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仮装ダンスパーティー その後
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リリスの絶叫が響き渡る地下神殿。
これ以上ネタにしないでと涙目で憤慨するリリスを宥めながら、タミアは時間軸を調節してリリスと王女を転送した。舞踏曲や生徒達の雑踏が耳に入ってくる。無事に戻れたようだ。さらに時間を確かめると、リリスと王女が転移されてしまった数秒前になっていた。二人は顔を見合わせてほっと溜息をついた。
だが王女は寂しそうな表情になってうつむいている。ふと呟いた王女の声がかろうじてリリスの耳に入ってきた。
「ロイヤルガードの気配は消えたままだわ。そこまでは遡及できないのね。」
失われた命までは戻らないと言う事なのだろう。リリスも少し悲し気になってしまったが、仮装ダンスパーティはまだ続いている。気を取り直してスタッフの作業に戻ろうとした。
「何はともあれ、マリアナ様がご無事であれば上々ですよ。マリアナ様にもしもの事があれば国家間の事にも反映しますからね。」
「そうよね。自分の立場を考えれば、気落ちしている場合じゃないわね。」
そう言うと王女はすくっと立ち上がりダンスフロアに戻っていった。心労を隠して気丈に振舞う様子は如何にも為政者の一族である。リリスも安堵の気持ちを胸に抱きながら、王女の後姿を眺めていた。
後日、リリスは放課後に、学生食堂の一角にあるガラス張りの別室に呼び出された。
呼び出したのはマリアナ王女だった。
席に座る王女の周囲にもやっとした気配を感じる。これは新しく任務に就いたロイヤルガードの気配なのだろう。
王女が単独で行動する筈がないからだ。
少し緊張したリリスの気持ちをほぐすように、王女はニコッと笑って声を掛けてきた。
「リリスさん。急に呼び出してごめんなさいね。」
いやいや。
王族に呼び出されたら、万難を排してでも駆け付けるでしょうよ。
一応同盟国の王女様だけどね。
リリスは王女の気配りに感謝して王女の近くの席に座った。
「実はリリスさんには謝らなければならない事があるの。」
そう言いながら王女はテーブルに置かれたポットの紅茶をリリスにすすめた。生徒会のスタッフに用意させたらしい。王女が人払いをしたようでこの場には誰も居ない。
「先日の地下神殿での事なんだけど、要点だけ私の兄上に話したのよ。兄上のフィリップは第3王子で諜報機関のトップでもあるの。ロイヤルガードが全滅してしまった事は誤魔化せなかったのよね。」
うっと言葉を詰まらせてしまったリリスだが、冷静に考えれば無理もない事だ。ロイヤルガードの全滅などと言う事があれば、事実を追求しようとするのが当然だろう。
「それで・・・どこまで話したんですか?」
リリスの問い掛けに王女は少しうつむいて呟いた。
「タミアの事は話していないわ。リリスさんと一緒に転移させられて、地下神殿で危機一髪のところで、リリスさんの顔見知りの大精霊が現れて、気紛れに助けてくれたと言う事に・・・・・」
「そんなので良く信じてくれましたね。」
「そこはねえ。兄上はシスコンだから、私の言う事は疑わないのよ。」
あらあら。
ドルキア王国って大丈夫?
「地下神殿に駆け付けた軍があの法服の男を連行して薬物で自白させたのだけど、記憶が断片的にしか残っていなくて、タミアの事も消えてしまっていたらしいわ。」
それなら良いか。リリスは一安心した。
「でもあの神経毒の解毒が難しくて、軍でも未知の毒じゃないかって騒がれていたわよ。」
「そこは不問に付してくださいね。また毒持ちなんて言われたくありませんから。」
真顔で答えたリリスに王女は分かっているわよと言いながら話を続けた。
「それでね。兄上がリリスさんに褒賞を授けたいって言うのよ。私の命の恩人だからって。」
「褒賞と言われても、私がマリアナ様を助けたわけじゃありませんよ。」
「でもリリスさんが私の転移に巻き込まれていなければ、タミアも付いて来ていなかった筈よ。間接的には私の命の恩人だと思うわ。それに・・・」
王女は少し間を置いた。
「兄上は褒賞を与えないと気が済まないのよ。」
う~ん。
そう言う人柄だと言う事なのね。シスコンだと言うし・・・。
リリスが自分自身を納得させた様子を見て、王女はさらに話を付け加えた。
「それでね。兄上がもうすぐここに来るのよ。」
ええっ!
こんなところにどうやって来るのよ!
「そうしないと気が済まないんだって言うのよね。」
「そうですか。・・・お待ちしていれば良いのですね。」
リリスは少し呆れて椅子に深く座り込み、改めて来客用の紅茶を飲んだ。馥郁とした香りが鼻をくすぐる。上質な紅茶だがそれでも王族が飲用するものとしてはどうなのだろうか?
