1 / 3
前編
しおりを挟む
その日、私は決意した。
「惚れ薬を作るしかない」と!
少し理由を説明したいと思う。
まず、私には今とても好きな人がいる。同じクラスの男子生徒、ロイ君。人目をひく長身、サラサラしていそうな黒髪、涼しげな目元に黒縁眼鏡。もう全てがかっこいい。大好き。
私が彼のことを好きになったのは、確かちょうど一年ほど前。
その日、私は大量のノートを教室に運んでいる最中だった。別に係でも何でもないのに先生に押し付けられ、断れなかったのだ。
積み上がったノートで前が見えない中廊下を歩く私に、喋りながら歩く生徒の肩がぶつかって、私はバランスを崩しノートを全部ぶちまけてしまった。涙目になる私。その時ノートを一緒に拾い集めてくれたのが彼、ロイ君だった。
無言で拾うのを手伝ったあと、拾い集めたノートの半分以上を持って一緒に教室まで運んでくれた彼に、私は恋をした。
だがここで問題が生じる。
ロイ君はもうとにかくかっこよくて、優しくて、ついでに運動もできるし成績もいい。女子にもモテる。対して私はといえば、全てが平凡。致命的な欠点がない代わりに、突出しているものも何もない。男子にモテたことなど一度もない。
つまり、私がどれだけ彼のことを好きだったとしても、彼が私のことを好きになる理由などどこにもないのである。
もちろん、だからと言って恋の成就を諦めた訳ではない。朝は必ず挨拶をするとか、休み時間に無駄に話しかけてみるとか、私なりに近づく努力はした。結果、友達くらいにはなれたと思う。でも私はそれでは不満なのだ。私を恋愛的な意味で好きになってほしいし、恋人になっていちゃいちゃしたい。
どうしたらもっと近づけるのかと考え続けて一年。
私は一つの結論に至った。つまり、「魔法の力に頼る」。私には彼をメロメロにさせるような魅力もないし、徐々に距離を詰めようにも友達どまり。だからこその魔法だ。魔法、この道しかない。
そこでなんの魔法を使うのかという問題だ。魔力が高い人間にはたまに目を見ただけで人を魅了したり、時には意のままに操ったりできる羨まし……いや、恐ろしい力を持った者がいるらしいが、平凡な私にはもちろんそんなことはできない。というわけで、手順さえ間違えなければ誰にでも使える魔法、魔法薬を利用しようと考えたわけである。
ご理解いただけただろうか?
というわけで、私は放課後早速図書館で惚れ薬の作り方を調べ始めた。
どうやら意外と簡単な材料でできてしまうらしく、学校で用意しているものと魔法薬学の勉強用に自前で揃えた材料とで今すぐにでも作れてしまう。これは危ないんじゃない? 好きな人にこっそり盛ろうとする人が出てもおかしくないよね。
さっそく魔法薬調合室に向かおうと本をもって立ち上がった時。
「あれ? ソフィー。何か調べごと?」
「ロイ君!」
なんと張本人に出くわしてしまった。
はわぁ、いつ見てもかっこいいなもう。今日じゃなければ放課後に出会えてラッキーって思うところなんだけど。ふと、自分がさっきまで見ていた本を手に持っていることに気づき、さっと隠した。魔法薬調合法の本だから隠す必要はよく考えたらないのだが、やましい気持ちがあるので。
「今なにか隠した?」
と、目ざとく気づき聞いてくる彼。
私はふるふると首を振った。
「な、何も。何も隠してないよ」
疑わしげな目を向ける彼にえへへと曖昧な笑みを浮かべてごまかそうとする。
本をこそこそと隠しながら図書室を後にする。
「じゃあね、また!」
「うん……? またね」
危ないところだった! いや別にこの本を見られてもなんともないんだけど!
私は図書室から出てから寮の自室により、必要な材料を取って調合室に向かった。
そして夜も更けてきた頃。
「やったー!完成!」
私の手には、禍々しい紫色の液体が入った小瓶が握られていた。
まさか1日でできちゃうなんて。魔法薬学だけはほんのちょっと得意でよかった!
