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第2章 もう恋なんてしたくない
第19話 レイナの恋愛事情2
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「レイナさんですか?」
最初に声をかけられたのはよく利用するカフェで仕事の打ち合わせが終わってのんびりしていたときだった。見ず知らずの男性に話しかけられて、不躾な視線をやったように思う。
「SNSを見ていてそうじゃないかなって思ったんです」
カフェのSNSのことを言っているらしい。お店のマスターとママさんとは仲良くさせてもらっていて、2人を介して他の常連さんと話すことも多々あった。職場が変わったり生活環境が変わったり……と頻繁にこれなくなる人も多いので、カフェの近況を伝えるためにSNSを使っているアットホームなお店。私はそこで時々投稿をさせてもらっている。マスターとママさんがあまりそういうのが得意でなかったのもあるし、写真を撮ったりちょっとしたコメントを書くのが楽しかったからさせてもらっていただけなんだけど。
「ずっと話してみたいと思っていて。私はカフェ巡りが趣味だったので情報収集していました」
「はぁ……」
カフェの常連さんというわけではなく、たまたま友人とカフェに訪れたという男性の名前はタクミという。SNSに投稿したときにカフェの常連客に分かるように「レイナ」と毎回記載していた。紅茶がおいしいとか、茶葉をブレンドしてみたといった当たり障りのない内容だった。特別イイネをもらっているわけでもないのに「なんで?」という疑問。
タクミはどこかの商社に勤めているらしく、前職でカフェにコーヒーや茶葉を卸すような仕事をしていたらしいが、増税もあったり競合も多かったりと業績も芳しくなく見切りをつけたという。無下にするのもどうかなと思うし、親しくしているオーナーのお店で問題は起こしたくない。自分の話はあまりせず、タクミの話を聞いていると食事に誘われた。
「よかったら今度ゆっくりお話しませんか?行きたいカフェもあって」
よく別のカフェに誘えるよなと思っていたところ、連絡先を聞かれたので断って気まずくなるなら、そのままにしておけばいいと思い交換した……のが間違いだった。「今度」と社交辞令で終わらせるつもりが、「じゃあ今週どうですか?」などという。彼の思考は理解に苦しむ。
なんとなくカウンターの方にふわっと視線をおくると、ちょうど入店するお客さんと退店するお客さんでワチャワチャしていてとても助けを呼べそうになかった。
「今週はちょっと……」
「来週の10時とかどうでしょ?」
断る隙もなく次々と畳みかけられて返事ができず、半ば強引に約束をしてしまった。
最初に声をかけられたのはよく利用するカフェで仕事の打ち合わせが終わってのんびりしていたときだった。見ず知らずの男性に話しかけられて、不躾な視線をやったように思う。
「SNSを見ていてそうじゃないかなって思ったんです」
カフェのSNSのことを言っているらしい。お店のマスターとママさんとは仲良くさせてもらっていて、2人を介して他の常連さんと話すことも多々あった。職場が変わったり生活環境が変わったり……と頻繁にこれなくなる人も多いので、カフェの近況を伝えるためにSNSを使っているアットホームなお店。私はそこで時々投稿をさせてもらっている。マスターとママさんがあまりそういうのが得意でなかったのもあるし、写真を撮ったりちょっとしたコメントを書くのが楽しかったからさせてもらっていただけなんだけど。
「ずっと話してみたいと思っていて。私はカフェ巡りが趣味だったので情報収集していました」
「はぁ……」
カフェの常連さんというわけではなく、たまたま友人とカフェに訪れたという男性の名前はタクミという。SNSに投稿したときにカフェの常連客に分かるように「レイナ」と毎回記載していた。紅茶がおいしいとか、茶葉をブレンドしてみたといった当たり障りのない内容だった。特別イイネをもらっているわけでもないのに「なんで?」という疑問。
タクミはどこかの商社に勤めているらしく、前職でカフェにコーヒーや茶葉を卸すような仕事をしていたらしいが、増税もあったり競合も多かったりと業績も芳しくなく見切りをつけたという。無下にするのもどうかなと思うし、親しくしているオーナーのお店で問題は起こしたくない。自分の話はあまりせず、タクミの話を聞いていると食事に誘われた。
「よかったら今度ゆっくりお話しませんか?行きたいカフェもあって」
よく別のカフェに誘えるよなと思っていたところ、連絡先を聞かれたので断って気まずくなるなら、そのままにしておけばいいと思い交換した……のが間違いだった。「今度」と社交辞令で終わらせるつもりが、「じゃあ今週どうですか?」などという。彼の思考は理解に苦しむ。
なんとなくカウンターの方にふわっと視線をおくると、ちょうど入店するお客さんと退店するお客さんでワチャワチャしていてとても助けを呼べそうになかった。
「今週はちょっと……」
「来週の10時とかどうでしょ?」
断る隙もなく次々と畳みかけられて返事ができず、半ば強引に約束をしてしまった。
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