地方貴族の子女としてはこれで十分なのだが、王族の日常生活をあまり詳しく知らないので、王女の満足を得ているか否かは分からない。
そう思いながらリリスは紅茶を飲むマリアナ王女の表情を見た。肌が艶やかで本当にビスクドールのように美しい。自分もわりと可愛い顔をしていると思っていたリリスだが、王女の顔を見ていると雲泥の差だ。
何を食べたらこんなに艶やかな肌になるのかしら?
コラーゲンの塊でも食べているの?
この世界にツバメの巣やフカヒレは無さそうだし・・・。
リリスがあれこれと妄想していると、ガラス張りの扉の向こうに人影が見えた。
「ほら! 兄上が来たわよ。」
扉を開けて入ってきたのは細身で長身の男性だった。イケメンと言えばイケメンである。だが少し癖のありそうな顔つきだ。
それにチャラい雰囲気もする。
ジーク先生と同じ匂いがするわね。
怪訝そうに見つめるリリスの表情を読み取ったのか、フィリップ王子はわざとらしい笑顔でリリスに話し掛けた。
「初めまして、リリス君。僕の妹の命の恩人だと言うから武闘派の女性かと思ったら、こんなに可愛い女性だとは思わなかったよ。」
歯が浮くようなお世辞ってこれの事ね。
リリスはそう思いつつも、隣国の王族であることを忘れていなかった。両手でスカートの両端をつまみ腰をかがめて頭を下げた。
「リリス・ベル・クレメンスと申します。フィリップ殿下には初めてお目にかかります。よろしく・・・」
そこまで言った時にフィリップ王子はリリスの言葉を制した。
「そんな堅苦しい挨拶は要らないよ。もっとフレンドリーに話そうじゃないか。」
フィリップ王子が椅子に腰を掛けると、傍にいたマリアナ王女がカップを用意して紅茶を注いだ。足を組み深々と椅子に座りながら、紅茶の香りを楽しみ、一口飲み干す。その一連の所作は流石に王族だけあって洗練されている。
フィリップ王子は紅茶のカップを置き、リリスの顔をまじまじと見つめた。
それに反応してリリスは思わず目を逸らせてしまった。
「リリスと呼ばせて貰うよ。リリス、改めて礼を言うよ。妹を救ってくれてありがとう。」
「いえいえ。私は何もしていませんよ。」
リリスの言葉にフィリップ王子はうんうんとうなづいた。
「話はマリアナから聞いた。とても信じ難い話だが、君が妹と一緒に巻き込まれて転移してくれたお陰で、妹が助かった事だけは確かだ。」
「それに妹にもし万一の事があれば、ドルキア王国とミラ王国の同盟関係が破綻してしまう事は明白だ。君のお陰で助かったのは僕達だけじゃないんだよ。その事に関しては君も貴族の子女として自覚と誇りを持ちたまえ。」
そうよね。
隣国の王女が留学先から誘拐されて殺害されたりしたら、ミラ王国もただでは済まないわよね。
リリスの納得した様子を見てフィリップ王子は懐から書類を出してリリスに手渡した。
「リリス。今回の件での君の功績を讃えて褒賞を授ける。その書類に名目が書かれているので目を通してくれ。自国の臣下ではないので金品で送る事にしたのだが、送り先は君の実家で良いね。」
金品を送られて両親も驚くだろうなあ。
日本人的な発想からすると、ここで謙遜してそんなものは要らないと言いたくなるところだが、ここで遠慮すると王族に対して失礼になる。下賜される物に対しては恭しく頂戴するのが礼儀だ。
「はい。ありがたく拝受させていただきます。」
そう言ってリリスは深々と頭を下げた。
「それから、リリスに対しての個人的な褒賞もあるんだ。これは僕からのお礼だよ。」
フィリップはマジックボックスからリボンのついた長細い箱を取り出した。手渡されたリリスがそれを開けると、宝石をちりばめた上品なネックレスが入っていた。それをフィリップ王子は手に取ると、リリスの背後に回ってその首に優しくつけてくれた。フィリップ王子の吐息がリリスの首に当たる。リリスはぞくっとしてうつむいてしまった。
「リリス。君はあと5年もすれば美しい女性になるだろうね。その時には僕のハーレムに誘ってあげよう。」
ええっ!
私って誘惑されているの?
驚いて顔を上げたリリスにフィリップ王子がニヤッと笑った。
「兄上! 戯言は止めて下さい! 品格を疑われますよ!」
マリアナ王女に窘められて、フィリップ王子はポリポリと頭を掻き始めた。
「ああそうだね。冗談が過ぎたようだ。」
悪い冗談だわ!