でも問題は、どうやってこれをロイ君に飲んでもらうかだよね。まさか「惚れ薬だから飲んでください」なんて馬鹿正直に言うわけにもいかないし。飲み物に混ぜて渡そうにも、彼が私に渡された飲み物を飲んでくれるかはわからない。
考え込んでしまった私は、いずれにせよ明日以降のことだからと寮に戻ることにした。
調合室を出て、寮まで歩く。と、その途中。
「あれ、ソフィーだ。また会ったね」
なんていうんだっけ、デジャビュ?
「ぐ、偶然だね! こんな時間まで、何か用事でもあったの?」
「俺は散歩。ソフィーこそ、何か用事?」
優しげに微笑みながら、答えにくい質問をするロイ君。
あ、と私は思った。今はいつもの黒縁眼鏡つけてないんだな。眼鏡はすごく似合ってるけど、外してても素敵……。
そんなことを考えていたせいか、つい正直に答えてしまっていた。
「うん、魔法薬の調合をしてたの」
「そうなんだ。それってもしかして」
彼は私の持っている小瓶を指差した。
「それのこと? 図書館でも何か魔法薬について調べてたよね」
「そうなの、実は惚れ薬について調べてて」
あっ、口が滑っちゃった!
彼は私の目をじっと見てきた。その青い瞳に何だか吸い込まれそうで、ドキドキしてしまう。
あれ、もしかしてこれって惚れ薬を飲んでもらうチャンスなのでは?むしろ今しかないのでは? そう思って、私はほとんど無意識のうちに怪しげな小瓶を彼に差し出していた。
「あの、これ惚れ薬なんだけど、ロイ君に飲んでもらいたくて調合したの。飲んでほしい……」
そう口に出した瞬間、私ははっとして固まってしまった。
いやいやいやいや、おかしいでしょう。馬鹿正直に「飲んでください」だけはないってさっき思ったばかりなのに。
惚れ薬を飲んでくださいなんて言われて誰が飲むっていうの。終わりだ。この世の終わりだ。
絶望している私から彼はこともなげに小瓶を取り上げ、「惚れ薬って飲んだことないなぁ」なんて言いながら首をちょっと傾げて瓶の蓋を取った。そのまま、止める間も無く中身をこくりこくりと飲み干す。
「あー!」
飲んじゃった!飲んじゃったよ!
「なんで飲んじゃったの!」
私が悲鳴のような声を上げると、ロイ君は不思議そうな顔をした。
「なんでって、ソフィーが飲んでって言ったんでしょ?」
「いやそうだけど! そうだけども!」
「でも嬉しいよ、惚れ薬を俺に飲まそうとしたってことは、ソフィーは俺のことが好きなんだよね?」
にっこりと笑うロイ君。私は素直に頷く。
「う、うん……」
「俺もソフィーのことが前から好きだったんだ。だから、俺たちはもう恋人同士だね」
「う、うん……?」
ロイ君は私をふんわりと抱きしめた。
「ああかわいい、ソフィー。大好きだよ」
それから、ロイ君は宣言通り私を恋人として扱うようになった。
話している時よく体に触れてくるし、いつもかわいいって言ってくれるし、たまにキスもしてくれる。
だけど私は彼が甘く優しく接してくれるほど、自分の中で罪悪感がどんどん膨れ上がっていくのを感じた。だって、彼は本当には私のことを好きなんかじゃないのだ。ただ、魔法薬の効果で好きだと思い込んでいるだけ。
「ソフィー、どうしたの。悩み事?」
私の髪を撫でながら顔を覗き込むロイ君。
「ううん、なんでも……」
この優しい声も仕草も表情も、本来は私に向けられるべきものじゃない。
私は彼のことが好きだなどと言いながら、彼の気持ちとか主体性とか尊厳とか、そういうものを全く尊重しようとしていなかったのだ。というか普通に考えて魔法で人の気持ちを捻じ曲げるなんて最低な人間のすることだ。私は最低だ。
どうして彼に惚れ薬を飲ませる前にそんな簡単なことに気づかなかったのだろう。
「本当に大丈夫? 顔色が悪いけど……」
そう言って私を心配してくれるロイ君の顔を見て、私は決意した。
「惚れ薬の解毒薬を作る」と!
