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10年後
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あれから10年経って、俺は30才になっていた‥‥‥。公爵の仕事は思ったより忙しく、叔父上みたいに優秀じゃない俺は、仕事に慣れるまで、10年かかってしまった。
公爵という身分もあり、令嬢との婚約話がいくつも持ち上がって、何回かデートをしたが、いつも振られてしまっていた。
『プレイボーイに見える』『浮気しそう』『不真面目』それが、断られるだいたいの理由だった‥‥‥。公爵としての仕事が落ち着いてきたと思っていたら、陛下から仕事の依頼が回ってきた。
仕事の内容は、不正が行われていないか『書類を確認する』仕事だった。最近、国庫の動きが目茶苦茶らしい‥‥‥。昔、監視管理団なんてのに務めていたせいで、また不正絡みの仕事が回ってきた。
骨が折れる‥‥‥。そう思いながらも、王弟殿下の配偶者が俺の親友な事もあって、結局は断りきれなかった。プレイボーイに見えるのに、いい人すぎるのも、きっと問題なんだろう。
そう思いながらも俺は、いつもの様に執務室へ向かう前に、宰相府へ行って、鍵を取りに行っていた。
最近は情報管理団なんてものが出来て、書類の管理も厳しくなり、鍵は宰相府の事務室に一括管理されていた。鍵を受け取ると、元来た道を戻らずに中庭を突っ切った。
──近道なんかしなけりゃ良かった
そう思う出来事があった‥‥‥。中庭に落とし穴があったのだ。昨日までは無かったのに、いったい誰が掘ったのだろうか。
「おいおい、嘘だろ‥‥‥。誰だよ、中庭に落とし穴なんか掘ったヤツ。おかしいだろ」
「‥‥‥ごめんなさい」
振り向くと、そこには綺麗な水色の髪をした青年が立っていた。透きとおるような水色の髪色に既視感を覚えたが、それが何なのかは分からなかった。
「殿下!! 大丈夫ですか?」
走ってきた侍従らしき男は、俺をチラリと見てから殿下の方へ駆け寄っていった。
(いや、おかしいだろ‥‥‥。どう見ても、俺の方が大丈夫じゃない)
「大丈夫です。問題ありません。人が埋まってしまったので、驚いてしまっただけです」
「左様でございましたか‥‥‥。あれ? スミス様じゃないですか?」
「は?」
「俺ですよ、俺。ほら、10年前‥‥‥。あなたが城での仕事を私に無茶ぶりした」
「あ、ああ‥‥‥。思い出した。あのヘッポコ騎士か」
「ヘッポコは余計です」
「それより、殿下って‥‥‥。今は国王に王弟と、その子供しかいないはずだろ? その子供も、まだ幼いと聞いている‥‥‥。そいつは誰なんだ?」
「第3王子です‥‥‥。殿下、彼へお話ししても構いませんか?」
「‥‥‥はい。構いません」
公爵という身分もあり、令嬢との婚約話がいくつも持ち上がって、何回かデートをしたが、いつも振られてしまっていた。
『プレイボーイに見える』『浮気しそう』『不真面目』それが、断られるだいたいの理由だった‥‥‥。公爵としての仕事が落ち着いてきたと思っていたら、陛下から仕事の依頼が回ってきた。
仕事の内容は、不正が行われていないか『書類を確認する』仕事だった。最近、国庫の動きが目茶苦茶らしい‥‥‥。昔、監視管理団なんてのに務めていたせいで、また不正絡みの仕事が回ってきた。
骨が折れる‥‥‥。そう思いながらも、王弟殿下の配偶者が俺の親友な事もあって、結局は断りきれなかった。プレイボーイに見えるのに、いい人すぎるのも、きっと問題なんだろう。
そう思いながらも俺は、いつもの様に執務室へ向かう前に、宰相府へ行って、鍵を取りに行っていた。
最近は情報管理団なんてものが出来て、書類の管理も厳しくなり、鍵は宰相府の事務室に一括管理されていた。鍵を受け取ると、元来た道を戻らずに中庭を突っ切った。
──近道なんかしなけりゃ良かった
そう思う出来事があった‥‥‥。中庭に落とし穴があったのだ。昨日までは無かったのに、いったい誰が掘ったのだろうか。
「おいおい、嘘だろ‥‥‥。誰だよ、中庭に落とし穴なんか掘ったヤツ。おかしいだろ」
「‥‥‥ごめんなさい」
振り向くと、そこには綺麗な水色の髪をした青年が立っていた。透きとおるような水色の髪色に既視感を覚えたが、それが何なのかは分からなかった。
「殿下!! 大丈夫ですか?」
走ってきた侍従らしき男は、俺をチラリと見てから殿下の方へ駆け寄っていった。
(いや、おかしいだろ‥‥‥。どう見ても、俺の方が大丈夫じゃない)
「大丈夫です。問題ありません。人が埋まってしまったので、驚いてしまっただけです」
「左様でございましたか‥‥‥。あれ? スミス様じゃないですか?」
「は?」
「俺ですよ、俺。ほら、10年前‥‥‥。あなたが城での仕事を私に無茶ぶりした」
「あ、ああ‥‥‥。思い出した。あのヘッポコ騎士か」
「ヘッポコは余計です」
「それより、殿下って‥‥‥。今は国王に王弟と、その子供しかいないはずだろ? その子供も、まだ幼いと聞いている‥‥‥。そいつは誰なんだ?」
「第3王子です‥‥‥。殿下、彼へお話ししても構いませんか?」
「‥‥‥はい。構いません」
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