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ルシア12歳、今私にできる事

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実はアレクス殿下と婚約と聞いてから時間を見つけて練習してきたことがある。
それが自然な笑顔の練習だ。
今までの私の笑顔は、お父様やダリオお兄様と同じ「にやり」というにふさわしい悪役の笑顔だった。
やっと最近、それが「うふふ」ぐらいの感じになってきた。
企んでいるように見られる、ということには変わらないが、このぐらいなら女同士の社交ではあえて使う人もいる。
「にっこり」には程遠いが、前よりはましだろう。

そんなこんなで今は練習した「うふふ」な笑顔を使用し、アドリアナ姫殿下へご挨拶にうかがっていた。
アレクス殿下から脱走エピソードを聞いていたのでどんな方かと思っていたのだが、ふわふわとしたなめらかな金髪と大きな赤茶の瞳が印象的な、かわいらしい方だ。
ぷっくり艶やかな唇、鈴を転がすような声。
そして発達途中であることが見て取れる少女らしい、でも均整の取れたスタイル。
私と1歳しか違わないのに、可愛らしく、まさにお姫様を体現されている方だった。
ただ、行動は予想外だった。

「いらっしゃい!待ってたわ!」

そう言ってドアを開けたとたん飛びつかれた。
鍛えているとはいえ、それほど自分と変わらない体系の少女に勢いよく抱き着かれ、少し後ろによろめいたところをダリオお兄様が支えてくれる。

「姫様、落ち着いてください。」

慣れているのか、お付きのメイドに窘められている。

席について全員が自己紹介といくつかの小話をしただけで、今回は退席となる。

「またきっと来てね!私、同じぐらいの年頃の、話が通じる友達を欲しかったの!待ってるから!ダリオ様もまたね!」

何をもって私を「話が通じる」と判別したのかはよくわからないが、歓迎されるのはありがたいことだ。

その後、私は単独で王宮図書室に赴きジョルジオと合流。
ダリオお兄様は出仕先でアリバイ作り程度に作業をした後、直接アレクス殿下のお部屋に訪れる予定だった。

「ジョルジオ、迎えに来たわ。」

図書室の目立つ場所で魔法書の勉強をしていたジョルジオを見つけ、場所柄小さく声をかける。
集中した様子で勉強していたようだが、顔を上げ私を見つけるとぱっと花が咲いたような満面の笑みを浮かべる。

「お姉様!お待ちしておりました!」

「しーっ!声が大きいわ。」

「ごめんなさい…」

この会話、何日か前にもしなかっただろうか…
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