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神聖王国1
しおりを挟むアストレア神聖王国。
大陸東部に位置するこの国は、聖騎士による建国以来、1000年近い歴史を刻んできた。かつては周辺の国々を従属させ、東方の大国として君臨していた時代もあったが、それも今では過去の栄光に過ぎない。
現在の国力はミラ王国の半分にも満たないだろう。国力の低下の一番の要因は国家の運営を巡る王家の分裂であった。現状の版図で国力を充実させようとする勢力と、版図の拡大を強弁する勢力とに二分された王族間の対立は、その後の100年間に及ぶ内紛の引き金となってしまった。
結果として国力は低下し、従属していた周辺諸国もその関係を断ち切る事となる。
そうなると国境の維持も困難になるのは当然だ。領土は縁辺部から他国に蝕まれ、全盛期の半分ほどの領土になってしまった。
それでもこの国が滅びないのは、王都に聖魔法の総本山とも言うべき大神殿があり、大陸中の聖魔法の術者が研鑽を積みに訪れるからだ。
ミラ王国から遥か東の街道を数台の軍用馬車が走っている。そのうちの一台の馬車の中にリリスは居た。その車内にはリリス以外には誰も居ない。
だがリリスの肩に生えている芋虫がリリスの旅の友のように会話をしていた。
使い魔とは言えメリンダ王女が同行して居なければ、リリス一人に軍用馬車一台をあてがわれる事は有り得ない。
リリスも一応王族扱いなのである。
「随分遠いところまで来ちゃったわね。」
車窓から見える山並みを見つめながら、リリスはふと呟いた。
「アストレア神聖王国まで馬車で2日かかるからね。到着は明日の午後よ。」
芋虫の言葉にリリスはふうっとため息をついた。軍用馬車なので頑丈に作られているが居住性はそれほど良くない。リリスは固めのシートでお尻が痛くなってくるのを耐えているのが現状だ。数時間に一度の休憩になると馬車の外で身体を屈伸させてリフレッシュするのが常態化している。
「それで目的地までの道中は安全なの?」
「それは大丈夫よ。街道沿いの国々は全てミラ王国と友好関係にあるからね。ミラ王国との関係性で言うと、一番中途半端なのがアストレア神聖王国かしらねえ。」
それってダメじゃん。
リリスの心にも一抹の不安が過る。
「今の王家が主流派なんだけど、反主流派の一派が複数いるのよ。そのそれぞれが王族を取り込んでいるので無視するわけにもいかない。だから王家の施政方針もころころ変わるのよ。」
「それでも聖魔法の大神殿は維持されて居るのね。」
「それは当然よ。大陸中の聖魔法の術者によってあがめられ、支えられているのだから。かつては王家が支配していたんだけど、今では指示命令系統も異なり、王家とは別物なのよ。」
そう言う事なのね。
リリスはそれなりに状況を把握した。それでもホーリースタリオンを奪われる事への警戒は、リリスの心の中に依然として残っている。
現王家はまだ好意的なようだが、反主流派の者達が口を挟み手を出す可能性は否定できない。
リリスはあれこれと心の中で案じながら、芋虫の頭についている赤い帽子に目を向けた。
「リトラスってまだ憑依状態じゃないの?」
リリスの問い掛けに芋虫はうんとうなづき、
「帽子に目が付いていないでしょ? この状態は使い魔での待機状態で、憑依の場所を確保しているだけなのよ。必要な時には私の要請に応じて憑依状態に入る。そう言う設定にしてあるのよ。」
なかなか便利な設定である。闇魔法の憑依の仕組みなどリリスには当然分からない。只それが相当に特殊なスキルで、メリンダ王女以外にはそのスキルを持つ者に会った事が無いのも事実だ。
「だって、プライベートな時間まで男の子に憑依されているのは困るでしょ? お風呂とかトイレとか・・・」
確かにその通りである。リリスはうんうんとうなづき同意した。その点はメリンダ王女のリリスへの気配りでもある。
「それにしてもジーク先生が同行しているのには驚いたわ。」
「それはねえ。仕方が無いのよ。一応ジークは軍の中ではトップクラスの魔術師だからね。私はあの男は好きじゃないんだけど、護衛としては欠かせない人物だと思うわよ。」
芋虫はそう言いながらフンフンと鼻息を吐いた。勿論、芋虫の形態の使い魔に鼻は無いので、メリンダ王女の気配を感じただけなのだが。
護衛には軍から選ばれた精鋭が同行している。聖魔法に長けた騎士や重装備の戦士や魔術師も居て、総勢20名ほどにもなる構成だ。
一行の団長は他国との交渉事に精通している、ノイマンと言う名の文官であった。上級貴族ではあるが物腰の柔らかな初老の好人物だ。
