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聖女カトリーナのとある一日 7
しおりを挟むお庭でアルトゥール様たちと別れ、神殿に行き、賛美歌を歌い神様を呼んだ。
「これ、町の名物スパイスシチュー! 神様どうぞ!」
昨日のお昼に結婚式の打ち合わせがてら食べに行ったのだ。
レストランはものすごく繁盛していた。
神様にもあげようとお持ち帰りにしてポシェットに入れてきたのだ!
神様にお供えするとふわんと消え、神殿が七色に光った。
『おいしい……! このぴりぴり、たまらないね……!』
神様が興奮している!
明日は結婚式を見守ってくれるそうだが、スパイスシチューを作ったレストランのマスターに加護を授けたい、と言い出した。
よかったねマスター!
それから、教会本部からの書類を受け取ってヒューのところへ戻った。
「せんせい! 野菜おいしいぞ!」
「お口に合ってよかったですポメ様」
ヒューとポメちゃんと、ハーラン先生の作ってくれたおいしい野菜サンドを食べる。
明日から3日ほど休暇を取るのでヒューは仕事を終わらせるのに忙しい。
新婚旅行は隣国でさんざん遊んで暮らしたのでなしにした。
食べながら本部からの書類をチェックして、なにか書きつけているヒュー。
仕事のできる男! ヒューかっこいい!
癒しを求めに来る人がいなければ、午後のカトリーナは暇だ。
いつもなら孤児院の子どもと遊んだりするのだが、今日はカトリーナの式の準備を子どもたちも手伝っているので遊べない。
ポメちゃんとボール投げをして遊んで過ごした。
夕方になり、ポメちゃんを肩に乗せヒューと手を繋いで帰る。
ヒューのママと、すっかりおしゃべりが上手になったルカくんと遊んで、パパのお迎えを待つ。
ヒューはルカくんの相手が上手だ。
きっとうちのパパみたいにいいパパになる。
カトリーナはそう考えて、気が早い、と頬を染めた。
そしてパパと集落に帰る。
ポメちゃんは今日はルカくんと寝るらしい。
小さな手に大きすぎるふわふわをぎゅっと抱きしめている。
「愛しい子! また明日!」
「ねーね! あちたね!」
「カトリーナ、また明日」
ヒューのくちづけを受け、門まで歩いてからじいちゃんを目印に帰った。
今日の夕飯はグラタン! それに今朝焼いたパンと、玉ねぎがたっぷりのスープ。
「カトリーナがこの家で夕飯を食べるのは、最後なんだね」
パパが寂しそうに言った。
「最後じゃないよ。ごはん食べに来るよ!」
集落に住むとアルトゥール様に言ったが、ヒューとカトリーナは結局町に住むことにした。
ヒューと『おでかけ』できない問題もあったが、ヒューのおうちの隣。
パパとママと住んでいた白いおうちが売りに出されたからだ。
ヒューが張り紙を見て教えてくれて、カトリーナはすぐに買いに走った。
不動産屋さんは走ってきた聖女に仰天していた。
前の住人は実家の商売を継ぐために首都に引っ越していったらしい。
パパはがらんとしたその家に立ち入って、泣いた。
「あのときは、かたづけて集落に帰るだけで精一杯で。じっくり、見なかったんだ。オリヴィア……」
建て売りの家だったが、ママが使いやすいようキッチンは改装したらしい。
ママが開けにくいと言ったから窓の鍵を取り替えて。
寝室の壁は変な紫色だったからパパが塗り替えて。
「どうしてここだけこんな色なのかしら、パトリック、て……それで白で塗ったんだ」
ぽつぽつと語るパパには新婚の頃のママの姿が見えているようだった。
頭金は嫁入り資金からパパが払ってくれた。
住宅ローンを払うため、カトリーナはお金を稼ぐのだ!
「そうだね。ヒューの部屋も作ったし、遊びにおいで」
「そうだ、いつでもじいちゃんに会いに来なさい」
「薔薇もあるもん、じいちゃんには毎日会いに来るよ! そうだ、あの薔薇ね高く売れそうなの! アルトゥール様がね……」
楽しく食事をして、『きれいになあれ』でさっとかたづけて、明日に備えて早くベッドに横になった。
あとがき
聖女としての給金もあるのでそう稼がなくても住宅ローンは払えますが、カトリーナが張り切ってるので誰もつっこみません。
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