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第30話 絶対負けねぇ
しおりを挟む大村くんは上山先輩をジッと睨み付けていました。
上山先輩もまた、大村くんをジッと睨み付けていました。
「もういい!次!池崎!」
「はい!」
上山先輩はノックバットを浅野先輩に渡し、
ベンチに座りました。
大村くんはマウンド上で膝に手を付き、
上山先輩を目で追っていました。
池崎くんがライトの守備位置に付くと
「池崎!マウンドに行け!」
上山先輩が言った。
「えっ?俺、外野っすよ」
池崎くんが驚いた様子で聞き返すと
「そんなの関係ねぇんだよ!マウンド行け!」
「はい!」
上山先輩の指示に
池崎くんは戸惑った様子でマウンドに向かいました。
マウンド上にはまだ、
大村くんが膝に手を付いて、息が整わずにいました。
「大丈夫か?」
池崎くんの問いかけに
「俺は絶対負けねぇ。頑張れよ!池崎!」
「お、おう!」
池崎くんにも激しいノックが飛びました。
上山先輩のノックを見た浅野先輩も
強い打球を打ち続けました。
元々、外野手の池崎くんは
なかなか上手く捕球できないことも多かったですが
時には体で止めて、必死に打球に食らいついていました。
「いくぞ」
「おし、こい!」
池崎くんを痛烈な打球が襲いました。
池崎くんが打球の正面に入ったところで
打球がイレギュラーし、池崎くんの顔面を直撃しました。
「キャッ!」
私は思わず声をあげてしまいました。
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