落ちこぼれ子女の奮闘記

木島廉

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新たな加護1

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ラダムの囚われていた未知の廃墟から戻ってきて数日後。

リリスは授業中に二の腕の小さな黒点が疼くのを感じた。
小さな三つの黒点が数mmの間隔で三角形を描いている。
それが何かを知らせている様に感じ、リリスは昼の休憩時間に薬草園に足を運んだ。

人気のない薬草園の片隅に立ち、リリスはその二の腕の黒点に軽く魔力を流した。
黒点はフッと仄かに光り、リリスの脳に働きかけて、映像らしきものを送って来た。

リリスの脳裏にぼんやりと映像が浮かぶ。
それは徐々に鮮明度を増し、意外にもくっきりとイメージが浮かんできた。

鬱蒼とした森の中。
木立の中に小さな若木が見えて来た。
その高さは1mほどだろうか。

まだ葉も緑色が薄く、瑞々しい若木だ。
見た目は杉の様な針葉樹である。

その若木の上にオレンジ色の矢印が現われた。
下向きの矢印がこの若木を注視せよと言わんばかりだ。

どうしろって言うの?

リリスの思いにその返答が思念として浮かび上がってくる。

探し出して欲しい。

そう言っている様に感じられたリリスは戸惑った。

こんなの、何処に生えているか分からないわよ。

その思いに応えるように視界が変わり、広範囲のイメージ映像が浮かび上がる。
それは見覚えのある景色だった。

これってレミア族の遺跡の近くじゃないの。
でも近いと言っても、ここからだと歩いて20分以上は掛かるわね。

時間を確かめ逆算しても午後の授業には間に合わない。
それに昼食もまだだ。

休日に行くしかないわね。

リリスはそう判断して薬草園を出た。





その数日後。

休みの日の午後に、リリスはレミア族の遺跡を訪れた。
魔法学院の広大な敷地内にあるので、そこまで辿り着くのにそれほどの手間は無い。
遺跡はその周囲を含めて公園になっている。
所々にベンチがあり、様々な花木が植えられているが、訪れている人の姿は見えない。

その公園の向こう側に小高い丘があり、雑木林になっている。
リリスは公園のベンチに座り、二の腕の小さな黒点に魔力を流した。

この近くなの?

そんな思いを魔力と共に流してみると、黒点は仄かに光り、リリスの脳裏にイメージを送って来た。

リリスの脳裏にオレンジ色の大きな矢印が浮かび、それは前方に直進して雑木林の端の方に向かって行った。
その矢印の航跡が残ったまま点滅しているイメージだ。

随分手の込んだイメージね。
まるでナビだわ。

そう思いながら、リリスはベンチから立ち上がり、脳裏に送られてきたイメージと実際の雑木林の光景を重ねてみた。
おおよその位置は分かる。

その方向に向かって歩く事、約10分。

リリスは雑木林の端の方に辿り着いた。
一応魔法学院の敷地内なので魔物の気配は無い。

それでも小さな蜂や蜘蛛の類は居るので、虫除けに軽く魔力を纏い、リリスは雑木林の中に踏み込んでいった。

生い茂る枝葉や蔦を掻き分け、少し歩くと小さく開けた場所に出た。
雑草の下草を踏みならしながら進むと、前方にそれらしき光景が見えて来た。

高さ5mほどの樹木の生える中に、小ぶりな若木が生えている。

これなの?

そう思いながら黒点に魔力を流すと、『そうだ』と答えたような気がした。
何となくその若木から穏やかな癒しの波動が伝わってくる。
気のせいでは無さそうだ。

それでどうしろって言うの?

リリスの思いに意外な思念が伝わって来た。

学舎の近くに植え替えて欲しい。

学舎の近く?
植え替えるだけなら薬草園がベストなのだが、学舎の近くとなると公園の植え込みかしら?

リリスは学舎の傍にある小さな公園スペースを思い浮かべた。

花木が少し植えてあったわね。
そこなら良いかしら?

