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転移者の遺産1
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王女様達とのダンジョンチャレンジの数日後。
リリスはエリスを連れて学舎の傍にある二階建ての大きな倉庫に来ていた。
最上級生に進級して生徒会長になったセーラの発案で、学院内の不思議な物を列挙してパンフレットに盛り込もうと言う企画だ。
でも不思議な物と言ってもねえ。
当初、リリスは学校の怪談や学校の七不思議のようなものをイメージしていた。だが生徒会の打ち合わせをしている段階で、それがリリスの勘違いであると分かってきた。
そもそもが魔物や死霊が実在している世界だ。怪談物なんてどこまでも実話になってしまう。いざとなったら聖魔法で浄化すれば終わりだ。
英国が舞台の魔法使いの少年の物語に出てくる『描かれている人物が動き、話し掛けてくる人物画』でさえ、魔石と魔道具で実現出来る。リリスは幼少時にその実物を見た事すらあるのだ。
結局、不思議な物って何なの?
この世界の人々が理解不能な物。
そう考えると思い当たる節もある。
学院敷地内の遺跡の地下に隠されているレミア族の太古の研究施設。
あれだってリリスでしか入る事が出来ない。
亜神の本体のかけら。
これなんて不思議な存在で理解不能だが、扱いを間違えると大きな災厄になってしまう。
だから結局、不思議な物って何なのよ?
自問自答しても良い回答が思い浮かばない。それでとりあえずあちらこちらを探してみようと言う事になったのだ。
「ロイド先生が倉庫で、魔力を纏った奇妙な木製の彫像を見たと言っていましたよ。」
エリスのその言葉を頼りに、リリスは放課後、エリスと共に倉庫を訪れた。二階建てだがその敷地面積は相当広い。大まかな区画に分かれていて、歴代の学校職員や父兄からの寄贈品などが管理されているらしい。
エリスと共に幾つかの区画を回ってみたがめぼしいものは見つからなかった。大半は書物や置物や絵画等だ。
だがある区画に入ると僅かな収蔵品が置かれ閑散とした状態だが、その中央に丸いテーブルがあり、その上に木彫りの彫像が置かれていた。そこからは不思議な魔力が漂ってくる。
「リリス先輩、あれですよ。ロイド先生が言っていた奇妙な彫像です。」
エリスの指さす方向に近付いてみると、それは驚くべきものだった。
「・・・・・・・・・・」
目を見開き、言葉も無く茫然と立ち尽くすリリス。
そのリリスの様子を見てエリスは首を傾げた。
「そんなに奇妙ですか? 確かに不思議な魔力を纏っているのは分かりますが・・・」
そうじゃないのよ、エリス。
この造形そのものが問題なのよ!
丸いテーブルの上に置かれた木彫りの彫像。材質は堅そうな焦げ茶色の木材で、高さは70cm、幅は150cmほどだろうか。中央に大きな人物が台座に座った姿勢で彫られ、その両脇に二人の人物が立ち姿勢で若干小振りに彫られている。その衣装や台座などに精緻な細工が施され、表面はニスを塗ったように光沢がある。
これって・・・。
これって・・・・・・釈迦三尊像じゃないの!
光背は無いが、美術の教科書に出てくる国宝の精巧なレプリカだ。
何故、こんなものがここにあるの?
これがあるって事は、転移者あるいは転生者がいたと言う事よね。
う~んと唸ってリリスは考え込んでしまった。
「私は二階の区画を見てきますね。」
リリスの様子を不思議に思いながらも、エリスは先に進んでいった。倉庫1回の奥の階段を昇って視界から消えた時、リリスの脳裏にふと、以前の図書館での出来事が蘇ってきた。
そう言えば、あの古書からもコピー出来たわよね。
この仏像だって何かがコピー出来るのかも・・・・・。
この造形と纏わる魔力から考えて、何かしらのメッセージが込められている事は間違いない。しかも纏わる魔力が何となくあの古書の魔力と似ているように感じる。
エリスが居ない事を再度確認して、リリスは仏像に近付いた。
仏様に額を付けるなんて罰当たりかしら?
