落ちこぼれ子女の奮闘記

木島廉

文字の大きさ
上 下
214 / 317

思わぬ騒動2

しおりを挟む
異世界の世界樹を目の前にしたリリス。

世界樹は相変わらず歓迎の波動を送ってくれているのだが、リリスにはウィンディの意識の核を探す使命がある。

こんな大事になるなんて、思いもしなかったわ。

そう思いながらリリスは世界樹の周辺に探知を掛けた。
ウィンディの気配が僅かに感じられる。

この前、私が連れて来た亜神の意識を探しているんだけど・・・・・。

とりとめのない思いを魔力に載せて世界樹に放ってみる。
世界樹からは困惑の波動が流れて来た。

ロキの言う様に、世界樹にはあらゆるものを包摂する特性があるのだろうか?

そう思いながら再度探知を掛けると、やはり世界樹の内部からウィンディの気配が僅かに感じられる。

この気配の持ち主を探しているんだけど・・・・・。

そんな思いを波動にして送ると、再び困惑の波動が返って来た。

自分ではどうする事も出来ないのかしら?

そう思った途端に同意の波動が伝わってくる。

う~ん。
困ったわねえ。

どうしたものかと考えていると、世界樹の生い茂った枝葉の真ん中に黒い球体が現われた。
それは直径が5mほどの球体で、その中に小さな光が幾つも点滅している。

周りの枝葉がその球体を取り込む様に動き、まるでその中に入るように誘われているようだ。

ここに来いって言うのね。

リリスは若干警戒しながらも、その球体の中に入っていった。
球体の内部は意外にも明るく、広い空間になっていた。

その中に小さな少女が立っている。
その姿はドライアドだ。

世界樹を世話しているドライアドなのかしら?

そう思って近づくと、そのドライアドは笑顔を見せた。
だが言葉を発しない。
しかも世界樹と同じ波動が伝わってくる。

これは世界樹の造り上げたイメージだ。

そう直感したリリスは、そのドライアドに話し掛けた。

「私と視覚的なコンタクトを取るためにイメージを造り上げたのね?」

ドライアドはうんうんと頷いた。
リリスの直感は正しかったようだ。

「それで・・・・・ウィンディの意識を吸収しちゃったの?」

ドライアドは悲しそうな表情で頷いた。

「怒っていないから、そんなに悲しそうな顔をしないで。」

リリスの言葉にドライアドは神妙な表情を浮かべた。

「ウィンディの意識を吸収して養分にしちゃったの?」

ドライアドはうんうんと頷いた。

「でも吸収していない意識の核が残っている筈よね? それを回収したいんだけど・・・」

リリスの言葉にドライアドは首を傾げ、思いを巡らすような仕草をした。

探索中と言う事なのかしら?
それにしても仕草が可愛いわね。

しばらくしてドライアドは神妙な表情になり、指を立ててリリスの真横を指差した。
その位置に小さな光の球が出現し、それは徐々に形を変えて女性の姿になった。
白いローブを纏った妖艶な女性だ。

その女性はリリスを見ると、あらっ!と声をあげて驚いた。

「あんたってこんなところまで来ていたの? 意識レベルとは言え器用な娘ね。」

馴れ馴れしい言葉遣いだがリリスは面識がない。
誰だろうと思っていると、その表情を察して女性が口を開いた。

「私よ、シーナよ。以前に小鳥の使い魔の姿で会ったでしょ? この世界樹がまだ苗の状態だった時に・・・・・」

「ああっ! シーナさんでしたか。お久し振りです。」

軽い気持ちで言った言葉にシーナはニヤッと笑った。

「そうね、久し振りよね。あれからこちらの時間では1000年も経ったからねえ。」

ええっ!

驚いて言葉の無いリリスにシーナは失笑した。

「あの苗木がここまで成長するのには、本来は1000年でも覚束ないのよ。でもあんたの魔力で育てて貰ったのが良かったのね。意外にも早く育ってくれたわ。そう言う意味ではあんたに感謝しないとね。」

そうなんだ。

リリスは異世界との時空のズレを改めて痛感した。
確かにあの小さな苗がこれほどの巨木に成長するのには、途方もない時間が掛かるのだろう。
ましてや普通の樹木ではなく世界樹だ。
自分の持つ常識で判断するのは間違いだろう。

