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ルシア12歳、今私にできる事
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「結構城内ウロウロしていても会ったことが無いので大丈夫ですよ!」
ジョルジオはお母様との鉢合わせを全く心配していないようで、明るい表情で言う。
「えっ?そんなに頻繁に王宮に行っているの?」
「頻繁に、とは言えませんが、年に何度かは。でもアレクス殿下にはお会いしたことが無いので楽しみです!」
キラキラと紫色の瞳を輝かせるジョルジオ。
ふわふわの黄金色の髪に、たれ目でかわいらしい顔にアクセントの泣きぼくろ。
…いかにも乙女ゲームに出てきそうだなぁと思ってつい見つめてしまう。
そして、前にとある茶会でご挨拶したリッチオーニ公爵にやはりそっくりだ。
「お姉様…?僕の顔、何かついてますか?」
「いえ、ちょっと考え事していただけよ。それじゃあ、細かい時間を教えてくれる?」
「わかりました!」
そういってサラサラとメモに書き記していく。
それからしばらく打ち合わせをし、たっぷりと楽しい雑談もして、部屋を出たのはお母様が戻る予定時刻が差し迫った頃。
あまりにも楽しすぎて、あやうく時間を過ぎる所だった。
そのままの足でダリオお兄様の居室に向かう。
今日はいらっしゃるだろうか。
とんとん、とノックして声をかける。
「お兄様、ルシアです。」
「入りなさい。」
良かった、いらっしゃるようだ。
ドアを開け中に入ると、お兄様はもちろん魔法書学の家庭教師もいた。
私も数日に1度来ていただき、まとめて質問をしている先生だ。
後ろ手ドアをしめ、軽く挨拶する。
「勉強中に申し訳ありません。」
「いや、今一区切りしたところだ。先日の件か?」
「はい。」
「スパトラ先生、今日はここまでにしていただいても?」
「ええ。それでは失礼いたします。ルシア様もごきげんよう。」
そう言って壮年の男性教師は退席する。
足音が完全に聞こえなくなったのを見計らい、お兄様が話し出す。
「それで、ジョルジオはなんと言っていたんだい?」
「5日後にお母様と一緒に王宮に行く予定があるとのことです。お母様の『仕事』とのことで、自由時間があるらしく。」
「仕事?」
やはりお兄様もそこが引っかかるらしい。
「はい。ジョルジオは詳しい内容を知らないようでして。お兄様には、同日お母様たちよりちょっと遅い時間に私を王宮にお連れいただいても良いでしょうか?アレクス殿下はお兄様にも興味を示されていたので、お父様には私と共にアレクス殿下にお目にかかる旨お伝えいただければと。」
「なるほど、お父様、お母様両人に言わず、偶然会ったことにすると?」
「はい。『偶然』であれば責められることは無いでしょう?城まではお父様同伴でも構いませんし。」
「そうだね。じゃあそのように手配しようか。」
お兄様はいつもの悪役笑いを浮かべ、ゆっくりと頷いた。
ジョルジオはお母様との鉢合わせを全く心配していないようで、明るい表情で言う。
「えっ?そんなに頻繁に王宮に行っているの?」
「頻繁に、とは言えませんが、年に何度かは。でもアレクス殿下にはお会いしたことが無いので楽しみです!」
キラキラと紫色の瞳を輝かせるジョルジオ。
ふわふわの黄金色の髪に、たれ目でかわいらしい顔にアクセントの泣きぼくろ。
…いかにも乙女ゲームに出てきそうだなぁと思ってつい見つめてしまう。
そして、前にとある茶会でご挨拶したリッチオーニ公爵にやはりそっくりだ。
「お姉様…?僕の顔、何かついてますか?」
「いえ、ちょっと考え事していただけよ。それじゃあ、細かい時間を教えてくれる?」
「わかりました!」
そういってサラサラとメモに書き記していく。
それからしばらく打ち合わせをし、たっぷりと楽しい雑談もして、部屋を出たのはお母様が戻る予定時刻が差し迫った頃。
あまりにも楽しすぎて、あやうく時間を過ぎる所だった。
そのままの足でダリオお兄様の居室に向かう。
今日はいらっしゃるだろうか。
とんとん、とノックして声をかける。
「お兄様、ルシアです。」
「入りなさい。」
良かった、いらっしゃるようだ。
ドアを開け中に入ると、お兄様はもちろん魔法書学の家庭教師もいた。
私も数日に1度来ていただき、まとめて質問をしている先生だ。
後ろ手ドアをしめ、軽く挨拶する。
「勉強中に申し訳ありません。」
「いや、今一区切りしたところだ。先日の件か?」
「はい。」
「スパトラ先生、今日はここまでにしていただいても?」
「ええ。それでは失礼いたします。ルシア様もごきげんよう。」
そう言って壮年の男性教師は退席する。
足音が完全に聞こえなくなったのを見計らい、お兄様が話し出す。
「それで、ジョルジオはなんと言っていたんだい?」
「5日後にお母様と一緒に王宮に行く予定があるとのことです。お母様の『仕事』とのことで、自由時間があるらしく。」
「仕事?」
やはりお兄様もそこが引っかかるらしい。
「はい。ジョルジオは詳しい内容を知らないようでして。お兄様には、同日お母様たちよりちょっと遅い時間に私を王宮にお連れいただいても良いでしょうか?アレクス殿下はお兄様にも興味を示されていたので、お父様には私と共にアレクス殿下にお目にかかる旨お伝えいただければと。」
「なるほど、お父様、お母様両人に言わず、偶然会ったことにすると?」
「はい。『偶然』であれば責められることは無いでしょう?城まではお父様同伴でも構いませんし。」
「そうだね。じゃあそのように手配しようか。」
お兄様はいつもの悪役笑いを浮かべ、ゆっくりと頷いた。
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