仏罰が異世界にまで及ぶのかは不明だが、少し後ろめたい気持ちを持ちながらも、リリスは中央の仏像の額に自分の額を付けてみた。
その途端にコピースキルが発動し、何か得体の知れないものが大量にコピーされてきた。だが明らかに属性魔法やスキルでは無さそうだ。しかも古書の時と同じように、コピーの際の頭痛は一切無い。
これって何?
まるで大量のデータが闇雲に流れ込んでくる感覚だ。
1分ほどでコピーが終了した。仏像から離れ、額を摩りながらリリスは解析スキルを発動させた。
今コピーした物って何なの?
『圧縮された大量のデータですね。そのままでは解読不能ですが、最後に再構築用のガイダンスが見つかりましたので、再構築してみます。』
『でも少し時間が掛かりそうですね。半日ほど時間をください。』
うん、任せたわ。
よろしくね。
リリスは仏像をじっと眺めながらその場を離れ、エリスの後を追って2階に向かった。
その後二人で約1時間の探索をしたが、結局2階にもめぼしいものは無く、リリスとエリスはそのまま学生寮に戻って行った。
夕食の時間になり、リリスはサラを誘って学生寮の地下の学生食堂に来た。
ホテルのレストランのような瀟洒な造りの学生食堂に入ると、煮込み料理の美味しそうな匂いが鼻をくすぐる。入り口の掲示板によると、今夜のメニューはクリームシチューで、付け合わせのサラダとパンが付いていた。
この世界にも牛は居る。だが牛と言っても野生に近いもので異種交配などによる改良はされていない。それ故に牛乳はコクがあって癖も強い。どちらかと言えば山羊の乳のような風味だ。これを使ったクリームと白ワイン等で煮込まれたシチューだから、香草やスパイスも多めに使われている。
根野菜と共に煮込まれているのは鶏肉・・・・・否、淡白だが魔物の肉のようだ。何の肉なのか聞くのは止めておこう。
空いた席に座ったリリスとサラの目の前に夕食が運ばれてきた。
濃厚なシチューの味わいに言葉を交わす事も忘れて二人は食べ始めた。奥の方の席を見ると、こちらに手を振っている生徒がいる。エリスだ。彼女もクラスメイトと夕食にきたようだ。こちらからも手を振ってサラにエリスを紹介すると、サラは軽く会釈をして食事を続けた。
倉庫の探索で疲れていたので、リリスの食欲も旺盛だ。
暫く食べ続けたところで、サラがおもむろに口を開いた。
「リリス。王女様達とのダンジョンチャレンジは大変だったそうね。ブラックウルフの大群に襲われたって聞いたわよ。」
「そうなのよ。でも地を這う魔物ならまだ対処の仕様もあるわ。」
「そうよね、土壁、否、土魔法のスペシャリストだものね。」
そう言ってサラはパンを千切り、シチューに浸け込んで口に頬張った。
今、土壁って言いそうになったわね。
別に言い直さなくても良いわよ。
そう思って心の中でほくそ笑みながら、リリスは話を続けた。
「王女様二人に憑依されたまま戦闘に向かうのはもうこりごりだわ。気を抜けないし、良い所も見せてあげなくてはならないから、結構気合を入れて取り組んだのよ。」
「そうでしょうねえ。でもリリスのその決意に反応して、ダンジョンもブラックウルフの大群を送り込んだんじゃないの?」
笑いながら話すサラに相槌を打ちながらも、リリスは第4階層での戦闘を思い出していた。
あの時は本当に危なかったわ。
サラマンダーを繰り出すなんて反則よ。
改めて仮のダンジョンマスターであったアゾレスに腹が立ち、それを紛らわすようにリリスはパンを口一杯に頬張った。
「そう言えば学院内の不思議な物って見つかったの?」
「いいえ、それが何もまだ見つからないのよ。」
リリスの言葉にサラはうんうんとうなづいた。
「そうでしょうねえ。」
そう言いながら、サラは何かを思い出した様子で話を切り出した。
「そう言えば、最近正体不明の使い魔が学生寮内を跋扈しているって噂よ。ピクシーとかノームとか・・・・・」
それってユリア達だ。
あの連中、寮内をウロチョロしているのかしら?