時折馬車の内部に人の気配を感じる時がある。フィリップ王子がリリスの警護に用意してくれた、数名のロイヤルガードの気配だ。その全員が女性であるのもまた、フィリップ王子の配慮である。だが今回はロイヤルガード達との直接的な交流は一切無い。あくまでも警護の任務に専念しているのだろう。
「メル。当日の儀式って一日掛かるの?」
何気に聞いたリリスの質問に芋虫は自分の記憶を辿るような仕草を見せた。
「確か・・・数時間だと言っていたわ。日が傾く前に終わるって。それで翌日は観光の予定よ。美味しいものを食べに行きましょうね。」
「メルは食べられないじゃないの。」
「それは大丈夫よ。憑依のレベルを上げれば五感を共有できるからね。」
芋虫の言葉にリリスは違和感を感じた。
「それって私の身体を使ってメルが食事をするって事なの?」
「そう。そう言う事になるわね。」
う~ん。不思議な体験になりそうね。
「そうすると、まるで私がメルの使い魔になるみたいよね。」
「そう言う事。一般的な憑依ってそう言う状態なのよ。でも憑依のレベルを加減出来るのは私の固有のスキルだけどね。」
そう言いながら芋虫は得意げに身体を揺らした。
「でも観光名所も多いから、そっちも楽しみだわ。風光明媚な港町があるのよ。紺碧の海と白い壁の建物のコントラストが見事で、リリスも一度見たら魅了されちゃうわよ。」
それは楽しみねえ。
休暇を潰されたんだから、それくらいのご褒美があっても良いわよね。
リリスは異国の港町に思いを馳せながら、メリンダ王女と談笑を続けていた。
そして迎えたアストレア神聖王国の祭礼儀式の当日。
リリス達は宿舎のホテルから幅50mも有りそうな石畳の参道を通り、巨大な聖魔法の神殿の内部に案内された。
参道の周囲にはこれまた巨大な白亜の建物が立ち並び、その中央に高さが100mも有りそうな巨大な神殿が建っていた。その神殿の白い壁が日の光を受けて青白く発光している。そこはかとなく漂ってくる聖魔法の清らかな波動。その雰囲気は荘厳で、見る者が息を呑むほどだ。
祭礼儀式の時だけ開門される大きな門を通り、巨大な神殿の内部に入ると、豪華なエントランスから赤い絨毯を敷かれた幅の広い通路が一直線に、神殿の中央部に向かって走っているのが見えた。天井は高く、その通路の両側の壁はレリーフで埋め尽くされている。
祭祀の案内に従って、ノイマンが先頭に立ち、その後にリリスと警護の兵士が続く。警護の兵士の中にはジークの顔もあった。
この日の朝、宿舎を出る前にメリンダ王女はリトラスを呼び出し、芋虫の上への憑依を完了させていた。
リリスの姿が一際異様である。
「メル。私ってこの状態だとキメラに間違われて、神殿の神官に浄化されないかしら?」
冗談っぽく呟くリリスに芋虫は、
「大丈夫よ。私ってそんなに簡単に浄化されないから。」
「そう言う問題じゃないでしょ!」
物怖じしないメリンダ王女である。それに対してリリスはどうしても居心地が悪い。自分は場違いなところに来てしまったと言う思いが付き纏っていた。
それほどに神聖で荘厳な雰囲気なのだ。
「リト君は大丈夫なの?」
芋虫の頭についている赤い三角帽子に声を掛けると、リトラスの声は少し震えていた。
「僕は今、感動しているんです。こんなところに来れるなんて・・・」
そうね。
聖魔法の使い手ならだれでもここには来たくなるわよね。聖魔法を極めようとすれば、ここでの修業は欠かせないもの。
リリスはそう思うと、リトラスがここに来たのも彼の宿命なのかも知れないと考えた。大神殿の周囲を取り巻くように立っている大きな建物の中には、上位の聖魔法の修業のための施設も幾つかあるのだ。
間接照明の仄かな灯りで照らされた通路の先には巨大なドーム状の空間があった。その高さは50mほどもありそうだ。
その中央部は半地下構造になっていて、その中央に巨大な宝玉が設置されていた。聖魔法の魔力を纏ったこの宝玉は直径5mもあり、周囲に清らかな魔力の波動を放ち続けている。その宝玉の周囲の足場に神官や祭司達が並び、宝玉と聖魔法の魔力をやり取りしているので、辺り一面に青白い魔力の渦が巻き上がり、実に幻想的な雰囲気だ。
その周りに席が設けられ、すでにアストレア神聖王国の王族や貴族達が座っていた。その数は50人ほどだ。リリス達もその末席に案内され、用意された席に着くと祭礼儀式の簡単な説明が神官によってアナウンスされた。
その説明によるとかなり特殊な儀式の様で、10年に一度行われると言う。聖剣を巨大な宝玉の前で重ね合わせ、その際の魔力の波動の干渉から国の施政方針の検証をするそうだ。
だがそこに神官達の私心も入らないだろうか?
