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カトリーナと2回目のお祭り 2
しおりを挟む屋台のある通りは、教会に人が集まっている今は人が少ない。
今年もこの隙にゆっくり回ろう!
「なにを食べようかな?肉巻き米串はこのあいだも食べたし今日はいいかなぁ」
「待ってカトリーナ、今日だけ限定のスパイス味だって」
人通りの少ない中でも賑わう米串屋台を、カトリーナは素通りしようとしたがヒューが食いついた。
「ヒュー、一昨日の夕飯肉巻き米串だったって言ってなかった?あっでもいいにおーい」
「うん、母さんにパンを買ってきてって頼まれたんだけどつい米串を買っちゃったんだ。ね、スパイス味一本買おうよ。半分こしようよ」
ヒューが繋いだ手をくいくいとひっぱる。
ヒューは米串に目がないと最近わかってきた。
「そうだね、気になるね。おじさんスパイス味一本くださーい!」
「おっお嬢ちゃんに坊主!まいど! はいよ、本日限定スパイス味だよー」
カトリーナが肉巻き米串を受け取るとヒューがさっと硬貨を渡す。
私が、と口を開きかけたが、
「僕が食べたがったんだから、ね? ほら先に食べてみて?」
ヒューがいたずらっぽく片目を閉じた。
スマート……。
はふっと食欲そそる香りの肉巻き米串をかじる。
においでもしや、と思ったけど、カレーっぽい!
いつもの肉巻き米串に使うものより脂が多めのお肉にスパイスがよく合う!
「おいしーい!」
きらきら瞳を輝かせたカトリーナの手ごと米串を引き寄せてヒューも一口かじる。
「これは、おいしいね……!」
ヒューの瞳もきらきら輝いた。
肉巻き米串は今日も大ヒットの予感だ。
カレーライス作れないかなー?
ヒューもきっと好きだろうな、カレーライス!
一口ずつ交互に肉巻き米串を食べながら歩くと、昨年から気になっていた屋台を通りかかった。
「ヒュー、伝統菓子っていったいなにでできてるの? おいしい?」
派手なピンクや黄色で彩られた、棒。
カトリーナには正体がわからなかった。
「なにでできてるんだろう? 僕は甘すぎて得意じゃないんだ、あれ……」
屋台のおばあちゃんに話しかけて原材料を聞いてみるが、耳が遠いのか全く要領を得ない。
1つ買って味見してみることにした。
「カトリーナ、ほんとうに?」
「お試し! なんなのかすごく気になるの!」
硬貨を渡すと、好きなのを取れと示されたので、ピンクメインの棒を選びとった。
ぱくっとかぶりつくと、表面ががりっと硬く、中はすかすか。
そして歯にしみるほど甘い。
「あっっっまいぃぃ! ほ、ほんとなにこれ?!」
すかすかの中身も甘い。
ふ菓子みたいだ。中だけならまだいけるけど、この表面はなんなんだ。
ぺろぺろ味わってみたけど砂糖でもない……果物でもない……カトリーナは知らない甘さだ。
とにかく甘すぎる。
とても一本は食べられない。
ヒューが頬を染めて、舐めるのやめようか、というので、紙に包んで○次元ポケットに収納した。
パパにあげよう。
小さなお水のかたまりを出して口に含み、軽くゆすいで飲み込んだ。
「まだ口の中甘いー。なんかお口直ししたい……」
「甘すぎるでしょ。でもあれがすごく好きな人もいるんだ」
ほら、と屋台を示され振り向くと、高齢のご夫婦が伝統菓子を紙袋いっぱいに買い求めていた。
あとがき
ヒューは、ぺろぺろもされてみたいなと不埒なことを考えていました。
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