拙いわね。
釘を刺しておかなくては・・・。
「そうなの?」
「そうらしいのよ。私は見た事が無いんだけどね。」
ああ、それは何時も亜神達に眠らされているからよ。気の毒だけどね。
でも亜神達の事は教えない方が良いわよねえ。
美味しそうにシチューを口に運ぶサラの笑顔を見ていると、亜神達に邪険にされているようで、つい申し訳ないという思いに駆られてしまうリリスである。
サラの受難には自分がどこかで穴埋めしてあげたい。
そう思いながらリリスはサラと過ごす時間を楽しんでいた。
夕食後、自室に戻って明日の授業の準備を終え、リリスシャワーと着替えを済ませてリリスはベッドに潜り込んだ。
すでにサラは寝入っている。
サラの寝顔を見ていると、こちらまで自然に眠くなってしまう。
だがリリスもうとうととし始めていたその時、解析スキルがリリスを起こした。
『コピーした内容の再構築が終了しました。』
ああ、ご苦労様でした。ようやく仕上がったのね。
それでコピーされてきたのは何だったの?
『再構築されたのは【データ】と【ガイダンス】です。』
それって以前の古書の時と同じね。
『そうなんですよ。構成と魔力の波動が同じですね。おそらく作成者が同一人物だと考えるべきでしょう。』
そうなの?
あの変わり者の賢者様?
『ただ、容量がかなり大きいので、単なる情報だけでは無さそうです。』
『明日、人気のない場所で発動させる事をお勧めします。』
そうね。明日の楽しみに取っておくわね。
ありがとう。
謝意を送ってリリスは深い眠りに就いた。
リリスはエリスを連れて学舎の傍にある二階建ての大きな倉庫に来ていた。
最上級生に進級して生徒会長になったセーラの発案で、学院内の不思議な物を列挙してパンフレットに盛り込もうと言う企画だ。
でも不思議な物と言ってもねえ。
当初、リリスは学校の怪談や学校の七不思議のようなものをイメージしていた。だが生徒会の打ち合わせをしている段階で、それがリリスの勘違いであると分かってきた。
そもそもが魔物や死霊が実在している世界だ。怪談物なんてどこまでも実話になってしまう。いざとなったら聖魔法で浄化すれば終わりだ。
英国が舞台の魔法使いの少年の物語に出てくる『描かれている人物が動き、話し掛けてくる人物画』でさえ、魔石と魔道具で実現出来る。リリスは幼少時にその実物を見た事すらあるのだ。
結局、不思議な物って何なの?
この世界の人々が理解不能な物。
そう考えると思い当たる節もある。
学院敷地内の遺跡の地下に隠されているレミア族の太古の研究施設。
あれだってリリスでしか入る事が出来ない。
亜神の本体のかけら。
これなんて不思議な存在で理解不能だが、扱いを間違えると大きな災厄になってしまう。
だから結局、不思議な物って何なのよ?