憤慨するリリスに謝りながら、フィリップ王子はもう一つ小さな箱を取り出した。
「これは指輪じゃないからね。」
そう言いながら、フィリップ王子はニヤッと笑い、リリスに小箱を手渡した。
それってどういう意味なのよ?
間違ってもあんたのハーレム要員にはならないわよ。
心の中でフィリップ王子に強く突っ込みを入れたリリスであった。
これ以上ネタにしないでと涙目で憤慨するリリスを宥めながら、タミアは時間軸を調節してリリスと王女を転送した。舞踏曲や生徒達の雑踏が耳に入ってくる。無事に戻れたようだ。さらに時間を確かめると、リリスと王女が転移されてしまった数秒前になっていた。二人は顔を見合わせてほっと溜息をついた。
だが王女は寂しそうな表情になってうつむいている。ふと呟いた王女の声がかろうじてリリスの耳に入ってきた。
「ロイヤルガードの気配は消えたままだわ。そこまでは遡及できないのね。」
失われた命までは戻らないと言う事なのだろう。リリスも少し悲し気になってしまったが、仮装ダンスパーティはまだ続いている。気を取り直してスタッフの作業に戻ろうとした。
「何はともあれ、マリアナ様がご無事であれば上々ですよ。マリアナ様にもしもの事があれば国家間の事にも反映しますからね。」
「そうよね。自分の立場を考えれば、気落ちしている場合じゃないわね。」
そう言うと王女はすくっと立ち上がりダンスフロアに戻っていった。心労を隠して気丈に振舞う様子は如何にも為政者の一族である。リリスも安堵の気持ちを胸に抱きながら、王女の後姿を眺めていた。
後日、リリスは放課後に、学生食堂の一角にあるガラス張りの別室に呼び出された。
呼び出したのはマリアナ王女だった。
席に座る王女の周囲にもやっとした気配を感じる。これは新しく任務に就いたロイヤルガードの気配なのだろう。
王女が単独で行動する筈がないからだ。
少し緊張したリリスの気持ちをほぐすように、王女はニコッと笑って声を掛けてきた。
「リリスさん。急に呼び出してごめんなさいね。」
いやいや。
王族に呼び出されたら、万難を排してでも駆け付けるでしょうよ。
一応同盟国の王女様だけどね。
リリスは王女の気配りに感謝して王女の近くの席に座った。
「実はリリスさんには謝らなければならない事があるの。」
そう言いながら王女はテーブルに置かれたポットの紅茶をリリスにすすめた。生徒会のスタッフに用意させたらしい。王女が人払いをしたようでこの場には誰も居ない。
「先日の地下神殿での事なんだけど、要点だけ私の兄上に話したのよ。兄上のフィリップは第3王子で諜報機関のトップでもあるの。ロイヤルガードが全滅してしまった事は誤魔化せなかったのよね。」
うっと言葉を詰まらせてしまったリリスだが、冷静に考えれば無理もない事だ。ロイヤルガードの全滅などと言う事があれば、事実を追求しようとするのが当然だろう。
「それで・・・どこまで話したんですか?」
リリスの問い掛けに王女は少しうつむいて呟いた。
「タミアの事は話していないわ。リリスさんと一緒に転移させられて、地下神殿で危機一髪のところで、リリスさんの顔見知りの大精霊が現れて、気紛れに助けてくれたと言う事に・・・・・」
「そんなので良く信じてくれましたね。」
「そこはねえ。兄上はシスコンだから、私の言う事は疑わないのよ。」
あらあら。
ドルキア王国って大丈夫?
「地下神殿に駆け付けた軍があの法服の男を連行して薬物で自白させたのだけど、記憶が断片的にしか残っていなくて、タミアの事も消えてしまっていたらしいわ。」
それなら良いか。リリスは一安心した。
「でもあの神経毒の解毒が難しくて、軍でも未知の毒じゃないかって騒がれていたわよ。」
「そこは不問に付してくださいね。また毒持ちなんて言われたくありませんから。」
真顔で答えたリリスに王女は分かっているわよと言いながら話を続けた。
「それでね。兄上がリリスさんに褒賞を授けたいって言うのよ。私の命の恩人だからって。」
「褒賞と言われても、私がマリアナ様を助けたわけじゃありませんよ。」
「でもリリスさんが私の転移に巻き込まれていなければ、タミアも付いて来ていなかった筈よ。間接的には私の命の恩人だと思うわ。それに・・・」
王女は少し間を置いた。
「兄上は褒賞を与えないと気が済まないのよ。」
う~ん。
そう言う人柄だと言う事なのね。シスコンだと言うし・・・。
リリスが自分自身を納得させた様子を見て、王女はさらに話を付け加えた。
「それでね。兄上がもうすぐここに来るのよ。」
ええっ!
こんなところにどうやって来るのよ!