「ごめんね、ロイ君。悩んでたことがあったんだけど、今どうすべきかはっきりわかったよ。私、もう間違えない!」
ぐっと拳を握り締めると、彼は、
「悩み事が解決したならよかったけど、また何か変なこととか考えてないよね……?」
と不安げな表情でちょっと首を傾げた。
大丈夫だよ、ロイ君! 私が無理に変えてしまったあなたの感情は、私が責任を持って絶対元に戻してみせるからね!
だからもう少し待っていて。
「惚れ薬を作るしかない」と!
少し理由を説明したいと思う。
まず、私には今とても好きな人がいる。同じクラスの男子生徒、ロイ君。人目をひく長身、サラサラしていそうな黒髪、涼しげな目元に黒縁眼鏡。もう全てがかっこいい。大好き。
私が彼のことを好きになったのは、確かちょうど一年ほど前。
その日、私は大量のノートを教室に運んでいる最中だった。別に係でも何でもないのに先生に押し付けられ、断れなかったのだ。
積み上がったノートで前が見えない中廊下を歩く私に、喋りながら歩く生徒の肩がぶつかって、私はバランスを崩しノートを全部ぶちまけてしまった。涙目になる私。その時ノートを一緒に拾い集めてくれたのが彼、ロイ君だった。
無言で拾うのを手伝ったあと、拾い集めたノートの半分以上を持って一緒に教室まで運んでくれた彼に、私は恋をした。
だがここで問題が生じる。
ロイ君はもうとにかくかっこよくて、優しくて、ついでに運動もできるし成績もいい。女子にもモテる。対して私はといえば、全てが平凡。致命的な欠点がない代わりに、突出しているものも何もない。男子にモテたことなど一度もない。
つまり、私がどれだけ彼のことを好きだったとしても、彼が私のことを好きになる理由などどこにもないのである。
もちろん、だからと言って恋の成就を諦めた訳ではない。朝は必ず挨拶をするとか、休み時間に無駄に話しかけてみるとか、私なりに近づく努力はした。結果、友達くらいにはなれたと思う。でも私はそれでは不満なのだ。私を恋愛的な意味で好きになってほしいし、恋人になっていちゃいちゃしたい。
どうしたらもっと近づけるのかと考え続けて一年。
私は一つの結論に至った。つまり、「魔法の力に頼る」。私には彼をメロメロにさせるような魅力もないし、徐々に距離を詰めようにも友達どまり。だからこその魔法だ。魔法、この道しかない。
そこでなんの魔法を使うのかという問題だ。魔力が高い人間にはたまに目を見ただけで人を魅了したり、時には意のままに操ったりできる羨まし……いや、恐ろしい力を持った者がいるらしいが、平凡な私にはもちろんそんなことはできない。というわけで、手順さえ間違えなければ誰にでも使える魔法、魔法薬を利用しようと考えたわけである。
ご理解いただけただろうか?
というわけで、私は放課後早速図書館で惚れ薬の作り方を調べ始めた。
どうやら意外と簡単な材料でできてしまうらしく、学校で用意しているものと魔法薬学の勉強用に自前で揃えた材料とで今すぐにでも作れてしまう。これは危ないんじゃない? 好きな人にこっそり盛ろうとする人が出てもおかしくないよね。
さっそく魔法薬調合室に向かおうと本をもって立ち上がった時。
「あれ? ソフィー。何か調べごと?」
「ロイ君!」
なんと張本人に出くわしてしまった。
はわぁ、いつ見てもかっこいいなもう。今日じゃなければ放課後に出会えてラッキーって思うところなんだけど。ふと、自分がさっきまで見ていた本を手に持っていることに気づき、さっと隠した。魔法薬調合法の本だから隠す必要はよく考えたらないのだが、やましい気持ちがあるので。
「今なにか隠した?」
と、目ざとく気づき聞いてくる彼。
私はふるふると首を振った。
「な、何も。何も隠してないよ」
疑わしげな目を向ける彼にえへへと曖昧な笑みを浮かべてごまかそうとする。
本をこそこそと隠しながら図書室を後にする。
「じゃあね、また!」
「うん……? またね」
危ないところだった! いや別にこの本を見られてもなんともないんだけど!