自問自答しても良い回答が思い浮かばない。それでとりあえずあちらこちらを探してみようと言う事になったのだ。
「ロイド先生が倉庫で、魔力を纏った奇妙な木製の彫像を見たと言っていましたよ。」
エリスのその言葉を頼りに、リリスは放課後、エリスと共に倉庫を訪れた。二階建てだがその敷地面積は相当広い。大まかな区画に分かれていて、歴代の学校職員や父兄からの寄贈品などが管理されているらしい。
エリスと共に幾つかの区画を回ってみたがめぼしいものは見つからなかった。大半は書物や置物や絵画等だ。
だがある区画に入ると僅かな収蔵品が置かれ閑散とした状態だが、その中央に丸いテーブルがあり、その上に木彫りの彫像が置かれていた。そこからは不思議な魔力が漂ってくる。
「リリス先輩、あれですよ。ロイド先生が言っていた奇妙な彫像です。」
エリスの指さす方向に近付いてみると、それは驚くべきものだった。
「・・・・・・・・・・」
目を見開き、言葉も無く茫然と立ち尽くすリリス。
そのリリスの様子を見てエリスは首を傾げた。
「そんなに奇妙ですか? 確かに不思議な魔力を纏っているのは分かりますが・・・」
そうじゃないのよ、エリス。
この造形そのものが問題なのよ!
丸いテーブルの上に置かれた木彫りの彫像。材質は堅そうな焦げ茶色の木材で、高さは70cm、幅は150cmほどだろうか。中央に大きな人物が台座に座った姿勢で彫られ、その両脇に二人の人物が立ち姿勢で若干小振りに彫られている。その衣装や台座などに精緻な細工が施され、表面はニスを塗ったように光沢がある。
これって・・・。
これって・・・・・・釈迦三尊像じゃないの!
光背は無いが、美術の教科書に出てくる国宝の精巧なレプリカだ。
何故、こんなものがここにあるの?
これがあるって事は、転移者あるいは転生者がいたと言う事よね。
う~んと唸ってリリスは考え込んでしまった。
「私は二階の区画を見てきますね。」
リリスの様子を不思議に思いながらも、エリスは先に進んでいった。倉庫1回の奥の階段を昇って視界から消えた時、リリスの脳裏にふと、以前の図書館での出来事が蘇ってきた。
そう言えば、あの古書からもコピー出来たわよね。
この仏像だって何かがコピー出来るのかも・・・・・。
この造形と纏わる魔力から考えて、何かしらのメッセージが込められている事は間違いない。しかも纏わる魔力が何となくあの古書の魔力と似ているように感じる。
エリスが居ない事を再度確認して、リリスは仏像に近付いた。
仏様に額を付けるなんて罰当たりかしら?
仏罰が異世界にまで及ぶのかは不明だが、少し後ろめたい気持ちを持ちながらも、リリスは中央の仏像の額に自分の額を付けてみた。
その途端にコピースキルが発動し、何か得体の知れないものが大量にコピーされてきた。だが明らかに属性魔法やスキルでは無さそうだ。しかも古書の時と同じように、コピーの際の頭痛は一切無い。
これって何?
まるで大量のデータが闇雲に流れ込んでくる感覚だ。
1分ほどでコピーが終了した。仏像から離れ、額を摩りながらリリスは解析スキルを発動させた。
今コピーした物って何なの?
『圧縮された大量のデータですね。そのままでは解読不能ですが、最後に再構築用のガイダンスが見つかりましたので、再構築してみます。』
『でも少し時間が掛かりそうですね。半日ほど時間をください。』
うん、任せたわ。
よろしくね。
リリスは仏像をじっと眺めながらその場を離れ、エリスの後を追って2階に向かった。
その後二人で約1時間の探索をしたが、結局2階にもめぼしいものは無く、リリスとエリスはそのまま学生寮に戻って行った。
夕食の時間になり、リリスはサラを誘って学生寮の地下の学生食堂に来た。
ホテルのレストランのような瀟洒な造りの学生食堂に入ると、煮込み料理の美味しそうな匂いが鼻をくすぐる。入り口の掲示板によると、今夜のメニューはクリームシチューで、付け合わせのサラダとパンが付いていた。
