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ルシア12歳、今私にできる事

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「それにしても、ジョルジオもいつの間にか大きくなったな。」

話題を変えようとしたのか、ダリオお兄様がしみじみと言う。

「そうですね。もっと子どもの頃は何もわからず遊んでお母様によく怒られてましたが、ここ数年は離されていたので、今回のことが無ければゆっくり話す機会なんてなかったかもしれませんね。」

「そうだね。お前達は特に歳が近いから多少の思い出があるのかもしれないが、私は時々顔を見かけるだけだったからなぁ……」

ダリオお兄様はそう言って遠くを見つめる。

「もうしっかりと、会話ができる年齢になっていたんだね。いずれは違う家の人間として社交の場に出る可能性もある。交流しておいて損はなさそうだね。」

「違う家、ですか。」

「リッチオーニ公爵は結婚もしていなければ、子どもも居ないことに。あとは、わかるだろう?」

ゲームの通り、陞爵に伴っての養子縁組の話が進められている、ということか。
一応、初めて知った風の驚きを顔に出し、頷いておく。

「そのような話が?」

「ああ。お父様と陛下の間ではね。本人達をどうやって頷かせるかの問題みたいだね。それに、あの様子だとジョルジオは気付いていないだろうし……」

確かに、気付いていてあの言い様にはならないだろう。

「ジョルジオが今回のことで養子入りを嫌がるような事態にならなければ良いのですが……」

「そうだね……その件のフォローは頼めるかい?」

フォロー?フォローって何をすれば良いんだろう。
男性ならあのぐらいよくある事だよ、とか?
まあいい、あとでゆっくり考えよう。

「……わかりました。がんばります」

「うん。僕も何か考えておくよ。ちなみに、内容的に父上にも相談した方が良さそうなことが今日はいくつかあったけど、お父様に報告しても良いかい?」

「そうですよね、お願いします。筋書きとしては2人で姫殿下に招かれたのでアレクス殿下にもご挨拶に上がった、ジョルジオとは途中で合流したけど、お母様には私たちが居たことを伏せているがジョルジオ次第でなんとも言えない、という感じでしょうか?」

「そうだね、そんな感じで僕が預かるよ。」

「わかりました、よろしくお願いいたします。」

これで何とか筋は通るはず。
色々と問題はあるが、実りも多かった……と思いたい。
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