私は図書室から出てから寮の自室により、必要な材料を取って調合室に向かった。
そして夜も更けてきた頃。
「やったー!完成!」
私の手には、禍々しい紫色の液体が入った小瓶が握られていた。
まさか1日でできちゃうなんて。魔法薬学だけはほんのちょっと得意でよかった!
でも問題は、どうやってこれをロイ君に飲んでもらうかだよね。まさか「惚れ薬だから飲んでください」なんて馬鹿正直に言うわけにもいかないし。飲み物に混ぜて渡そうにも、彼が私に渡された飲み物を飲んでくれるかはわからない。
考え込んでしまった私は、いずれにせよ明日以降のことだからと寮に戻ることにした。
調合室を出て、寮まで歩く。と、その途中。
「あれ、ソフィーだ。また会ったね」
なんていうんだっけ、デジャビュ?
「ぐ、偶然だね! こんな時間まで、何か用事でもあったの?」
「俺は散歩。ソフィーこそ、何か用事?」
優しげに微笑みながら、答えにくい質問をするロイ君。
あ、と私は思った。今はいつもの黒縁眼鏡つけてないんだな。眼鏡はすごく似合ってるけど、外してても素敵……。
そんなことを考えていたせいか、つい正直に答えてしまっていた。
「うん、魔法薬の調合をしてたの」
「そうなんだ。それってもしかして」
彼は私の持っている小瓶を指差した。
「それのこと? 図書館でも何か魔法薬について調べてたよね」
「そうなの、実は惚れ薬について調べてて」
あっ、口が滑っちゃった!
彼は私の目をじっと見てきた。その青い瞳に何だか吸い込まれそうで、ドキドキしてしまう。
あれ、もしかしてこれって惚れ薬を飲んでもらうチャンスなのでは?むしろ今しかないのでは? そう思って、私はほとんど無意識のうちに怪しげな小瓶を彼に差し出していた。
「あの、これ惚れ薬なんだけど、ロイ君に飲んでもらいたくて調合したの。飲んでほしい……」
そう口に出した瞬間、私ははっとして固まってしまった。
いやいやいやいや、おかしいでしょう。馬鹿正直に「飲んでください」だけはないってさっき思ったばかりなのに。
惚れ薬を飲んでくださいなんて言われて誰が飲むっていうの。終わりだ。この世の終わりだ。
絶望している私から彼はこともなげに小瓶を取り上げ、「惚れ薬って飲んだことないなぁ」なんて言いながら首をちょっと傾げて瓶の蓋を取った。そのまま、止める間も無く中身をこくりこくりと飲み干す。
「あー!」
飲んじゃった!飲んじゃったよ!
「なんで飲んじゃったの!」
私が悲鳴のような声を上げると、ロイ君は不思議そうな顔をした。
「なんでって、ソフィーが飲んでって言ったんでしょ?」
「いやそうだけど! そうだけども!」
「でも嬉しいよ、惚れ薬を俺に飲まそうとしたってことは、ソフィーは俺のことが好きなんだよね?」
にっこりと笑うロイ君。私は素直に頷く。
「う、うん……」
「俺もソフィーのことが前から好きだったんだ。だから、俺たちはもう恋人同士だね」
「う、うん……?」
ロイ君は私をふんわりと抱きしめた。
「ああかわいい、ソフィー。大好きだよ」
それから、ロイ君は宣言通り私を恋人として扱うようになった。
話している時よく体に触れてくるし、いつもかわいいって言ってくれるし、たまにキスもしてくれる。
だけど私は彼が甘く優しく接してくれるほど、自分の中で罪悪感がどんどん膨れ上がっていくのを感じた。だって、彼は本当には私のことを好きなんかじゃないのだ。ただ、魔法薬の効果で好きだと思い込んでいるだけ。
「ソフィー、どうしたの。悩み事?」
私の髪を撫でながら顔を覗き込むロイ君。
「ううん、なんでも……」
この優しい声も仕草も表情も、本来は私に向けられるべきものじゃない。
私は彼のことが好きだなどと言いながら、彼の気持ちとか主体性とか尊厳とか、そういうものを全く尊重しようとしていなかったのだ。というか普通に考えて魔法で人の気持ちを捻じ曲げるなんて最低な人間のすることだ。私は最低だ。
どうして彼に惚れ薬を飲ませる前にそんな簡単なことに気づかなかったのだろう。
「本当に大丈夫? 顔色が悪いけど……」
そう言って私を心配してくれるロイ君の顔を見て、私は決意した。
「惚れ薬の解毒薬を作る」と!
