2 / 3
王太子殿下の婚約者※※
しおりを挟む
ミハエル王太子殿下には、3才年上の婚約者がいる。もちろん、神託の相手だ。
神託が降りて、ミハエル王太子殿下の婚約者であることが確定した瞬間、お相手の男爵令息であるソルトレーク様は、ミハエル様以外に尊大な態度を取るようになった。
服装は派手になり、金遣いは荒く、お金が無くなると王家に金をせびっては、散財していた。高価な洋服はもちろん、宝石や靴にバッグと‥‥‥これでもかと言うほど買い物をしては、憂さ晴らしをしている様だった。
国の財政が傾きかけて、ミハエル様の父親である国王は悩みながらも、婚約を一時的に解消した‥‥‥神託が無ければ、とっくに婚約破棄されているところだろう。
一方、ミハエル様は神託が降りなかった公爵令嬢や、私と同じで婚約者を流行病で亡くしてしまった侯爵令息に迫られて、媚薬を盛られたりしていた。そのせいかは分からないが、殿下はオメガ性や女性が苦手だった。
私を気に入ってくれるのは構わないが‥‥‥正直、意味が分からない。『素朴な感じに惹かれたのかもしれない』などと、訳が分からない事を、客人がいる目の前で考えていた。
「なぁ‥‥‥茶も出してくれないのか?」
「王太子殿下は、今夜はお戻りになりません。ですので、お待ちいただいても‥‥‥」
「本当は、別の部屋にいるんだろ? お前の部屋に上がり込んでるのか? お前が王太子殿下のお気に入りって事は、掴んでるんだぜ。本当は居るのに、シラを切るつもりだな?」
「ソルトレーク様‥‥‥どうか、ご容赦ください。私は殿下から、『領地へ視察に行くから戻らない』としか、聞いておりません。それ以上の事を聞かれましても‥‥‥」
ミハエル様の婚約者である、男爵令息のソルトレーク様は、テーブルの上に置いていた小瓶を掴むと、手に持ったままの状態でテーブルの上を叩いていた。
「いい加減にしろ!! お前ら、できてるんだろ? 肩透かしを食らった婚約者を見て、『いい気味』とか言って、陰で笑うつもりだな‥‥‥馬鹿にするのも大概にしろ!!」
ソルトレーク様は、顔を真っ赤にして怒ると、瓶の蓋を開けて私の顎を掴んだ。瓶の中身を私の口の中へ流し込むように押し込むと、嚥下するように私の口を押さえていた。
「んっ‥‥‥」
「全部、飲めよ」
「‥‥‥げほっ、げほっ」
「即効性のある媚薬だよ‥‥‥お前は、今日ここで朽ち果てるんだ。戻ってきたミハエル様が見たら、さぞかし驚くだろうな」
「なんで‥‥‥」
なぜ、そんな無意味なことをするのだろう‥‥‥ミハエル様は、私が居なくても大丈夫なハズだ。私の変わり果てた姿を見たら、気に病むかもしれないが、それだけだ。私は一介の従者に過ぎない。
「そのままの状態で居続ければ、気が触れておかしくなるぞ。今夜が峠だろうな‥‥‥あばよ、ミハエル様のお気に入り」
ソルトレーク様は、小瓶をポケットへ入れると部屋から出ていった。
ソルトレーク様が去って、扉が閉まると身体が燃えるように熱くなっていった。ソルトレーク様の言うとおり、私はこのまま死ぬのだろうか‥‥‥私が死んだら、ミハエル様は少しは悲しんでくれるだろうか。
(‥‥‥私は、死ぬのか?)
意識が朦朧としてきて床へ倒れ込むと、目の前がぼやけてきた。
不意に胸元にあるペンダントが光っているのが見えた。侍従として働くようになって1年経った時に、王太子殿下から初めて貰ったプレゼントだった。
「これを、私の代わりだと思って大切にして欲しい」
今、思えば不思議な言葉だった。けれど、その時の私は『殿下がいない日も、これを見て頑張ればいいのか』などと、考えていた。
私はミハエル様を思い出しながら、ペンダントを握った。
(ミハエル様、助けて‥‥‥)
すると、握ったペンダントから光が溢れて、目の前にミハエル様が突如として現れた。
(もしかして、幻覚を見ているのか?)
