77 / 102
第77話 ライトフライ
しおりを挟む
「ライト!」
高坂先輩の声が響きました。
打球は平凡なライトフライ。
ほぼライト定位置へ上がりました。
これなら先輩でも捕れる。
誰もがそう思っていたと思います。
チームメイトも、光南学園も、観客も、恐らく金子先輩たちでさえも。
「先輩。お願い。捕って」
私はただ祈りながら、先輩を見つめていました。
「児玉さん、そのまま、そのまま。絶対捕れる、絶対捕れますよ!」
隣で池崎くんも祈るように先輩を見つめています。
「オーライ、オーライ」
先輩は打球を見上げながら、手を上げ、少しフラフラとしています。
打球が落ちてきて、先輩は落下点に入っています。
もう大丈夫。そう思ったそのとき。
無情にもボールは先輩のグローブに当たって、こぼれ落ちました。
「先輩!」
私の目には涙が溢れていました。
あんなに毎日、一生懸命練習したのに。
野球の神様はいないの?努力は報われないの?
あまりにも悲しくて、切なくて、やり切れなくて、涙が止まりませんでした。
「ぎゃはははは」
「だから言っただろ!絶対エラーするって!」
「傑作だな!あんなの小学生でも捕れんだろ!」
「ぎゃはははは」
スタンドから金子先輩たちの声が聞こえます。
2塁ランナーは慌てて3塁へ。
ボールは先輩の前を転々とし、先輩はただ呆然と立ち尽くしていました。
高坂先輩の声が響きました。
打球は平凡なライトフライ。
ほぼライト定位置へ上がりました。
これなら先輩でも捕れる。
誰もがそう思っていたと思います。
チームメイトも、光南学園も、観客も、恐らく金子先輩たちでさえも。
「先輩。お願い。捕って」
私はただ祈りながら、先輩を見つめていました。
「児玉さん、そのまま、そのまま。絶対捕れる、絶対捕れますよ!」
隣で池崎くんも祈るように先輩を見つめています。
「オーライ、オーライ」
先輩は打球を見上げながら、手を上げ、少しフラフラとしています。
打球が落ちてきて、先輩は落下点に入っています。
もう大丈夫。そう思ったそのとき。
無情にもボールは先輩のグローブに当たって、こぼれ落ちました。
「先輩!」
私の目には涙が溢れていました。
あんなに毎日、一生懸命練習したのに。
野球の神様はいないの?努力は報われないの?
あまりにも悲しくて、切なくて、やり切れなくて、涙が止まりませんでした。
「ぎゃはははは」
「だから言っただろ!絶対エラーするって!」
「傑作だな!あんなの小学生でも捕れんだろ!」
「ぎゃはははは」
スタンドから金子先輩たちの声が聞こえます。
2塁ランナーは慌てて3塁へ。
ボールは先輩の前を転々とし、先輩はただ呆然と立ち尽くしていました。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
美術部俺達
緋色刹那
青春
・第7回ライト文芸大賞エントリー中
・完結済み。番外編「First Grade」は過去話。
〈あらすじ〉
自由ノ星(じゆうのほし)高校美術部には三人の男子がいる。
創作レクリエーションマニア、成宮創介(なるみやそうすけ)。
アニメと漫画大好き、大城太志(おおしろたいし)。
マイナーアイドル狂い、音来響(おとぎきょう)。
三人は美術部でありながら絵を描かず、毎日ゆるっと創作レクリエーションに明け暮れていた。
そんな美術部に、廃部の危機が! マネージャーとして新たに加わった女子部員、麻根路屋 乙女(まねじや おとめ)の指導のもと、美術部らしい活動を仕方なくスタート。
が、彼らには自由に創作できない理由(トラウマ)があった。さらに、マネージャーにもある秘密が……。
バカバカしくも苦しみを抱えた、高校生達による青春コメディ。
バカでいいじゃない? 若人だもの。
〈補足〉
ツイッターの「#創作試験問題」の解答をもとに、長編化したものです。元になった解答(ショートショート)はカクヨムにて掲載中(https://kakuyomu.jp/works/1177354054888660025)。
大好きなきみの願いを俺は全力で─。
伊瀬ハヤテ
青春
両親の死をきっかけに、自分が生きている理由が分からくなった桐谷蓮は無気力な毎日を送っていた。
しかし、クラスメイトの伊藤美優と出会い、生活は一変する。
「私のおねがい、聞いてくれる?」
彼女のお願いは、叶えてはいけない秘密があって……。
雨上がりに僕らは駆けていく Part1
平木明日香
恋愛
「隕石衝突の日(ジャイアント・インパクト)」
そう呼ばれた日から、世界は雲に覆われた。
明日は来る
誰もが、そう思っていた。
ごくありふれた日常の真後ろで、穏やかな陽に照らされた世界の輪郭を見るように。
風は時の流れに身を任せていた。
時は風の音の中に流れていた。
空は青く、どこまでも広かった。
それはまるで、雨の降る予感さえ、消し去るようで
世界が滅ぶのは、運命だった。
