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私の好きな人※※

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「イッたか‥‥‥後ろも触るぞ」

「あっ、そこは‥‥‥」

「大丈夫だ。君の初めては私が貰う‥‥‥責任は取らせてくれ。一生大事にするから」

(そういう事じゃ‥‥‥しかも、僕はベータだ)

「跡継ぎのことは気にしなくていい。ベータでも子供が産める魔術薬が完成したんだ。先日、甥が生まれたし‥‥‥何なら甥に継がせればいい」

「あっ、あっ、あ‥‥‥」

 ミハエル殿下は、再び僕の竿を扱きながら胸の先端を口に含むと舌先で舐めていた。

「やんっ‥‥‥」

「今日は、忘れられない夜にしてあげるからね‥‥‥」

 ミハエル様は微笑むと、その後も私への愛を深めていった。


*****


 朝になってベッドから起き上がると、私は顔を青くした。隣には、嬉しそうな顔で眠るミハエル様がいる。

(殿下と寝るなんて‥‥‥私は、何てことを‥‥‥)

「おはよう」

「おはよう‥‥‥ございます」

「よく眠れた?」

「‥‥‥はい」

「私も、今日はよく眠れたんだ。だから、ご褒美が欲しい」

(ご褒美?)

 殿下は私をベッドに押し倒すと、私の素肌を肩から鎖骨にかけて人差し指で撫でて、満足そうな顔をしていた。

「私の跡がいっぱい付いてて、嬉しい。エリックが、おかしくなってない時も、私はエリックに触れたい‥‥‥ダメかな?」

 ミハエル様は、首を傾げながら私を見ていた。青い瞳に吸い込まれそうだ。

「ダメです‥‥‥神託があるでしょう?」

「『神に逆らってでも、君と一緒にいたい』と、言いたいところだけど‥‥‥昨日、北の領地に行って、神の声と話せる神官に、神託について聞いてもらったんだ。そしたら、ソルトレークは、既に婚約者から外れてた」

「それでは、新しい神託が‥‥‥」

「それなんだけど、敢えて『神託無し』にしてもらった」

「‥‥‥え?」

「そもそも、運命が決まってるなんて、おかしいだろ? 仮に、本当に運命の人がいたとして、結婚して一緒に生きていく事だけが、『運命』とは限らないと思うんだ。それに‥‥‥」

「それに?」

「運命の人が居ても居なくても、私は世界中の誰よりも、エリックを愛してる」

「‥‥‥」

「いつ、何があるか分からないからな‥‥‥今回のことで、その事に改めて気づかされた。今後は、後悔しないように生きていこうと思う」

「そう言えば、ミハエル様‥‥‥昨日、帰って来るの早かったですね?」

「エリックに渡したペンダントだよ‥‥‥エリックに命の危機が迫った時、一度だけ世界中の何処にいても、エリックの元へ駆けつけることが出来るペンダントだったんだ」

「まさか、転移魔法が刻まれた魔術具ですか? ペンダント1個で、国1つ買える値段がついたっていう‥‥‥ああんっ」

「エリックが足りない」

「昨日、かなり激しかったですよね?」

「私のものになって」

「まっ‥‥‥ああんっ‥‥‥殿下、今日は‥‥‥あっ‥‥‥」

 その後、再び激しく愛し合った私達は、二人で話し合って、共に人生を歩むことに決めたのだった。


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