「そうしないと気が済まないんだって言うのよね。」
「そうですか。・・・お待ちしていれば良いのですね。」
リリスは少し呆れて椅子に深く座り込み、改めて来客用の紅茶を飲んだ。馥郁とした香りが鼻をくすぐる。上質な紅茶だがそれでも王族が飲用するものとしてはどうなのだろうか?
地方貴族の子女としてはこれで十分なのだが、王族の日常生活をあまり詳しく知らないので、王女の満足を得ているか否かは分からない。
そう思いながらリリスは紅茶を飲むマリアナ王女の表情を見た。肌が艶やかで本当にビスクドールのように美しい。自分もわりと可愛い顔をしていると思っていたリリスだが、王女の顔を見ていると雲泥の差だ。
何を食べたらこんなに艶やかな肌になるのかしら?
コラーゲンの塊でも食べているの?
この世界にツバメの巣やフカヒレは無さそうだし・・・。
リリスがあれこれと妄想していると、ガラス張りの扉の向こうに人影が見えた。
「ほら! 兄上が来たわよ。」
扉を開けて入ってきたのは細身で長身の男性だった。イケメンと言えばイケメンである。だが少し癖のありそうな顔つきだ。
それにチャラい雰囲気もする。
ジーク先生と同じ匂いがするわね。
怪訝そうに見つめるリリスの表情を読み取ったのか、フィリップ王子はわざとらしい笑顔でリリスに話し掛けた。
「初めまして、リリス君。僕の妹の命の恩人だと言うから武闘派の女性かと思ったら、こんなに可愛い女性だとは思わなかったよ。」
歯が浮くようなお世辞ってこれの事ね。
リリスはそう思いつつも、隣国の王族であることを忘れていなかった。両手でスカートの両端をつまみ腰をかがめて頭を下げた。
「リリス・ベル・クレメンスと申します。フィリップ殿下には初めてお目にかかります。よろしく・・・」
そこまで言った時にフィリップ王子はリリスの言葉を制した。
「そんな堅苦しい挨拶は要らないよ。もっとフレンドリーに話そうじゃないか。」
フィリップ王子が椅子に腰を掛けると、傍にいたマリアナ王女がカップを用意して紅茶を注いだ。足を組み深々と椅子に座りながら、紅茶の香りを楽しみ、一口飲み干す。その一連の所作は流石に王族だけあって洗練されている。
フィリップ王子は紅茶のカップを置き、リリスの顔をまじまじと見つめた。
それに反応してリリスは思わず目を逸らせてしまった。
「リリスと呼ばせて貰うよ。リリス、改めて礼を言うよ。妹を救ってくれてありがとう。」
「いえいえ。私は何もしていませんよ。」
リリスの言葉にフィリップ王子はうんうんとうなづいた。
「話はマリアナから聞いた。とても信じ難い話だが、君が妹と一緒に巻き込まれて転移してくれたお陰で、妹が助かった事だけは確かだ。」
「それに妹にもし万一の事があれば、ドルキア王国とミラ王国の同盟関係が破綻してしまう事は明白だ。君のお陰で助かったのは僕達だけじゃないんだよ。その事に関しては君も貴族の子女として自覚と誇りを持ちたまえ。」
そうよね。
隣国の王女が留学先から誘拐されて殺害されたりしたら、ミラ王国もただでは済まないわよね。
リリスの納得した様子を見てフィリップ王子は懐から書類を出してリリスに手渡した。
「リリス。今回の件での君の功績を讃えて褒賞を授ける。その書類に名目が書かれているので目を通してくれ。自国の臣下ではないので金品で送る事にしたのだが、送り先は君の実家で良いね。」
金品を送られて両親も驚くだろうなあ。
日本人的な発想からすると、ここで謙遜してそんなものは要らないと言いたくなるところだが、ここで遠慮すると王族に対して失礼になる。下賜される物に対しては恭しく頂戴するのが礼儀だ。
「はい。ありがたく拝受させていただきます。」
そう言ってリリスは深々と頭を下げた。
「それから、リリスに対しての個人的な褒賞もあるんだ。これは僕からのお礼だよ。」
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「リリス。君はあと5年もすれば美しい女性になるだろうね。その時には僕のハーレムに誘ってあげよう。」
ええっ!
私って誘惑されているの?
驚いて顔を上げたリリスにフィリップ王子がニヤッと笑った。
「兄上! 戯言は止めて下さい! 品格を疑われますよ!」
マリアナ王女に窘められて、フィリップ王子はポリポリと頭を掻き始めた。
「ああそうだね。冗談が過ぎたようだ。」
悪い冗談だわ!
憤慨するリリスに謝りながら、フィリップ王子はもう一つ小さな箱を取り出した。
「これは指輪じゃないからね。」
そう言いながら、フィリップ王子はニヤッと笑い、リリスに小箱を手渡した。
それってどういう意味なのよ?
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