伯爵令息になった第8王子は、魔族の次期領主に溺愛される

Matcha45

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 僕がファビエルくんに初めて会ったのは、家の近くにある川だった。

 その日、僕は1人で水浴びをしていた。すると、どこから来たのか‥‥‥。さっきまで誰もいなかった川の中に少年が立っていた。

 僕は不思議に思いながらも、川の中に1人で突っ立っている少年のことが気になっていた。

 その少年は、僕の存在に気がついていないのか、しばらくの間、自分の手のひらを見つめ続けていた。

「こんにちは」

 僕が声を掛けると、その少年はビックリしたのか、顔を赤くしていた。

「は、裸?!」

「いや、水浴びだよ‥‥‥。良かったら、君も一緒にどう? 何だか汚れているみたいだし」

 黒髪の少年は、顔以外が泥だらけだった。背丈は僕と同じくらいだったが、珍しい金色の瞳をしていた。僕は少年の衣服を水洗いすると、絞って近くの木陰に陰干ししてから、彼の身体と自分の身体を一緒に洗った。

「裸で一緒に洗いっこするのは、少し‥‥‥。恥ずかしくないか?」

「ん‥‥‥。何が?」

「いや、いい‥‥‥。それより、これを貰ってくれ」

 そう言うと、少年は何処からか水晶のペンダントを取り出していた。

「御守りだ」

「今日の御礼ってこと?」

「まあ、そうかな‥‥‥。これを肌身離さずつけていてくれ。何かあれば、必ず助けに行く」

「いいの?」

「‥‥‥うん」

「僕はリューン・レイル。よろしくね」

「ファビエルだ。よろしく」

 水浴びが終わって服も乾いた頃、ファビエルくんは僕を抱きしめて、額にキスをした。

 その行為が、やけに大人ぽくってドキッとしたけど、気がつくとファビエルくんは消えていた。

「また、遊びに来るよ」

 声が聞こえて空を見上げると、ファビエルくんは空中に浮いており、そのまま空から帰っていった。

「魔族の魔術かぁ‥‥‥。すごいなぁ」

 僕は空を見上げて、ファビエルくんの去っていった方角を見つめていたのだった。


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