「ごめんね、ロイ君。悩んでたことがあったんだけど、今どうすべきかはっきりわかったよ。私、もう間違えない!」
ぐっと拳を握り締めると、彼は、
「悩み事が解決したならよかったけど、また何か変なこととか考えてないよね……?」
と不安げな表情でちょっと首を傾げた。
大丈夫だよ、ロイ君! 私が無理に変えてしまったあなたの感情は、私が責任を持って絶対元に戻してみせるからね!
だからもう少し待っていて。
26
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説
痛みは教えてくれない
河原巽
恋愛
王立警護団に勤めるエレノアは四ヶ月前に異動してきたマグラに冷たく当たられている。顔を合わせれば舌打ちされたり、「邪魔」だと罵られたり。嫌われていることを自覚しているが、好きな職場での仲間とは仲良くしたかった。そんなある日の出来事。
マグラ視点の「触れても伝わらない」というお話も公開中です。
別サイトにも掲載しております。
婚約者に好きな人ができたらしい(※ただし事実とは異なります)
彗星
恋愛
主人公ミアと、婚約者リアムとのすれ違いもの。学園の人気者であるリアムを、婚約者を持つミアは、公爵家のご令嬢であるマリーナに「彼は私のことが好きだ」と言われる。その言葉が引っかかったことで、リアムと婚約解消した方がいいのではないかと考え始める。しかし、リアムの気持ちは、ミアが考えることとは違うらしく…。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
私の婚約者は失恋の痛手を抱えています。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
幼馴染の少女に失恋したばかりのケインと「学園卒業まで婚約していることは秘密にする」という条件で婚約したリンジー。当初は互いに恋愛感情はなかったが、一年の交際を経て二人の距離は縮まりつつあった。
予定より早いけど婚約を公表しようと言い出したケインに、失恋の傷はすっかり癒えたのだと嬉しくなったリンジーだったが、その矢先、彼の初恋の相手である幼馴染ミーナがケインの前に現れる。
婚約者が他の令嬢に微笑む時、私は惚れ薬を使った
葵 すみれ
恋愛
ポリーヌはある日、婚約者が見知らぬ令嬢と二人きりでいるところを見てしまう。
しかも、彼は見たことがないような微笑みを令嬢に向けていた。
いつも自分には冷たい彼の柔らかい態度に、ポリーヌは愕然とする。
そして、親が決めた婚約ではあったが、いつの間にか彼に恋心を抱いていたことに気づく。
落ち込むポリーヌに、妹がこれを使えと惚れ薬を渡してきた。
迷ったあげく、婚約者に惚れ薬を使うと、彼の態度は一転して溺愛してくるように。
偽りの愛とは知りながらも、ポリーヌは幸福に酔う。
しかし幸せの狭間で、惚れ薬で彼の心を縛っているのだと罪悪感を抱くポリーヌ。
悩んだ末に、惚れ薬の効果を打ち消す薬をもらうことを決意するが……。
※小説家になろうにも掲載しています
君は僕の番じゃないから
椎名さえら
恋愛
男女に番がいる、番同士は否応なしに惹かれ合う世界。
「君は僕の番じゃないから」
エリーゼは隣人のアーヴィンが子供の頃から好きだったが
エリーゼは彼の番ではなかったため、フラれてしまった。
すると
「君こそ俺の番だ!」と突然接近してくる
イケメンが登場してーーー!?
___________________________
動機。
暗い話を書くと反動で明るい話が書きたくなります
なので明るい話になります←
深く考えて読む話ではありません
※マーク編:3話+エピローグ
※超絶短編です
※さくっと読めるはず
※番の設定はゆるゆるです
※世界観としては割と近代チック
※ルーカス編思ったより明るくなかったごめんなさい
※マーク編は明るいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる