転生したら脳筋姫に?!転生先ゲームの難易度が高すぎる件について~不可思議な幻想曲~

片上尚

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部屋を出ると、学園編の背景で使われていた廊下につながっていた。
所々に異なるデザインの扉がある以外はおおよそ似たような廊下ばかりなので、道を覚えるのに非常に時間がかかりそうだ。
卒業生の父母はサクサクと進んでいく。

「懐かしいな!セシル、この部屋にはトレーニンググッズも豊富で…」

「あなた、時間が無いので後にしてください。」

「ここには武器が…」

「あなた、時間が無いので…」

「あの部屋は…」

「あなた。」

母の目から光線が出そうになっている。
父はちょっとしょんぼりして黙って後ろからとぼとぼついて来るようになった。

「さ、つきましたよ。」

目の前が急に開けたかと思うと、そこは優雅な貴族たちがひしめき合う、講堂という名のパーティー会場だった。
入り口で母が受付を済ませる。

「家格が高い順に両陛下のお席に近い位置に落ち着くのが通例だから、前の方に行けば何とかなるでしょう。保護者は陛下のご挨拶が終わるまで2階に上がっているのが通例だから、あとは一人で頑張ってね。」

少し中へ進んで見上げると、ものすごく高い天井から豪奢なシャンデリラがぶら下がっているのはもちろんだが、スタジアムのように会場をぐるりと取り囲んだ2階席が用意されている。
2階入り口側は少し張り出して、入って来たばかりの貴族が貼り付けたような笑顔で挨拶をしているのが見えた。
生徒たちは…これ、1000人以上いるんじゃないだろうか?
いや、大陸中から高校1年生を集めた、と考えると少ない方なのか。
まぁ、貴族だけだしこんなもんか。
髪やドレスの色でおおよそどこの国の貴族かわかるからすげー便利。
赤い軍団には次々とあいさつされるが皆時間がないのに気付いているからか簡易的な礼だけしてどんどん私を前へ送ってくれる。
めっちゃ助かる。

ずんずん前に進んでいき、もうちょっとで目標としていた場所に着こうとしていた頃、見覚えのある赤髪ボブの横顔が見えた。

「アーネ!」

「あら、セシル様、そんな大声でおよびにならなくても聞こえていますわよ!ご無沙汰しております。」

絶壁の胸をえへんとそらすのがかわいらしい。
このアバには親友の性癖が詰まってやがるぜ…

「何をぼんやりしていらっしゃいますの?もうそろそろ両陛下がご臨席賜りますわよ。」

…口調から察するに、やはり母が言っていた通りただのこの世界のアーネのようだ。
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