それで良いと言う思念が返って来た。

それならと言う事で、リリスは土魔法で若木の生えている地面を砂状にした。
根が傷まないように根の周囲だけを丸く土状に固め、そのまま引き抜くと意外にも軽く持ち上げられた。
まだ細い若木なので、それほどに重くない。
その若木をマジックバッグに収納し、リリスはその場から離れた。




翌日。

ケイト先生に確認と許可を取り、リリスは学舎の傍にある小さな公園スペースに若木を植え付けた。
土いじりならお手の物である。
土魔法で土壌を最適な状態にし、肥料まで合成して幹の周囲に散布した。
その上で若木の幹の周りに木材で囲いを作ったのは、余計な作業だったかも知れない。
まだ幹が細いので、強風や物理的な衝撃で折れるかも知れないと思ったリリスの配慮である。

その作業を興味深そうに傍で見ていたエリスが、リリスの一連の作業に感心していた。

「木を植えるって言うから見に来たんですけど、リリス先輩って手慣れてますね。」

エリスの言葉にリリスはうふふと笑った。

「まあ、土魔法には長けているからね。土いじりは得意分野なのよ。」

そう言ってリリスは若木の根元に軽く水を撒いた。

「この若木って何か特別な木なんですか?」

エリスの問い掛けにリリスは一瞬言葉が詰まった。
だがそう思うのも無理はない。

「特にどうって事は無いんだけど、この若木から何となく穏やかな癒しの波動が伝わってくるのよね。」

リリスの言葉にエリスはふうんと声をあげ、若木の傍に近付いてみた。

「う~ん。確かに穏やかな波動を感じますね。魔物の気配も無いし、この木の特有の機能なのかしら?」

「まあ、どう見ても害は無いわよ。」

リリスはそう言うと制服を軽くパンパンと叩いて土埃を落とし、エリスを昼食に誘ってその場を離れた。




この日から不思議な事に、その小さな公園スペースに人が途絶える事が無くなった。
小さなベンチに誰かが座っている。
それは休憩中の学生や教師であり、学院を訪れた父兄や王都の役人でもあった。

絶えず誰かが居る。

そう言う雰囲気が漂う中、その若木は異常なほどにすくすくと伸び始め、一か月も経つと2m近くまで樹高が伸びてしまった。
その異常な成長度合いに不信を抱き、若木を精査する教師まで現われた。
だが魔物の気配などは無い。
またその若木が放つ波動には、人の知性を惑わせるチャームの様な機能も無い、
あくまでも穏やかな癒しの波動だ。
それに釣られて人が集まってくるのだろうか?

そんなある日。

リリスが昼休みに若木の様子を見に来た時、若木の前で挙動不審な動きをしている小柄な生徒の姿を見た。

近付いてみると、それはニーナだった。

「ニーナ、どうしたの?」

リリスの声に振り返ったニーナは、若木の周囲を指差した。

「この木ってリリスが植えた木だよね。」

「そうよ。それでどうしたの?」

リリスの問い掛けにニーナは、その愛くるしい表情でう~んと唸りながら、

「木の周囲に不思議な気配がするのよね。」

そう言って、若木の周りを探知し始めた。

そう言われれば・・・・・。

リリスも何となく気になり、探知の感度を高めるために魔装を非表示で発動させた。
その途端にリリスは、若木の周囲に複数のぼんやりとした存在を感じ取った。
淡い色合いの球体で普通の人には見えないだろうが、この気配にはリリスも覚えがある。

精霊だ。

複数の精霊が若木の周囲を飛び交っている。

「これって精霊かもね。」

リリスの言葉にニーナは少し首を傾げた。

「そうなのかなあ。精霊って見た事がないんだけど・・・これがそうなの?」

そう言いながらニーナは若木の周囲の空間を幾つか指差した。
それは確実にリリスが感じ取った精霊の位置を示している。

ニーナって、探知能力がまたスキルアップしているわね。

精霊の存在よりもニーナの持つ能力の高さに感心し、若木の傍に近付いてその幹を軽く撫でた。

「まあ、精霊が集まってくるって、悪い事じゃないわよね。」

リリスの言葉に頷いていたニーナだったが、あっと声をあげてリリスが触れた若木の幹をじっと見つめた。

「そこにも現われたよ。リリスの腕の周囲にも・・・・・」

確かにニーナの言う様に、若木に触れたリリスの腕の周囲に幾つもの精霊が現われ、纏わりつくように動き始めた。

若木が精霊を呼び込んでいるのだろうか?

リリスとニーナはしばらくの間、若木の周囲を眺めながら談笑していた。




更に時が経ち、若木の樹高が2mを超えた頃、リリスはその樹の幹に楕円形のコブが形成されている事に気が付いた。
それはリリスの手のひらほどの大きさである。
樹の幹から5cmほど膨れ上がっていて、その中央部に小さな黒点が三つ現われた。
それは三角形に配置され、驚いた事にリリスの二の腕の小さな黒点と同じような配置になっている。

指でそのコブを擦ると何かが伝わってくるような気がした。

リリスは何げなく自分の二の腕の三角形と、その樹のコブに現われた三角形を接近させてみた。
その途端にリリスの意識が、コブの黒点を通じて樹の中に吸い込まれていくような感覚を覚えた。

身体はそのままだ。
だが意識だけが樹の中に吸い込まれていく。

ええっ!

驚くリリスの視界が暗転し、気が付くとリリスは大空を飛行していた。
それは以前に見た夢と同じ状況だ。

広大な草原を緩やかに滑空しているリリスの眼下には、野牛の群れがのんびりと草を食み、シカの群れが疾走している。
空を仰ぎ見ると、二つの太陽の光が眩しい。

これって幻なの?
それともここは異世界なの?

意識だけが転送されているのだろうか?

混乱しつつも遠くを眺めると、草原の彼方に巨木が見える。
あの世界樹だ。
その方向に自然に身体が引き寄せられていく。

しばらく滑空して世界樹の近くまで辿り着いたリリスは、世界樹の頂きから細い糸の様な魔力の触手が数本伸びて来ているのを見た。
それらの触手はグッと伸びてリリスに向かい、その身体を包み込むように固定して幹の先端に引き寄せた。
その感触は抱きしめられているようで暖かい。
幹の先端には幾つものコブがあり、触手の誘導でリリスの額がそのコブの一つに接触した。
その途端にリリスは、額を通じて大量の情報が自分の身体に流れ込んでくるのを感じた。

えっ!
どうしてコピースキルが発動しているの?

リリスの実体での出来事では無いにも関わらず、額を通じて何かが取り込まれてくる。
それは学舎の傍の公園スペースで立っているリリスの肉体に、現実の感覚として感じられた。
コピースキルの発動で身体が小刻みに震えている。

こんなのって有り得ない!

そう思いながらリリスは解析スキルを発動させようとした。
だが何故か解析スキルが発動されない。
何かに阻害されているような感覚だ。

その間もリリスの額を通じて、大量の情報が流れ込んでくる。
実体の身体は立ち尽くしたままで動かず、意識の世界においても触手が絡み世界樹から離れられない。

全てが流れ込んできた後、魔力の触手はリリスを解放した。
呆然として空中に漂うリリス。
何が起きたのか分からないままに、リリスの視界が暗転し、気が付くとリリスは若木の傍に立っていた。
場所は学舎の傍の公園スペースだ。
周囲に人は数人居るのだが、その誰もが目隠しされたかのようで、リリスの様子を全く気に留めていないように見える。

リリスは呆然としながら近くのベンチに座り込んだ。
額を擦ると、やはり何かがコピースキルで取り込まれてきた感覚が残っている。

再度リリスは解析スキルを発動させた。
今度は上手く発動出来たようだ。

今のは夢か幻想だったの?

『どうやら現実のようです。意識だけが異世界に持っていかれたような状況でしょうか。』

そんな事って有り得るの?
それに意識だけなのにコピースキルが発動するなんて・・・・・。

『状況は不明ですが、大量のデータがコピーされてきたことは事実です。』

それって何なの?
何がコピーされてきたの?

『現在解析中です。ですが情報量が半端なく大量なので、分析し整理してステータスに載せるまでには、かなり時間が掛かります。』

そもそも、どうしてコピースキルが発動したの?

『それも分かりません。何処にどの様にアクセスすれば、このような発動の仕方が出来るのか、全く未知の現象ですね。』

分かったわ。
分析出来たらまた教えてね。

リリスはそう念じて解析スキルを解除した。
コピースキルの発動の強烈な余韻と、空中を浮遊していた余韻がまだ覚めない。
身体が少しフラフラしているのもその為だろうか。
その余韻から覚めるのを待つように、リリスはしばらくの間、ベンチに座り込んでいたのだった。







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