「それであんたの用事は何? 世界樹から呼び出されたからには、余程大事な用件でしょうね?」

若干高圧的に問い掛けて来たシーナである。
リリスはその波動を軽くスルーして、ここに来た用件を簡略に説明した。
その話を聞きながら、シーナは目を見開いて驚いた。

「そんな事ってあるのね。確かにこのところ、世界樹から拡散される波動が高純度で格段に質が上がっていたわ。」

「でもそれを全部返せって言うの? そんなの今更回収不可能なんだけどね。」

シーナの言葉にリリスは首を横に振った。

「そんな事は要求していませんよ。ウィンディの意識の核だけ回収したいんです。吸収されずに残っている筈なので。」

「要するに未消化部分を返せって事ね。」

「まあ、そう言う事ですよ。その表現は少し引っ掛かりますけどね。」

リリスの不満げな表情を見て、シーナはニヤッと笑った。

「良いわよ。手伝ってあげるわ。あんたの名前はリリスだっけ?」

シーナの問い掛けにリリスはうんと頷いた。

「私の事はシーナと呼び捨てにして良いわよ。」

「それでリリス。早速だけど私の手のひらほどの大きさになってくれないかしら? 移動しやすくする為にね。」

手のひらサイズ?

リリスは何の事だか分からなかった。

「意識だけでここに来ているんだから、サイズなんて自由自在の筈よ。」

「でもどうやれば・・・・・」

「小さくなる意識を持つだけよ。固定概念があるから自分の肉体のサイズに留まっているのよね。」

そうなのか?

そう言われても良く分からないが、言われるままにリリスは縮小化する意識を持ち続けた。
それと共にその身体も徐々に小さくなっていく。

程なくシーナの手のひらサイズになってしまったリリス。
それを大事そうにシーナは両手で包み込み、そのままドライアドの傍に近付いた。
リリスを携えたシーナの身体がドライアドの身体に重なっていく。

ドライアドの身体の中に入ったと思われる瞬間、リリスは身体に強い摩擦を感じた。

「それは世界樹の根幹部分の魔力の隔壁を超えたからよ。」

シーナの言葉にリリスは驚きながらも、その周囲に無限の空間が広がっている事を知った。
真っ白な空間が果てしなく広がっている。

「さあ、ここからはリリス次第よ。探知して行くべき方向を教えて頂戴。」

シーナの指示に従ってリリスは広範囲に探知を掛けた。
ウィンディの気配が斜め前方に僅かに感じられる。
その方向を教えると、シーナはリリスを抱えたまま高速で飛び出した。

しばらく飛ぶと目的とする方向が若干ずれてくる。
それを修正して貰いながら、シーナとリリスは更に進んだ。
その作業を繰り返す事、数回。

リリスはウィンディの気配を間近に感じられるところまで辿り着いた。

「リリス。ここで良いの? 確かに不思議な気配を感じるけどね。」

「ええ、この辺りよ、シーナ。前方に見える靄のようなものがそれだと思う。」

シーナはリリスの示す範囲に魔力を放ち、その反応を見た。
靄が晴れて小さな光の球が見える。
薄いブルーの光球だ。

だが近付いてみると、それは単なる光球ではなく、金色の帯が幾つも絡んだ球体だった。
金色の帯は常にゆらゆらと動き、その全てが光球を取り巻くように回転している。
その金色の帯に時折文字のようなものが現われ、直ぐに消えていく。

「あの文字の様なものが点滅している帯は何なの? まるで呪詛のように見えるけど・・・・・」

リリスの問い掛けにシーナはしばらく精査した。
程なくシーナは無言で頷きながらリリスの顔を見た。

「あれは呪詛では無いわ。一言で言えば、定理と法則、そしてそれらを纏める定義ね。」

シーナの言葉にリリスは首を傾げた。
何の事だかさっぱり分からない。
その様子を見てシーナはニヤッと笑った。

「亜神って膨大な魔力で形造られているのよね? そうだとしたらその魔力の塊を亜神として存在させるための定義が必要になるわ。そしてその亜神が存在するための定理や法則も必要よね。それらすべてがあの帯のように見えるものの中に定められているのよ。」

「勿論私ですらそんな事は出来ないけどね。それこそリリスの居る世界の管理者の成せる業よ。」

そうなんだ。

リリスは感心してその光球を眺めていた。
これがウィンディをウィンディとして存在させるための核の部分なのだろう。

「さあ、回収しなさい。」

「でもどうやれば・・・・・」

躊躇うリリスにシーナは優しく答えた。

「リリスの魔力の中に取り込めば良いのよ。世界樹にすら吸収出来ない物だから、取り込むと言っても、あんたの魔力と混ざってしまう事は全く有り得ないわ。安心して。」

そう言われて躊躇う要因も無くなったリリスは、そのままその光球を自分の魔力の中に取り込んだ。
程なく胸の辺りに強い違和感が感じられるようになった。
これはウィンディの魔力の核がその存在を主張しているのだろう。
リリスはそう思いながら胸を軽く撫でた。
その手の動きに反応して、胸の辺りが仄かに光りを放つ。
それがまた存在をアピールしているようにも思える。

