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第1章 刻まれる番の証
第12話 元の世界に帰りたい 2
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目が覚めるとだいぶ日も落ちてきて肌寒くなってきていた。目にうつる景色は眠る前のそれと同じでガッカリした。ちょっと目のあたりがぼやっとするので腫れてしまっているのかもしれないけど、眠ったら少しスッキリしたような気がした。そろそろ2人が帰ってくるころかも……
「見つけました」
嬉しそうな声が後ろから聞こえた。のそのそと体を起こすと目の前まできたルイにふわっと体を包み込まれた。
「家の中にいなかったので心配しました……」
「ごめんなさい。ちょっと散歩していてこの場所、とても気持ちよかったから寝ちゃったみたい」
「気を付けてくださいね。体を冷やしてしまいます」
そういいながら私の首の後ろあたりにほほを寄せてスリスリするルイ。体をよじるとさらにギュッと強く抱きしめなおされた。そういえば前にもこんなことあったかも。これって何か意味あるのかも。
「ねぇルイ」
「なんでしょう?」
「これって意味あるの?」
「これとは?」
「あの…その……こういうこと……。テオも今みたいに首にやたら触れるんだけど……」
「あぁ。これは求愛の印です」
「ひゃんっ」
ペロッと一筋首筋をなめるとカプッとかるくかみつかれた。あまり痛くはないけれど、ちょっと不思議な感じがした。でも、首は急所ではないのか。狼も犬もライオンも仕留めるときは首を狙うし、こんなところ噛みつかれたら死んでしまう。
「大丈夫ですよ。殺すほど噛みませんって」
笑いながら甘噛みをするので、息が首元をかすめてくすぐったい。
「でも首は急所だもの。危ないでしょう。いくら獣人で人の姿をしているからって力もあるよね?間違ってガブって噛まれたら痛いじゃない!」
「急所だからさらけだしてほしいのですよ。そして私のココにもできるならあなたに噛んでもらいたい」
熱のこもった瞳にゾクッと背筋を冷たいものがはしる。いますぐにでも食べられてしまうのではないかという殺気のようなものを感じて体がすくんでしまった。
「テオが心配した通りですね」
「なにを?」
「ふふ……テオが待ってますよ。今日はレイナの国の料理を作るんですよね?」
「あっ……」
過去の異界人が作ったらしい醤油を入手することができた。他国でしか製造されていないが、数少ないが輸入されていたようでテオが見つけてきてくれた。普段煮物なんて面倒くさくてあまり作らなかったけれど、いざ食べられない環境になると、そして毎日ここの世界の食事をしていると無性に和食が恋しくなる。
「いそいで行ってくるね!私の自慢の一品だから楽しみにしていてね」
◇◇◇
何も言わなかったから、きっと気がつくほど腫れていないのかもしれない。一応顔を洗ってからキッチンに行った。私が必要な野菜を伝えておいたから全部準備されている!こんな旦那様がいたら幸せ者だ。……私の旦那様?
「どうした?」
「なんでもないよ」
テオと私の新婚生活なるものを想像して熱くなったところに目ざとい。この1週間ほど2人生活しているけれど、ボディタッチやなにやらは多い気がするけれどそれ以外は今のところ困ったことはない。どころかとてもやさしくて困ってしまう。
「軽く炒めて、醤油と砂糖で味付けするの」
「へぇ……。ここらへんには醤油はないからどんなものか楽しみだ。」
「お醤油だけなめてみる?しょっぱいよ」
「んっ……」
「生のお魚を食べるとき、これを付けてたべるとおいしいの。たまご焼きとかにかけたりとか」
「レイナのところは魚は生で食べるのか?」
「焼いたり煮たりもするよ」
みりんがあればみりんも入れる。味噌とかケチャップとかもあるのだろうか。ケチャップはまぁ自分で作れるけれど、みそは自分で作るのは結構大変そう。
「お赤飯もあるんだよ。赤いごはん」
「赤いのか?」
「ささげ……豆と一緒にたくから赤い色がつくんだけれど、お祝い事のときに食べたりするんだよ。ここでは何かお祝い事のときに食べる料理ってある?」
「肉料理がでることが多いけれど、たぶんコレっといったのはないように思う」
「ここの世界のお料理もいろいろ食べてみたいなぁ」
私は異界人だから危険だと聞いてここのお屋敷にいる。1人で外出するのはダメだといわれているし、私も外がどうなのかわからないから1人で行く勇気はないけれど、本当にそうなのかなという疑念もあったりする。なんとなく外の話題を2人が避けていることに気がついているし。この屋敷から外にでることもよく思っていなさそうだった。私のことを番だと繰り返していうくらいだから、私に逃げられたら困るとおもっているのかもしれない。
料理ができあがったころにルイがやってきて、料理を運んでくれたり準備をしてくれるから、洗い物など片付けられるものは片付けた。
いつも必ずみんなで食事をする。2人は働いているのでいる時間帯はまちまちだけど、なるべく私を1人にしないようにしているように思う。私のことを見張っているので……
「レイナ」
「どうしました?」
黙り込んだ私を心配して二人が両サイドから私の顔を覗いた。
「煮物たべたらなんだか懐かしくなっちゃったみたいだから大丈夫」
綺麗な笑顔を作れたと思う。ちょっと不思議そうな顔をしたけどそれ以上は何も言われなかった。
「見つけました」
嬉しそうな声が後ろから聞こえた。のそのそと体を起こすと目の前まできたルイにふわっと体を包み込まれた。
「家の中にいなかったので心配しました……」
「ごめんなさい。ちょっと散歩していてこの場所、とても気持ちよかったから寝ちゃったみたい」
「気を付けてくださいね。体を冷やしてしまいます」
そういいながら私の首の後ろあたりにほほを寄せてスリスリするルイ。体をよじるとさらにギュッと強く抱きしめなおされた。そういえば前にもこんなことあったかも。これって何か意味あるのかも。
「ねぇルイ」
「なんでしょう?」
「これって意味あるの?」
「これとは?」
「あの…その……こういうこと……。テオも今みたいに首にやたら触れるんだけど……」
「あぁ。これは求愛の印です」
「ひゃんっ」
ペロッと一筋首筋をなめるとカプッとかるくかみつかれた。あまり痛くはないけれど、ちょっと不思議な感じがした。でも、首は急所ではないのか。狼も犬もライオンも仕留めるときは首を狙うし、こんなところ噛みつかれたら死んでしまう。
「大丈夫ですよ。殺すほど噛みませんって」
笑いながら甘噛みをするので、息が首元をかすめてくすぐったい。
「でも首は急所だもの。危ないでしょう。いくら獣人で人の姿をしているからって力もあるよね?間違ってガブって噛まれたら痛いじゃない!」
「急所だからさらけだしてほしいのですよ。そして私のココにもできるならあなたに噛んでもらいたい」
熱のこもった瞳にゾクッと背筋を冷たいものがはしる。いますぐにでも食べられてしまうのではないかという殺気のようなものを感じて体がすくんでしまった。
「テオが心配した通りですね」
「なにを?」
「ふふ……テオが待ってますよ。今日はレイナの国の料理を作るんですよね?」
「あっ……」
過去の異界人が作ったらしい醤油を入手することができた。他国でしか製造されていないが、数少ないが輸入されていたようでテオが見つけてきてくれた。普段煮物なんて面倒くさくてあまり作らなかったけれど、いざ食べられない環境になると、そして毎日ここの世界の食事をしていると無性に和食が恋しくなる。
「いそいで行ってくるね!私の自慢の一品だから楽しみにしていてね」
◇◇◇
何も言わなかったから、きっと気がつくほど腫れていないのかもしれない。一応顔を洗ってからキッチンに行った。私が必要な野菜を伝えておいたから全部準備されている!こんな旦那様がいたら幸せ者だ。……私の旦那様?
「どうした?」
「なんでもないよ」
テオと私の新婚生活なるものを想像して熱くなったところに目ざとい。この1週間ほど2人生活しているけれど、ボディタッチやなにやらは多い気がするけれどそれ以外は今のところ困ったことはない。どころかとてもやさしくて困ってしまう。
「軽く炒めて、醤油と砂糖で味付けするの」
「へぇ……。ここらへんには醤油はないからどんなものか楽しみだ。」
「お醤油だけなめてみる?しょっぱいよ」
「んっ……」
「生のお魚を食べるとき、これを付けてたべるとおいしいの。たまご焼きとかにかけたりとか」
「レイナのところは魚は生で食べるのか?」
「焼いたり煮たりもするよ」
みりんがあればみりんも入れる。味噌とかケチャップとかもあるのだろうか。ケチャップはまぁ自分で作れるけれど、みそは自分で作るのは結構大変そう。
「お赤飯もあるんだよ。赤いごはん」
「赤いのか?」
「ささげ……豆と一緒にたくから赤い色がつくんだけれど、お祝い事のときに食べたりするんだよ。ここでは何かお祝い事のときに食べる料理ってある?」
「肉料理がでることが多いけれど、たぶんコレっといったのはないように思う」
「ここの世界のお料理もいろいろ食べてみたいなぁ」
私は異界人だから危険だと聞いてここのお屋敷にいる。1人で外出するのはダメだといわれているし、私も外がどうなのかわからないから1人で行く勇気はないけれど、本当にそうなのかなという疑念もあったりする。なんとなく外の話題を2人が避けていることに気がついているし。この屋敷から外にでることもよく思っていなさそうだった。私のことを番だと繰り返していうくらいだから、私に逃げられたら困るとおもっているのかもしれない。
料理ができあがったころにルイがやってきて、料理を運んでくれたり準備をしてくれるから、洗い物など片付けられるものは片付けた。
いつも必ずみんなで食事をする。2人は働いているのでいる時間帯はまちまちだけど、なるべく私を1人にしないようにしているように思う。私のことを見張っているので……
「レイナ」
「どうしました?」
黙り込んだ私を心配して二人が両サイドから私の顔を覗いた。
「煮物たべたらなんだか懐かしくなっちゃったみたいだから大丈夫」
綺麗な笑顔を作れたと思う。ちょっと不思議そうな顔をしたけどそれ以上は何も言われなかった。
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