大好きな恋人が、いつも幼馴染を優先します

山科ひさき

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カミラ視点②

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 ロバートに好意を寄せる女性の出現は、カミラにとって青天の霹靂だった。
 あの犬のような、もしくは猿のような、何も考えていない男に積極的にアプローチをかける女性が現れるとは。
ロバートはぱっと見、別にモテないタイプというわけではない。顔も悪くないし、性格も明るくて善良な方だ。けれど持ち前の鈍感さとあまりのアホさは大抵の女性を遠ざけてきた。
 それが今になって、女性に熱烈に言い寄られるなんて。しかも相手は年下の美人だという話だ。それによくよく話を聞けば、ロバート自身もその女性に一目惚れをしたというではないか。

──絶対に騙されている。

 もしくは単なる興味本位でちょっと声をかけてみただけだろう。浮かれているロバートには悪いが、目をさまさせてやらなくては。
 そう思ったカミラが実際にその女性、オリビアに会ってみると、なるほど彼女は若くて可憐なお嬢さんだった。そしてロバートに向けられる熱い視線を見ると、彼に好意を抱いているというのも嘘ではないように思われる。
本来ならばその時点で、彼女の好意を得たロバートの幸運を祝い、二人の中を応援する側に回るべきだったのだろう。
 しかし、カミラはそうしなかった。今はロバートに夢中だったとしても、所詮一過性の熱病に過ぎない。そんなもののためにカミラの婚期を遅らせられてはたまらない。そう考えたのだ。



 それから、カミラはロバートにオリビアが近づくのを妨げ続けた。頻繁に会いに行ってはロバートと仲良さげに話してみせ、さりげなく親密さをアピールする。オリビアの知らない過去の話を持ち出し、会話から締め出したりもした。ロバートもカミラのふるまいに違和感を覚えたようだったが、「ちょっとくらいそっけなくした方が彼女に飽きられにくい」と適当なことを言えば簡単に納得したようだった。
 カミラの妨害も虚しく二人がついに付き合い始めた時には悔しい思いをしたが、そこで素直に引くことはしなかった。むしろ、さらに積極的に邪魔をするようになった。

 ロバートとオリビアが二人きりになる機会を極力潰し、デートの中止に追い込むかカミラもついていって三人で行動する。オリビアからはあからさまに邪魔そうな目で見られたが、その視線に怯みはしなかった。カミラからすればオリビアの方が邪魔者なのだ。
 しかし半年も同じようなことを繰り返していれば、流石にロバートもカミラの助言や行動に対して思うことがあったようで、段々カミラに反論したり、カミラのいう通りに行動しないことが増えてきた。カミラは焦った。

──このままでは、本当に自分のほうが邪魔者になってしまうではないか。
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