一歩間違えると変な方向に舵を切る事も有り得るわね。
これってこの国の施政方針がコロコロ変わる一因じゃないの?
そんな思いに駆られながら隣に座るノイマンの顔を見ると、彼も同じ事を感じていたようで、訝し気な表情でそのアナウンスを聞いていた。
メリンダ王女も同様で、そのノイマンに小声で、
「ねえ、ノイマン。この儀式って神官達を買収すれば、自分達の都合の良い方向に誘導出来るんじゃないの?」
辛辣な表現だが的を得ているかも知れない。尋ねられたノイマンは芋虫に意味深な笑顔を向けた。
「王女様の疑問ももっともですね。ですが私の聞いた話では、あくまでも施政方針の参考にすると言う事です。どの程度まで参考にするのかは分かりませんが・・・」
「う~ん。参考ねえ。それって強弁すれば強引に誘導する事も出来そうよね。」
芋虫の言葉にノイマンはニヤッと笑った。
「王女様ならそうしますか?」
「事によってはね。」
ノイマンとメリンダ王女の会話にリリスは口を挟む余地も無い。国政に携わる者達の会話なので、やたらと現実味がある会話だ。これは自分はスルーした方が良さそうだとリリスは考えた。
神官が聖剣の準備に入ったので、ノイマンはリリスにホーリースタリオンの準備を促した。メリンダ王女がリトラスの憑依レベルを高めると同時に、リリスは立ち上がってマジックバッグから聖剣を取り出した。
ホーリースタリオンがリトラスからの魔力を受けて、青白く光っているのが鞘の外からも見えている。
儀式のために設置された円形の台座の上に屈強そうな騎士が立っている。その手には刀身が1mほどの聖剣が握られていた。騎士は高位のパラディンなのだろう。手に持つ聖剣は仄かに青白い光を放っていたのだが、リリスが台座に立つと急にその光を点滅させた。
ホーリースタリオンに反応しているようだ。
神官の指示に従ってリリスは、ホーリースタリオンを両手で握り、対峙する騎士の前に突き出した。騎士も手に持つ聖剣をリリスの前に突き出し、剣と剣とを接触させると、両方の聖剣が反応して小刻みに震え始めた。2本の聖剣が周囲に魔力の波動を伝播させていく。
これを神官達が読み解くと言うのだろうか?
だが突然巨大な宝玉が強い光を放ち、聖魔法の魔力が渦となって立ち上がり、ホーリースタリオンに一気に流れ込んできた。その魔力の激流でリリスの身体も揺さぶられ、立っているのがやっとだ。
高度に憑依しているリトラスが身体強化のスキルを即座に発動させた。そのお陰で身体の揺れも制御出来たのだが、これは何かの予兆なのだろうか?
不思議に思って神官達を見ると、彼等は一様に驚きの表情を見せて何かを叫んでいた。
これってアクシデントなの?
リリスも周囲の反応を見て不安を感じ始めた。
対峙していた騎士が驚きながら聖剣を下げると、ホーリースタリオンが激しく光り、剣の先から青白い光の球が飛び出した。それは巨大な宝玉の上に浮かびながら、徐々に大きくなり、一気に縦に伸び上がった。
宝玉の上に現れたのは巨大な騎士の姿だ。高さは10mほどもあるだろうか。だがその顔にはリリスも見覚えがある。
「剣聖ジークフリート!」
それは使い魔を通して叫んだリトラスの声だった。
銀色に輝く剣聖はその周りを一瞥し、人の心の中を射抜くような視線を暫くの間向けていた。
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