「回収終了ね。それじゃあ、戻るわよ。」

シーナはそう言うと再びリリスを包み込み、一気に空間を駆け抜けた。
しばらく飛び、再度世界樹の根幹部分の魔力の障壁を超え、シーナとリリスはドライアドの目の前に戻ってきた。

リリスが元の姿に戻ると、ドライアドはリリスに深々と頭を下げた。

「あんたが謝る事は無いのよ。頭を上げて。勝手にこっちの世界に紛れ込んだ奴が悪いんだからね。」

そう言いながらリリスはドライアドの頭を軽く撫でた。
それに応じてドライアドが目を細め、嬉しそうに微笑んだ。

リリスはドライアドとシーナに再度礼を言い、世界樹の元から飛び立ち、異世界の大空を駆け抜けていった。




意識が元の世界に戻ったリリスは、自室のソファから立ち上がり、魔力操作で自分の身体の中に流れる魔力の中から、ウィンディの魔力の核を取り出した。
それを両手に持ち、ロキに呼び掛けるように強い念を放つと、それは瞬時に応答を見せた。
リリスの目の前に小さな球体が生じて、徐々に形を変え、ロキの使い魔である龍の姿になった。

ロキはリリスが手にしている光球をじっと見つめ、うんうんと無言で頷いた。

「リリス。ご苦労様。よくぞ回収してくれた。礼を言うぞ。」

龍はウィンディの魔力の核を撫で回すように擦り寄った。

「かなり損耗しておるようだ。再生には少し時間が掛かりそうだな。」

「リリス。申し訳ないがもう少し付き合ってくれ。」

そう言うとロキはフッと魔力を放った。それと共にリリスの視界が暗転する。

何処に連れて行くつもりなのよ?

そう思う間もなく視界が変わり、リリスとロキは真っ暗な洞窟の中に居た。
その洞窟の中に光が見える。

ロキに促されその傍に近付くと、クリスタルの様な素材のカプセルの中に、ゴスロリ姿の女性が眠っていた。
ウィンディの本体だ。
気配もなく死んだように眠っている。

「さあ、その中に核を入れてくれ。」

ロキの指示で手にしていた光球をカプセルに押し付けると、まるで吸い込まれるように光球は内部に入っていった。
更にウィンディの本体に入り込み、身体全体が仄かに光りを放った。

「う~む。かなり弱っておるな。リリス、申し訳ないが、お前の魔力をこのカプセルの中に放ってくれ。お前の魔力量の20%ほどで良いから。」

20%って、相当な分量じゃないの!
仕方が無いわねえ。

乗り掛かった舟と言う心境で、リリスは自分の魔力をカプセルの中にしばらく放ち続けた。
カプセルの中のウィンディの本体は光を放ち、その顔は生き生きとした表情になってきている。
それに連れてリリスの額には冷や汗が滲む。

「もう良いだろう。リリス、重ねて感謝するぞ。」

ロキはそう言うと再び魔力を放ち、リリスを自室に戻してくれた。

リリスの肩にどっと疲れがのしかかる。

疲れた・・・・・。

リリスはその疲労のあまり、そのままベッドの上に倒れ込んでしまったのだった。



しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気が付くと見知らぬ部屋にいた。 最初は、何が起こっているのか、状況を把握する事が出来なかった。 でも、鏡に映った自分の姿を見た時、この世界で生きてきた、リュカとしての記憶を思い出した。 記憶を思い出したはいいが、状況はよくなかった。なぜなら、貴族では失敗した人がいない、召喚の儀を失敗してしまった後だったからだ! 貴族としては、落ちこぼれの烙印を押されても、5歳の子供をいきなり屋敷の外に追い出したりしないだろう。しかも、両親共に、過保護だからそこは大丈夫だと思う……。 でも、両親を独占して甘やかされて、勉強もさぼる事が多かったため、兄様との関係はいいとは言えない!! このままでは、兄様が家督を継いだ後、屋敷から追い出されるかもしれない! 何とか兄様との関係を改善して、追い出されないよう、追い出されてもいいように勉強して力を付けるしかない! だけど、勉強さぼっていたせいで、一般常識さえも知らない事が多かった……。 それに、勉強と兄様との関係修復を目指して頑張っても、兄様との距離がなかなか縮まらない!! それでも、今日も関係修復頑張ります!! 5/9から小説になろうでも掲載中

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...