「エリック、大丈夫か?」
「最期にミハエル様に会えて良かったです」
「何を言ってるんだ? ちっ、媚薬か‥‥‥アイツめ、本当にエリックを殺るつもりだったな」
「‥‥‥」
「もういい‥‥‥エリック、何も考えるな。感じてろ」
ミハエル様は、私を抱きしめると私の黒髪を撫でていた。しばらくして気がつくと、私はベッドの上にいた。いつの間にか裸になっていた私を、ミハエル様は青い瞳で見つめていた。
「みっ、はえ‥‥‥」
「大丈夫だ‥‥‥苦しくないよ」
ミハエル様に再び頭を撫でられた私は、涙を流していた。何故、自分が泣いているのかは分からなかったが、ミハエル様は悔しそうな顔をすると、私にキスをした。
「はじめてが、これなんて‥‥‥今日のは、カウントしないからな」
どうやら、ミハエル様は私と繋がるつもりでいるらしい‥‥‥『そんな事、させる訳にはいかない』そう思った私は、首を横に振った。
「今日の事も忘れないって事? 分かった。なるべく優しくするよ」
ミハエル様は何に納得したのか、僕の竿を掴むと、自身の竿と一緒に手のひらで包み込むように持って、上下に扱いていった。
「あ、ああああっ‥‥‥」
神託が降りて、ミハエル王太子殿下の婚約者であることが確定した瞬間、お相手の男爵令息であるソルトレーク様は、ミハエル様以外に尊大な態度を取るようになった。
服装は派手になり、金遣いは荒く、お金が無くなると王家に金をせびっては、散財していた。高価な洋服はもちろん、宝石や靴にバッグと‥‥‥これでもかと言うほど買い物をしては、憂さ晴らしをしている様だった。
国の財政が傾きかけて、ミハエル様の父親である国王は悩みながらも、婚約を一時的に解消した‥‥‥神託が無ければ、とっくに婚約破棄されているところだろう。
一方、ミハエル様は神託が降りなかった公爵令嬢や、私と同じで婚約者を流行病で亡くしてしまった侯爵令息に迫られて、媚薬を盛られたりしていた。そのせいかは分からないが、殿下はオメガ性や女性が苦手だった。
私を気に入ってくれるのは構わないが‥‥‥正直、意味が分からない。『素朴な感じに惹かれたのかもしれない』などと、訳が分からない事を、客人がいる目の前で考えていた。
「なぁ‥‥‥茶も出してくれないのか?」
「王太子殿下は、今夜はお戻りになりません。ですので、お待ちいただいても‥‥‥」
「本当は、別の部屋にいるんだろ? お前の部屋に上がり込んでるのか? お前が王太子殿下のお気に入りって事は、掴んでるんだぜ。本当は居るのに、シラを切るつもりだな?」
「ソルトレーク様‥‥‥どうか、ご容赦ください。私は殿下から、『領地へ視察に行くから戻らない』としか、聞いておりません。それ以上の事を聞かれましても‥‥‥」
ミハエル様の婚約者である、男爵令息のソルトレーク様は、テーブルの上に置いていた小瓶を掴むと、手に持ったままの状態でテーブルの上を叩いていた。
「いい加減にしろ!! お前ら、できてるんだろ? 肩透かしを食らった婚約者を見て、『いい気味』とか言って、陰で笑うつもりだな‥‥‥馬鹿にするのも大概にしろ!!」
ソルトレーク様は、顔を真っ赤にして怒ると、瓶の蓋を開けて私の顎を掴んだ。瓶の中身を私の口の中へ流し込むように押し込むと、嚥下するように私の口を押さえていた。
「んっ‥‥‥」
「全部、飲めよ」
「‥‥‥げほっ、げほっ」
「即効性のある媚薬だよ‥‥‥お前は、今日ここで朽ち果てるんだ。戻ってきたミハエル様が見たら、さぞかし驚くだろうな」
「なんで‥‥‥」
なぜ、そんな無意味なことをするのだろう‥‥‥ミハエル様は、私が居なくても大丈夫なハズだ。私の変わり果てた姿を見たら、気に病むかもしれないが、それだけだ。私は一介の従者に過ぎない。
「そのままの状態で居続ければ、気が触れておかしくなるぞ。今夜が峠だろうな‥‥‥あばよ、ミハエル様のお気に入り」
ソルトレーク様は、小瓶をポケットへ入れると部屋から出ていった。
ソルトレーク様が去って、扉が閉まると身体が燃えるように熱くなっていった。ソルトレーク様の言うとおり、私はこのまま死ぬのだろうか‥‥‥私が死んだら、ミハエル様は少しは悲しんでくれるだろうか。
(‥‥‥私は、死ぬのか?)
意識が朦朧としてきて床へ倒れ込むと、目の前がぼやけてきた。
不意に胸元にあるペンダントが光っているのが見えた。侍従として働くようになって1年経った時に、王太子殿下から初めて貰ったプレゼントだった。
「これを、私の代わりだと思って大切にして欲しい」
今、思えば不思議な言葉だった。けれど、その時の私は『殿下がいない日も、これを見て頑張ればいいのか』などと、考えていた。
私はミハエル様を思い出しながら、ペンダントを握った。
(ミハエル様、助けて‥‥‥)
すると、握ったペンダントから光が溢れて、目の前にミハエル様が突如として現れた。
(もしかして、幻覚を見ているのか?)
