこんな所まで来たの?忙しいのに」
「は?昼ご飯を食べに来たに決まってるだろ」
「そうじゃなくて―――」
何を当り前の事を聞くのか?と言うような黛の台詞に、七海は少し苛立ちを感じながら重ねて尋ねた。
「黛君の家の近くか、勤務先の近くで食べれば良いじゃない?車でこんな所まで来て私とご飯食べてたら寝る時間が削られるでしょ?なのに何でわざわざここまで来たのかって思ったの!」
すると黛は何でも無いような口調でサラリと爆弾を投下した。
「七海に会いたかったから」
一瞬時が止まった。
「七海とご飯が食べたかった。俺がそうしたいからそうしただけだ」
「なっ……えっ……」
油断していた七海は正面から攻撃を食らって、一溜りも無い。
言葉を継ぐ事もできず、真っ赤になって口籠った。
思わず左隣を振り返ると、運転手は憎らしいほど涼しい顔で顔色一つ変えずハンドルを握っている。
七海を思いっきり動揺させる台詞を放っておきながら―――本人はどうとも思っていないのだと思い知らされ、開いた口が塞がらなかった。
すると更にマイペースな男は彼女に追い討ちを掛けるのだった。
「―――そんな事より―――お前、この先どうする気だ?立川って聞く限りは結構優良物件なんだろ?それを断るなんて―――他に当てがあるのか?……と言うか、そもそもお前はこの先、結婚をする気があるのか?」
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