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落ち着かない気持ち
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馬車が走り出すと、俺は花束をフェイ殿下に押しつける様にして手渡した。
「今日、誕生日なんだろ? クリスから聞いたんだ。これは仕事を手伝ってくれた、お礼みたいなもんだよ」
「ありがとうございます。嬉しいです」
フェイ殿下が花束を見つめて嬉しそうに笑った瞬間、俺の中の何かが弾けた気がした。
「スミス様?」
「ああ、いやスマン‥‥‥。何でもない」
心臓が暴れているかのように、今でも心臓がバクバクしている‥‥‥。収まるようにと何度も深呼吸したが、フェイ殿下を見ると、もうダメだった。
俺はどうする事も出来ないまま、何も話せず、ただ窓の外を眺めていた。
「スミス様? 着きましたよ」
気がつくと馬車は停車しており、フェイ殿下は馬車を降りていた。タラップを踏むと、フェイ殿下が右手を差し出したので、俺は左手をフェイ殿下の手のひらに乗せて、馬車を降りた。
どこかの公園だということは分かったが、薄暗くて何処かは分からなかった。何故か俺達は公園の中にある小高い丘を登っていた。丘を登り切ると見晴らしがよく、遠くまで見渡せた‥‥‥。水平線が明るくなり始め、朝日が顔を覗かせていた。
その時だった。日の光が町と雲海を照らし、まばゆい光を放っていた。幻想的な景色に心を奪われ、俺は口を開けながら、呆然と景色を眺めていた。
「ね、キレイでしょう?」
フェイ殿下の笑顔を見た途端、再び心音が早くなっていき、息が詰まりそうになって、顔が熱くなっていった。俺はそっぽを向くと、小さな声で、ひと言だけ「ああ」と答えた‥‥‥。何て大人げない回答なんだろう。
フェイ殿下は、そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、「気に入って貰えたみたいで良かったです」と言っていた。
フェイ殿下の横顔を見て、俺は初めて気がついていた‥‥‥。好きになるのは、こういう気持ちだったのだなと。
「今日、誕生日なんだろ? クリスから聞いたんだ。これは仕事を手伝ってくれた、お礼みたいなもんだよ」
「ありがとうございます。嬉しいです」
フェイ殿下が花束を見つめて嬉しそうに笑った瞬間、俺の中の何かが弾けた気がした。
「スミス様?」
「ああ、いやスマン‥‥‥。何でもない」
心臓が暴れているかのように、今でも心臓がバクバクしている‥‥‥。収まるようにと何度も深呼吸したが、フェイ殿下を見ると、もうダメだった。
俺はどうする事も出来ないまま、何も話せず、ただ窓の外を眺めていた。
「スミス様? 着きましたよ」
気がつくと馬車は停車しており、フェイ殿下は馬車を降りていた。タラップを踏むと、フェイ殿下が右手を差し出したので、俺は左手をフェイ殿下の手のひらに乗せて、馬車を降りた。
どこかの公園だということは分かったが、薄暗くて何処かは分からなかった。何故か俺達は公園の中にある小高い丘を登っていた。丘を登り切ると見晴らしがよく、遠くまで見渡せた‥‥‥。水平線が明るくなり始め、朝日が顔を覗かせていた。
その時だった。日の光が町と雲海を照らし、まばゆい光を放っていた。幻想的な景色に心を奪われ、俺は口を開けながら、呆然と景色を眺めていた。
「ね、キレイでしょう?」
フェイ殿下の笑顔を見た途端、再び心音が早くなっていき、息が詰まりそうになって、顔が熱くなっていった。俺はそっぽを向くと、小さな声で、ひと言だけ「ああ」と答えた‥‥‥。何て大人げない回答なんだろう。
フェイ殿下は、そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、「気に入って貰えたみたいで良かったです」と言っていた。
フェイ殿下の横顔を見て、俺は初めて気がついていた‥‥‥。好きになるのは、こういう気持ちだったのだなと。
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