「エリック、大丈夫か?」
「最期にミハエル様に会えて良かったです」
「何を言ってるんだ? ちっ、媚薬か‥‥‥アイツめ、本当にエリックを殺るつもりだったな」
「‥‥‥」
「もういい‥‥‥エリック、何も考えるな。感じてろ」
ミハエル様は、私を抱きしめると私の黒髪を撫でていた。しばらくして気がつくと、私はベッドの上にいた。いつの間にか裸になっていた私を、ミハエル様は青い瞳で見つめていた。
「みっ、はえ‥‥‥」
「大丈夫だ‥‥‥苦しくないよ」
ミハエル様に再び頭を撫でられた私は、涙を流していた。何故、自分が泣いているのかは分からなかったが、ミハエル様は悔しそうな顔をすると、私にキスをした。
「はじめてが、これなんて‥‥‥今日のは、カウントしないからな」
どうやら、ミハエル様は私と繋がるつもりでいるらしい‥‥‥『そんな事、させる訳にはいかない』そう思った私は、首を横に振った。
「今日の事も忘れないって事? 分かった。なるべく優しくするよ」
ミハエル様は何に納得したのか、僕の竿を掴むと、自身の竿と一緒に手のひらで包み込むように持って、上下に扱いていった。
「あ、ああああっ‥‥‥」
125
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
かくして王子様は彼の手を取った
亜桜黄身
BL
麗しい顔が近づく。それが挨拶の距離感ではないと気づいたのは唇同士が触れたあとだった。
「男を簡単に捨ててしまえるだなどと、ゆめゆめ思わないように」
──
目が覚めたら異世界転生してた外見美少女中身男前の受けが、計算高い腹黒婚約者の攻めに婚約破棄を申し出てすったもんだする話。
腹黒で策士で計算高い攻めなのに受けが鈍感越えて予想外の方面に突っ走るから受けの行動だけが読み切れず頭掻きむしるやつです。
受けが同性に性的な意味で襲われる描写があります。
獅子王と後宮の白虎
三国華子
BL
#2020男子後宮BL 参加作品
間違えて獅子王のハーレムに入ってしまった白虎のお話です。
オメガバースです。
受けがゴリマッチョから細マッチョに変化します。
ムーンライトノベルズ様にて先行公開しております。
騎士団長である侯爵令息は年下の公爵令息に辺境の地で溺愛される
Matcha45
BL
第5王子の求婚を断ってしまった私は、密命という名の左遷で辺境の地へと飛ばされてしまう。部下のユリウスだけが、私についてきてくれるが、一緒にいるうちに何だか甘い雰囲気になって来て?!
※にはR-18の内容が含まれています。
※この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。
生まれ変わったら、彼氏の息子でした
さくら/黒桜
BL
貧乏アパートで恋人と幸せな日々を送っていた矢先、不慮の事故で死んでしまった良一は、サラリーマン風の天使に「転生希望調査」をされる。生まれ変わっても恋人の元に戻りたいと願うも、「代わりに二度と恋は実らない」と忠告されたその世界は、確かに元恋人・享幸の腕の中から始まったが――。
平成→令和へ。輪廻転生・やりなおし恋愛譚。
2021年1月に限定配信された「天上アンソロジー 〜From misery to happiness」収録作品です。
※単話配信に伴い、タイトルを変更しました。表紙絵:咲伯梅壱様
ブラッドフォード卿のお気に召すままに~~腹黒宰相は異世界転移のモブを溺愛する~~
ゆうきぼし/優輝星
BL
異世界転移BL。浄化のため召喚された異世界人は二人だった。腹黒宰相と呼ばれるブラッドフォード卿は、モブ扱いのイブキを手元に置く。それは自分の手駒の一つとして利用するためだった。だが、イブキの可愛さと優しさに触れ溺愛していく。しかもイブキには何やら不思議なチカラがあるようで……。
*マークはR回。(後半になります)
・毎日更新。投稿時間を朝と夜にします。どうぞ最後までよろしくお願いします。
・ご都合主義のなーろっぱです。
・第12回BL大賞にエントリーしました。攻めは頭の回転が速い魔力強の超人ですがちょっぴりダメンズなところあり。そんな彼の癒しとなるのが受けです。癖のありそうな脇役あり。どうぞよろしくお願いします。
腹黒宰相×獣医の卵(モフモフ癒やし手)
・イラストは青城硝子先生です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる