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第2章
チャンスの予感
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電車とバスを乗り継ぐこと、約1時間。着いた...
先生のいる大学に。
「イケメンの先輩いるかなぁーっ」
「高学歴だしねー」
りえたちはバスを降りると、きゃっきゃしながらそんなことを言い合っていた。
私は、先生のことで頭がいっぱいだった。
目の前に、立派な建物が風格を帯びて立っている。よく見ると、その建物は古びていた。
先生は、毎日ここに来て、勉強をしている...
ふと、先生の細長くて白い指が思い浮かんだ。
「まなみは?」
「へっ?」
ふいに話を振られて、つい素っ頓狂な返事をしてしまった。
「もー!聞いてた?外からまわるか、中行くかって話!」
りえが目の前でグルグルと指先をまわすと、建物のほうを指さすのをを交互に行いながら早口でそう言った。
「えっーと、中からまわろっかな?!」
適当な返事をするとまた突っかかれそうだと思ったので、そう言った。
「よし、中行こう!」
あたりを見回すと、大学の生徒らしき人たちが私たちをチラチラと見ていたのがわかったので、とりあえずその場を去りたかった。
「てか、トイレいきたーい。」
かおりがぴょんぴょん跳ねながら、そう言った。私たちは、とりあえず校内に入ることにした。
りえとかおりが女子トイレに行っている間、私は学生食堂のテーブルに座っていることにした。
トイレが混んでいるのだろうか、10分ほど経過していた。
遅いな...と思いながら携帯をいじっていた。すると...
「わっ」
後ろからそう聞こえて、肩に手を置かれた。
聞き覚えのある声...
私は、すぐにわかって、心臓がドクンと跳ね上がった。
「やっぱりまなみちゃんだ!なんで?!」
私は驚いたような、でもどこか胸の奥で期待していた展開に、嬉しさで動揺を隠しきれなかった。
「こ、こんにちは...」
そう言うので、せいいっぱいだった。
「こんにちはー。
なんでこんなとこいんの?びっくりしたよーまなみちゃんみたいな子が座ってるの、見えたから。」
先生は、そう言って私の隣の椅子に座った。ドキドキが落ち着かなくて、私は今にも逃げ出したかった。
「あの、友達にオープンキャンパス?誘われて...行ってみようかな、って...」
「あー、そっかそっか。オープンキャンパス。まなみちゃん、テストは?」
「今日でおわり...午後からおやすみだったんです。」
「いや、そうじゃなくて、できたかなって。」
あっ....
私は、大学に来たことが不自然だと思われないように、と話すことに必死だったことに気づき、恥ずかしくなってしまった。
「テストは...多分、できました。」
「多分?多分?」
意地悪な聞き方...
先生は、私が困っているのを見透かして、楽しんでいる様子だった。
いつものことだけど。
りえたち、遅いな。
「あ、良かったら、学校案内するよー」
そう言って、先生は立ち上がった。
えっ...
人を待っている、と言いたかったけど、なんだかこの状況が嬉しくて、惜しいような感覚になった。
そして、次の瞬間
「あ、はい。」
そう言って私も立ち上がっていた。
先生は、こっちこっち、と私を手招きして、私の前を歩いていく。
りえたち、ごめんね....
私も、先生の後ろを着いて歩いた。
先生のいる大学に。
「イケメンの先輩いるかなぁーっ」
「高学歴だしねー」
りえたちはバスを降りると、きゃっきゃしながらそんなことを言い合っていた。
私は、先生のことで頭がいっぱいだった。
目の前に、立派な建物が風格を帯びて立っている。よく見ると、その建物は古びていた。
先生は、毎日ここに来て、勉強をしている...
ふと、先生の細長くて白い指が思い浮かんだ。
「まなみは?」
「へっ?」
ふいに話を振られて、つい素っ頓狂な返事をしてしまった。
「もー!聞いてた?外からまわるか、中行くかって話!」
りえが目の前でグルグルと指先をまわすと、建物のほうを指さすのをを交互に行いながら早口でそう言った。
「えっーと、中からまわろっかな?!」
適当な返事をするとまた突っかかれそうだと思ったので、そう言った。
「よし、中行こう!」
あたりを見回すと、大学の生徒らしき人たちが私たちをチラチラと見ていたのがわかったので、とりあえずその場を去りたかった。
「てか、トイレいきたーい。」
かおりがぴょんぴょん跳ねながら、そう言った。私たちは、とりあえず校内に入ることにした。
りえとかおりが女子トイレに行っている間、私は学生食堂のテーブルに座っていることにした。
トイレが混んでいるのだろうか、10分ほど経過していた。
遅いな...と思いながら携帯をいじっていた。すると...
「わっ」
後ろからそう聞こえて、肩に手を置かれた。
聞き覚えのある声...
私は、すぐにわかって、心臓がドクンと跳ね上がった。
「やっぱりまなみちゃんだ!なんで?!」
私は驚いたような、でもどこか胸の奥で期待していた展開に、嬉しさで動揺を隠しきれなかった。
「こ、こんにちは...」
そう言うので、せいいっぱいだった。
「こんにちはー。
なんでこんなとこいんの?びっくりしたよーまなみちゃんみたいな子が座ってるの、見えたから。」
先生は、そう言って私の隣の椅子に座った。ドキドキが落ち着かなくて、私は今にも逃げ出したかった。
「あの、友達にオープンキャンパス?誘われて...行ってみようかな、って...」
「あー、そっかそっか。オープンキャンパス。まなみちゃん、テストは?」
「今日でおわり...午後からおやすみだったんです。」
「いや、そうじゃなくて、できたかなって。」
あっ....
私は、大学に来たことが不自然だと思われないように、と話すことに必死だったことに気づき、恥ずかしくなってしまった。
「テストは...多分、できました。」
「多分?多分?」
意地悪な聞き方...
先生は、私が困っているのを見透かして、楽しんでいる様子だった。
いつものことだけど。
りえたち、遅いな。
「あ、良かったら、学校案内するよー」
そう言って、先生は立ち上がった。
えっ...
人を待っている、と言いたかったけど、なんだかこの状況が嬉しくて、惜しいような感覚になった。
そして、次の瞬間
「あ、はい。」
そう言って私も立ち上がっていた。
先生は、こっちこっち、と私を手招きして、私の前を歩いていく。
りえたち、ごめんね....
私も、先生の後ろを着いて歩いた。
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