それは、偶然の産物に等しいものだったが、逃れられない「時間」でもあった。
未来。
——数えきれないほどの膨大な「明日」が、世界にはあった。
けれども、その「時間」は来なかった。
秒速12kmという隕石の落下が、成層圏を越え、地上へと降ってきた。
明日へと流れる「空」を、越えて。
あの日から、決して止むことがない雨が降った。
隕石衝突で大気中に巻き上げられた塵や煤が、巨大な雲になったからだ。
その雲は空を覆い、世界を暗闇に包んだ。
明けることのない夜を、もたらしたのだ。
もう、空を飛ぶ鳥はいない。
翼を広げられる場所はない。
「未来」は、手の届かないところまで消え去った。
ずっと遠く、光さえも追いつけない、距離の果てに。
…けれども「今日」は、まだ残されていた。
それは「明日」に届き得るものではなかったが、“そうなれるかもしれない可能性“を秘めていた。
1995年、——1月。
世界の運命が揺らいだ、あの場所で。
海の向こうの永遠の夏
文月みつか
青春
幼いころにささいなことから家出をした千夏は、海という少年に出会った。年は近いのに大人びた雰囲気のある海に、千夏はなぜかいろいろと話してしまう。ふたりの仲はやがて親友と呼べるほどに深まっていく。
その過程で千夏は、海に世界を閉じるという不思議な特技があることを知る。どうして海が閉じこもっているのか、どうやったら現実に連れ戻すことが出来るのか、千夏は考えをめぐらす。
前半は千夏の幼少期、後半は高校生以降の構成です。
アンタッチャブル・ツインズ ~転生したら双子の妹に魔力もってかれた~
歩楽 (ホラ)
青春
とってもギャグな、お笑いな、青春学園物語、
料理があって、ちょびっとの恋愛と、ちょびっとのバトルで、ちょびっとのユリで、
エロ?もあったりで・・・とりあえず、合宿編23話まで読め!
そして【お気に入り】登録を、【感想】をお願いします!
してくれたら、作者のモチベーションがあがります
おねがいします~~~~~~~~~
___
科学魔法と呼ばれる魔法が存在する【現代世界】
異世界から転生してきた【双子の兄】と、
兄の魔力を奪い取って生まれた【双子の妹】が、
国立関東天童魔法学園の中等部に通う、
ほのぼの青春学園物語です。
___
【時系列】__
覚醒編(10才誕生日)→入学編(12歳中学入学)→合宿編(中等部2年、5月)→異世界編→きぐるい幼女編
___
タイトル正式名・
【アンタッチャブル・ツインズ(その双子、危険につき、触れるな関わるな!)】
元名(なろう投稿時)・
【転生したら双子の妹に魔力もってかれた】
【完結】君が消えた仮想世界と僕が願った並行世界
ユキノ
青春
ローファンタジーアニメの設計図。30分尺のシナリオが1クール分。
理系アニメオタクがろくに読んだこともないのに小説を書いたらこうなった。
◆魂の入れ替わり
◆心の声を聞く力
◆予知能力!?
◆記憶の干渉における時間の非連続性
◆タイムリープ
◆過去改変の観測
◆異能力バトらない!?
妹しか愛していない母親への仕返しに「わたくしはお母様が男に無理矢理に犯されてできた子」だと言ってやった。
ラララキヲ
ファンタジー
「貴女は次期当主なのだから」
そう言われて長女のアリーチェは育った。どれだけ寂しくてもどれだけツラくても、自分がこのエルカダ侯爵家を継がなければいけないのだからと我慢して頑張った。
長女と違って次女のルナリアは自由に育てられた。両親に愛され、勉強だって無理してしなくてもいいと甘やかされていた。
アリーチェはそれを羨ましいと思ったが、自分が長女で次期当主だから仕方がないと納得していて我慢した。
しかしアリーチェが18歳の時。
アリーチェの婚約者と恋仲になったルナリアを、両親は許し、二人を祝福しながら『次期当主をルナリアにする』と言い出したのだ。
それにはもうアリーチェは我慢ができなかった。
父は元々自分たち(子供)には無関心で、アリーチェに厳し過ぎる教育をしてきたのは母親だった。『次期当主だから』とあんなに言ってきた癖に、それを簡単に覆した母親をアリーチェは許せなかった。
そして両親はアリーチェを次期当主から下ろしておいて、アリーチェをルナリアの補佐に付けようとした。
そのどこまてもアリーチェの人格を否定する考え方にアリーチェの心は死んだ。
──自分を愛してくれないならこちらもあなたたちを愛さない──
アリーチェは行動を起こした。
もうあなたたちに情はない。
─────
◇これは『ざまぁ』の話です。
◇テンプレ [妹贔屓母]
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング〔2位〕(4/19)☆ファンタジーランキング〔1位〕☆入り、ありがとうございます!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる