グロキシニアオンライン ーDEATH RPGー

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　†闇夜†#GO @tokoshie -42分
　ふ～もうこんな時間か。またこんな時間までやってしまった。明日は仕事だってのによー！

　ハム姉#GOハマり中 @hamunee-san -10分
　@tokoshie おはよう。5時だよ。さあGOの時間だ！！

　xoxo#GO @xoxoxoxoxo555 -6分
　疲れた。負けて悔しくてやり過ぎた。MIRIAとR強すぎ。勝てる気がしない……。

　＊＊＊


「……ふふ！！」

　キーワード検索 "グロキシニアオンライン　GO　MIRIA"。
　すると、わーーーーっとツミートが羅列する。

『MIRIA嫌い』『MIRIA強い』『MIRIAみたいな強いヒーラーになりたい』『MIRIAは男？　女？』『知らない……でも男キャラ使ってるよね』『名前は女っぽいけど中身はただのおじさんだよ』『強くて可愛い幼女なんて存在しない』『男か』『腐女子かもよ？』『リアルはどうだっていいけどゲームセンスは抜群』『センス良い人はリアルもセンス良い』『じゃあ綺麗なお姉さん？』『そうかも！』

　羅列する、MIRIAの評価。
　私の評価！！
　悪い事もあるけど良い事もある。

　グロキシニアオンライン、長年愛され続けているオンラインRPG。開始から十年、できたてほやほやのオンラインだったRPGが今でもずっとTmitterやYouTomeで話題となっている。ダウンロード数は開始一ヶ月にして500万人突破。今では一億人以上のプレイヤーが存在している。

　長年続いているので特に目新しいものは無いが高難易度ダンジョンやプレイヤーvsプレイヤーのバトルアリーナが存在する。そこで私はバトルアリーナにてランキング第1位のヒーラーとして活躍をしていた。

　始めて三年経ったかな？　学生の頃から、帰ったら朝までRPGを繰り返し。
　もう、ここが私の拠り所……現実から解放される唯一の場所。
　
　現実なんて……。



　ぴこっ。

　MIRIAがログインしました。

　Jake: みりあさん、おはよう。こんな時間にINなんて珍しい。
　MIRIA: じゃっくんおはよう！　今日は早起きなんだ。……よし、バトルアリーナに行こう。
　Jake: え……早速？
　ぺるる: みりあさ～ん、ぺるるも混ぜて！
　A-A1: キルクエあるから消化しに俺も行きたい～。入れるかな～？

　INして早速、チャットスペースを開いてカタカタとタイプを打ち込む。
　画面いっぱいに草原が広がった。私の自慢のキャラクターが背を向けて立ち尽くす。リアルでは女だけれど、このゲームでは事細かくキャラクターの設定ができるので、思わず自分の理想の男性キャラクターを作ってしまった……。クリエイトに一日かかったのは今でも良い思い出。

　金髪のウルフカット、白肌に王子様のような凛とした目つき、そして赤目。身長は175cmの細身設定にした。ヒーラーなので白の裾が長いローブを身に纏い、足元ぐらいの長さまである黒のマントを羽織っている。
　そして、ダンジョン周回してやっと手に入れられた勇者の杖という神々しいものを背負った、誰もが羨むであろう装備を兼ね備えていた。

　ふふ……今の私は、チームメンバーの守護神！　殺すも生かすも私次第！！　


　右上にミニマップが表示されて、その周りにいくつか小さな丸いアイコンがある。クエストの『？』マーク、フレンドリストは互いに『握手』しているマーク、そして、バトルアリーナに移動ができる『剣』マーク。　
　私はカーソルを剣に当てて、左クリックする。



　――――バトルアリーナに参加しますか？

『はい』『いいえ』


　迷わず『はい』を押した。

「…………スタート！！」

　
　画面が真っ暗になる。そして下にロードラインが表示される。いつも三分の一辺りでニ、三秒ほどラインが止まり、時間を喰う。


「…………ん？？」

　今日はやけに遅いな……。エラーかな？　最近エラー落ちが多いんだよね。
　何でだろう……PCの寿命かな？　でも買い替えたばっかだし。ルーターの接続が悪いのかな？
　ゲーム音はミュートにしているので、部屋中が沈黙に陥る。

　Tmitterで念の為、ツミートしておこうかな……？？

　と思ったら、ロードラインが稼働し始めた。
　よかった！　無事になんとかなりそう。

　すると、画面が切り替わり、何人ものプレイヤーが画面いっぱいに溢れかえった。

　え～と、まずはチャットで誘われたぺるるさんとA-A1さんをパーティに誘おうかな……？　一生懸命に二人のアバターを探す。まだ処理ができてないのかキャラの頭上にネームが表示されない。
　ぺるるさんがちびっ子で、赤髪お団子の二つ結びかつ水着キャラ、A-A1さんは何だかよく分からない……まるでゾンビのような包帯を全体的にぐるぐる巻にした男キャラ。
　
　んーー……どっちも分かりやすいと思うんだけどな。見当たらない。


「あっ……！！」

　Jakeさん！！　Jakeさんも来てる。パーティに誘おう。
　Jakeさんは私の好みの容姿してるからすぐに分かった。同じウルフカットの黒髪、キッとした目つきの赤目で少し褐色の男キャラ。両手に炎が燃え上がっているような短剣を握っている。
　ネーム横に小さく丸い短剣のマークが。ジョブは未だチーフなのが分かる。
　転職もできるのに、相変わらずJakeさんはチーフばかりレベルを上げてるんだ。

　パーティに誘うと早速参加をしてくれて、Jakeさんの体力とマナが左に私のステータス下に表示された。

　では、問題はぺるるさんとA-A1さん。PC処理が追いついてネームがやっと表示されたのにまだ見つけられない。


　すると……、

「R……まさか」

　ネーム、R。男キャラを使用している銃使いベルセルク。
　彼は私以上にポピュラーな人で、過半数の人が彼の名を知ってるんじゃないかというくらいに強い。装備も勿論ほぼ揃っているし、新装備がアップデートで増えれば増えるほど彼がバトルアリーナにて試着するので皆はそれを真似る。
　話したことがないしチャットでも彼が喋っているところを見たことがないので、皆は謎めいたプレイヤーとして噂が絶えなかった。
　ただ、中には実は女たらしだとか、復帰勢のプロゲーマーとか、ニートだとか散々な物言いをする人もいるんだけれど……。
　
　そんな人とまさかこんな近くでお会いできるのなんて。
　何年もプレイしてきたけど、Rに関してはつい最近話題になった人だから初めて見た。バトルアリーナはいくつものルームが存在するから今まで運悪くお互いに別ルーム居たんだろうなと思う。

　……お手並み、拝見…………。ちょっと、ドキドキする。


　しかもRのキャラクターは何故かデフォルトアバター。このゲーム内のNPCでよく見るツンツンの短髪。可もなく不可もない標準な体型、肌色。衣装は課金コスチュームなどで上書きもせず、勝ち抜いた最強装備が厳つく露わになっている。　

「……もっと、カッコよければいいのになぁ」

　

　ぺるる: MIRIAさん！　パーティ組んでるみたいだけど、そっちに入れてもらえる？
　A-A1: はよ！
　MIRIA: すいません！　今誘います。


　ヤバイヤバイ、ついRさんに魅入ってしまった。というか二人を見つけられないし、チャット欄からネームクリックしてパーティに誘おう……。
　
　えーっと、まずはぺるるさん。



　――エラーが発生しました。

「あれ？」

　――エラーが発生しました。

「え、エラー？？　エラーなのにチャット欄に表示？」

　しかも、赤字で。
　そしたらゲーム事態はまだ稼働しててサーバーの接続としては問題ないということ？　なんだ……？　ぺるるさんをパーティに誘いたいだけなのにエラーが発生する。チャットで様子を見ようかな……？




　MIRIA: ごめんなさい。赤字でエラーが発生したと表示されるんですが。

　――エラーが発生しました。

　MIRIA: 私の接続が悪いんでしょうか？　チャット送るだけでもエラーが出るんですが。というか、私のチャット見えてる方いますか？

　――エラーが発生しました。

　ぺるる: 私もです。
　A-A1: 俺も。おーい、運営～。
　MIRIA: 二人もですか。そしたら私だけの問題ではなさそう。このエラーはアリーナ内のみでしょうか。街にいる方達はどうですか？　大丈夫そうでしょうか？

　――エラーが発生しました。
　――エラーが発生しました。
　――エラーが発生しました。


「あ……ああっ……なんだろう、これ……」

　急にプツンとブラックアウトする画面。
　思わずマウスから手を放した。

　エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生エラーが発生。