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初デート

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 フェイ殿下とフェイ殿下の連れて来た側近は優秀で、3人で手分けして仕事をしていたら、1週間で仕事は終わってしまった。

 フェイ殿下は予想以上に優秀で、俺が教えるとすぐに理解して、素早く仕事をこなしていた。何なら俺の倍速だ。

「ふだん兄上の執務を手伝っていますので‥‥‥」と言っていたが、それだけでこんなに早くできるものなのかと感心していた。

「スミス様。僕との約束、覚えてますか?」

「約束? あ、ああ。大丈夫だ」

 一瞬、とぼけようかとも思ったが、一生懸命仕事をしていたのを見ていたので、さすがに「行かない」とは言えなかった。

「明日は、朝4時に正門前にお願いします」

「朝4時?!」

「今日は、早く寝てくださいねっ‥‥‥。それでは失礼します」

 フェイ殿下は、それだけ言うと、自分の側近を連れて部屋から出ていった。

「えっ‥‥‥。って、オイ!!」

 誰も居ない部屋で呼びかけてしまった俺は、明日は何を着ていこうかと、真剣に悩んでしまっていた。


*****


 次の日の朝。俺はクリスに準備してもらった花束を抱えながら正門前に立っていた‥‥‥。昨日、何を着ていこうかと迷っていた俺は、あれからクリスのところへ行って相談していた。

 クリスは「普段着でいいと思う」と言っていたが、「花束を持っていくように」とも言っていた。今日はフェイ殿下の、18才の誕生日だという。

 そんな訳で、俺は朝からピンクのバラの花束を抱えて正門前に立っていた。クリス曰く、品種改良した花らしく、ピンクの花弁を間近で見ると、花びら1枚1枚がキラキラと煌めいていた。

 輝く花を抱えた30過ぎのおっさんって、はたから見たら、すごく滑稽だな‥‥‥。そんな事を考えていると、正門の反対側からフェイ殿下がやって来ていた。

「お早いですね‥‥‥。すみません、お待たせしてしまいましたか?」

「いや、いま来たところだ」

 本当に今さっき来たところだったが、フェイ殿下は申し訳なさそうに、俺を馬車の置いてあるところまで案内してくれた。


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