へたくそ

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第9話 辞めないか?

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練習後、僕はいつも通り、高坂くんと一緒に帰った。
「今日はごめんね。
 僕のせいで、また上山くんと・・・」
高坂くんは何も言わなかった。
少しの沈黙の後、高坂くんが口を開いた。

「なあ、児玉。やっぱ一緒に辞めないか?」
「そんな!
 僕はともかく、なんで高坂くんが辞めるんだよ」
「だってさぁ、
 あんなクソみたいな奴と一緒に野球やりたくねぇもん。
 お前だって、このまま続けてても、
 絶対あいつと仲良くなんかなれねぇぞ」
「でも・・・」
「お前が野球好きなのはわかってるし、
 俺から誘っておいて悪いけど
 俺はどうしても、上山とか金子とかと
 一緒にやっていける気がしねぇんだよな。
 どうせプロになれるわけでもないし、
 他の部活で楽しくやった方が良くねぇか?」

しばらく沈黙が続いた。
高坂くんの言うことはもっともだ。
でも・・・

翌日、グラウンドに高坂くんの姿は無かった。
「高坂は?」
浅野くんが何気なく言った。
僕は何とも言えなかった。
「もしかして辞めた?」
金子くんがニヤニヤしながら言った。
上山くんもニヤニヤして言った。
「あいつはムカつくけど、戦力にはなったのになぁ。
あいつが辞めて、お前が来てどうすんだよ」
上山くんの言葉に、金子くんは声を上げて笑っている。

「僕、もう1回、高坂くんと話してみるから・・・」
そう言って、僕はグラウンド整備を始めた。

松島くんはただ黙って、僕らの様子を見ていた。
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