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魔術師大会
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1ヶ月後。城に併設されている競技場で、剣術大会と一緒に魔術師大会というものが開催されていた。
俺のところにも、『魔術師大会に出場しないか』という内容の手紙が来ていたが、仕事が忙しすぎて断っていた。
こんなに忙しいのに、魔術の練習なんて、やっている暇はない。どうせ、魔術大会なんてやっても、叔父上の伴侶である天才魔術師が優勝して終わりだろう‥‥‥。というより、毎回優勝とか、少しは空気読めよ。
仕事に忙殺されて忘れていた‥‥‥。もう一人、優秀な魔術師がいるという事を。
*****
「だー、分かったから。手を離してくれよ、クリス‥‥‥。今、準備するから!!」
魔術師大会当日、執務室には何故かクリスが来ていた。何でも、義弟の勇姿を観に行きたいのだとか‥‥‥。3日前に、そんな手紙が来ていた気がするが、すっかり忘れていた。
「もう‥‥‥。3人も子供がいるのに何やってるんだよ?」
「何か言った?」
「いや‥‥‥。子ども産んでから図太くなったって話」
「スミス公爵から、セクハラ受けたって訴えるよ? それに‥‥‥。城の中では、図太くなかったら生きてけないし」
「旦那は?」
「んー、確か当日は、警備の指揮をとるって言ってたかな」
クリスの旦那は王弟で、今年は騎士団長を兼任していると聞いている。
「ちなみに、何で騎士団長になったか聞いても?」
「聞きたい?」
「いや、いいや‥‥‥。やっぱ止めとく。準備してくるから、ちょい待ちな」
俺が隣室で着替えて出てくると、クリスはドアの前に立って待っていた。
「お前‥‥‥。綺麗になったな」
改めてよく見ると、クリスは以前より年をとっていたが、美しさに磨きがかかっていた。フォーマルドレスに髪を結い上げているだけなのに、見とれるほど美しい。見とれていると、脇腹をつつかれた。
「そういうのは、若い子に言ってくれる?」
クリスが右手を出していた。どうやら今日の俺は親友をエスコートしなければ、ならないらしい。
「お手をどうぞ、お姫様」
「プッ‥‥‥」
クリスは吹き出すと、俺の左手を掴んだのだった。
俺のところにも、『魔術師大会に出場しないか』という内容の手紙が来ていたが、仕事が忙しすぎて断っていた。
こんなに忙しいのに、魔術の練習なんて、やっている暇はない。どうせ、魔術大会なんてやっても、叔父上の伴侶である天才魔術師が優勝して終わりだろう‥‥‥。というより、毎回優勝とか、少しは空気読めよ。
仕事に忙殺されて忘れていた‥‥‥。もう一人、優秀な魔術師がいるという事を。
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「だー、分かったから。手を離してくれよ、クリス‥‥‥。今、準備するから!!」
魔術師大会当日、執務室には何故かクリスが来ていた。何でも、義弟の勇姿を観に行きたいのだとか‥‥‥。3日前に、そんな手紙が来ていた気がするが、すっかり忘れていた。
「もう‥‥‥。3人も子供がいるのに何やってるんだよ?」
「何か言った?」
「いや‥‥‥。子ども産んでから図太くなったって話」
「スミス公爵から、セクハラ受けたって訴えるよ? それに‥‥‥。城の中では、図太くなかったら生きてけないし」
「旦那は?」
「んー、確か当日は、警備の指揮をとるって言ってたかな」
クリスの旦那は王弟で、今年は騎士団長を兼任していると聞いている。
「ちなみに、何で騎士団長になったか聞いても?」
「聞きたい?」
「いや、いいや‥‥‥。やっぱ止めとく。準備してくるから、ちょい待ちな」
俺が隣室で着替えて出てくると、クリスはドアの前に立って待っていた。
「お前‥‥‥。綺麗になったな」
改めてよく見ると、クリスは以前より年をとっていたが、美しさに磨きがかかっていた。フォーマルドレスに髪を結い上げているだけなのに、見とれるほど美しい。見とれていると、脇腹をつつかれた。
「そういうのは、若い子に言ってくれる?」
クリスが右手を出していた。どうやら今日の俺は親友をエスコートしなければ、ならないらしい。
「お手をどうぞ、お姫様」
「プッ‥‥‥」
クリスは吹き出すと、俺の左手を掴んだのだった。
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