この世界にも牛は居る。だが牛と言っても野生に近いもので異種交配などによる改良はされていない。それ故に牛乳はコクがあって癖も強い。どちらかと言えば山羊の乳のような風味だ。これを使ったクリームと白ワイン等で煮込まれたシチューだから、香草やスパイスも多めに使われている。
根野菜と共に煮込まれているのは鶏肉・・・・・否、淡白だが魔物の肉のようだ。何の肉なのか聞くのは止めておこう。
空いた席に座ったリリスとサラの目の前に夕食が運ばれてきた。
濃厚なシチューの味わいに言葉を交わす事も忘れて二人は食べ始めた。奥の方の席を見ると、こちらに手を振っている生徒がいる。エリスだ。彼女もクラスメイトと夕食にきたようだ。こちらからも手を振ってサラにエリスを紹介すると、サラは軽く会釈をして食事を続けた。
倉庫の探索で疲れていたので、リリスの食欲も旺盛だ。
暫く食べ続けたところで、サラがおもむろに口を開いた。
「リリス。王女様達とのダンジョンチャレンジは大変だったそうね。ブラックウルフの大群に襲われたって聞いたわよ。」
「そうなのよ。でも地を這う魔物ならまだ対処の仕様もあるわ。」
「そうよね、土壁、否、土魔法のスペシャリストだものね。」
そう言ってサラはパンを千切り、シチューに浸け込んで口に頬張った。
今、土壁って言いそうになったわね。
別に言い直さなくても良いわよ。
そう思って心の中でほくそ笑みながら、リリスは話を続けた。
「王女様二人に憑依されたまま戦闘に向かうのはもうこりごりだわ。気を抜けないし、良い所も見せてあげなくてはならないから、結構気合を入れて取り組んだのよ。」
「そうでしょうねえ。でもリリスのその決意に反応して、ダンジョンもブラックウルフの大群を送り込んだんじゃないの?」
笑いながら話すサラに相槌を打ちながらも、リリスは第4階層での戦闘を思い出していた。
あの時は本当に危なかったわ。
サラマンダーを繰り出すなんて反則よ。
改めて仮のダンジョンマスターであったアゾレスに腹が立ち、それを紛らわすようにリリスはパンを口一杯に頬張った。
「そう言えば学院内の不思議な物って見つかったの?」
「いいえ、それが何もまだ見つからないのよ。」
リリスの言葉にサラはうんうんとうなづいた。
「そうでしょうねえ。」
そう言いながら、サラは何かを思い出した様子で話を切り出した。
「そう言えば、最近正体不明の使い魔が学生寮内を跋扈しているって噂よ。ピクシーとかノームとか・・・・・」
それってユリア達だ。
あの連中、寮内をウロチョロしているのかしら?
拙いわね。
釘を刺しておかなくては・・・。
「そうなの?」
「そうらしいのよ。私は見た事が無いんだけどね。」
ああ、それは何時も亜神達に眠らされているからよ。気の毒だけどね。
でも亜神達の事は教えない方が良いわよねえ。
美味しそうにシチューを口に運ぶサラの笑顔を見ていると、亜神達に邪険にされているようで、つい申し訳ないという思いに駆られてしまうリリスである。
サラの受難には自分がどこかで穴埋めしてあげたい。
そう思いながらリリスはサラと過ごす時間を楽しんでいた。
夕食後、自室に戻って明日の授業の準備を終え、リリスシャワーと着替えを済ませてリリスはベッドに潜り込んだ。
すでにサラは寝入っている。
サラの寝顔を見ていると、こちらまで自然に眠くなってしまう。
だがリリスもうとうととし始めていたその時、解析スキルがリリスを起こした。
『コピーした内容の再構築が終了しました。』
ああ、ご苦労様でした。ようやく仕上がったのね。
それでコピーされてきたのは何だったの?
『再構築されたのは【データ】と【ガイダンス】です。』
それって以前の古書の時と同じね。
『そうなんですよ。構成と魔力の波動が同じですね。おそらく作成者が同一人物だと考えるべきでしょう。』
そうなの?
あの変わり者の賢者様?
『ただ、容量がかなり大きいので、単なる情報だけでは無さそうです。』
『明日、人気のない場所で発動させる事をお勧めします。』
そうね。明日の楽しみに取っておくわね。
ありがとう。
謝意を送ってリリスは深い眠りに就いた。
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