18 / 26
17
しおりを挟む
部屋を出ると、学園編の背景で使われていた廊下につながっていた。
所々に異なるデザインの扉がある以外はおおよそ似たような廊下ばかりなので、道を覚えるのに非常に時間がかかりそうだ。
卒業生の父母はサクサクと進んでいく。
「懐かしいな!セシル、この部屋にはトレーニンググッズも豊富で…」
「あなた、時間が無いので後にしてください。」
「ここには武器が…」
「あなた、時間が無いので…」
「あの部屋は…」
「あなた。」
母の目から光線が出そうになっている。
父はちょっとしょんぼりして黙って後ろからとぼとぼついて来るようになった。
「さ、つきましたよ。」
目の前が急に開けたかと思うと、そこは優雅な貴族たちがひしめき合う、講堂という名のパーティー会場だった。
入り口で母が受付を済ませる。
「家格が高い順に両陛下のお席に近い位置に落ち着くのが通例だから、前の方に行けば何とかなるでしょう。保護者は陛下のご挨拶が終わるまで2階に上がっているのが通例だから、あとは一人で頑張ってね。」
少し中へ進んで見上げると、ものすごく高い天井から豪奢なシャンデリラがぶら下がっているのはもちろんだが、スタジアムのように会場をぐるりと取り囲んだ2階席が用意されている。
2階入り口側は少し張り出して、入って来たばかりの貴族が貼り付けたような笑顔で挨拶をしているのが見えた。
生徒たちは…これ、1000人以上いるんじゃないだろうか?
いや、大陸中から高校1年生を集めた、と考えると少ない方なのか。
まぁ、貴族だけだしこんなもんか。
髪やドレスの色でおおよそどこの国の貴族かわかるからすげー便利。
赤い軍団には次々とあいさつされるが皆時間がないのに気付いているからか簡易的な礼だけしてどんどん私を前へ送ってくれる。
めっちゃ助かる。
ずんずん前に進んでいき、もうちょっとで目標としていた場所に着こうとしていた頃、見覚えのある赤髪ボブの横顔が見えた。
「アーネ!」
「あら、セシル様、そんな大声でおよびにならなくても聞こえていますわよ!ご無沙汰しております。」
絶壁の胸をえへんとそらすのがかわいらしい。
このアバには親友の性癖が詰まってやがるぜ…
「何をぼんやりしていらっしゃいますの?もうそろそろ両陛下がご臨席賜りますわよ。」
…口調から察するに、やはり母が言っていた通りただのこの世界のアーネのようだ。
所々に異なるデザインの扉がある以外はおおよそ似たような廊下ばかりなので、道を覚えるのに非常に時間がかかりそうだ。
卒業生の父母はサクサクと進んでいく。
「懐かしいな!セシル、この部屋にはトレーニンググッズも豊富で…」
「あなた、時間が無いので後にしてください。」
「ここには武器が…」
「あなた、時間が無いので…」
「あの部屋は…」
「あなた。」
母の目から光線が出そうになっている。
父はちょっとしょんぼりして黙って後ろからとぼとぼついて来るようになった。
「さ、つきましたよ。」
目の前が急に開けたかと思うと、そこは優雅な貴族たちがひしめき合う、講堂という名のパーティー会場だった。
入り口で母が受付を済ませる。
「家格が高い順に両陛下のお席に近い位置に落ち着くのが通例だから、前の方に行けば何とかなるでしょう。保護者は陛下のご挨拶が終わるまで2階に上がっているのが通例だから、あとは一人で頑張ってね。」
少し中へ進んで見上げると、ものすごく高い天井から豪奢なシャンデリラがぶら下がっているのはもちろんだが、スタジアムのように会場をぐるりと取り囲んだ2階席が用意されている。
2階入り口側は少し張り出して、入って来たばかりの貴族が貼り付けたような笑顔で挨拶をしているのが見えた。
生徒たちは…これ、1000人以上いるんじゃないだろうか?
いや、大陸中から高校1年生を集めた、と考えると少ない方なのか。
まぁ、貴族だけだしこんなもんか。
髪やドレスの色でおおよそどこの国の貴族かわかるからすげー便利。
赤い軍団には次々とあいさつされるが皆時間がないのに気付いているからか簡易的な礼だけしてどんどん私を前へ送ってくれる。
めっちゃ助かる。
ずんずん前に進んでいき、もうちょっとで目標としていた場所に着こうとしていた頃、見覚えのある赤髪ボブの横顔が見えた。
「アーネ!」
「あら、セシル様、そんな大声でおよびにならなくても聞こえていますわよ!ご無沙汰しております。」
絶壁の胸をえへんとそらすのがかわいらしい。
このアバには親友の性癖が詰まってやがるぜ…
「何をぼんやりしていらっしゃいますの?もうそろそろ両陛下がご臨席賜りますわよ。」
…口調から察するに、やはり母が言っていた通りただのこの世界のアーネのようだ。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
トレジャーキッズ
著:剣 恵真/絵・編集:猫宮 りぃ
ファンタジー
だらだらと自堕落な生活から抜け出すきっかけをどこかで望んでいた。
ただ、それだけだったのに……
自分の存在は何のため?
何のために生きているのか?
世界はどうしてこんなにも理不尽にあふれているのか?
苦悩する子どもと親の物語です。
非日常を体験した、命のやり取りをした、乗り越える困難の中で築かれてゆくのは友情と絆。
まだ見えない『何か』が大切なものだと気づけた。
※更新は週一・日曜日公開を目標
何かございましたら、Twitterにて問い合わせください。
【1】のみ自費出版販売をしております。
追加で修正しているため、全く同じではありません。
できるだけ剣恵真さんの原文と世界観を崩さないように直しておりますが、もう少しうまいやり方があるようでしたら教えていただけるとありがたいです。(担当:猫宮りぃ)
推しと行く魔法士学園入学旅行~日本で手に入れた辞典は、異世界の最強アイテムでした~
ことのはおり
ファンタジー
渡会 霧(わたらい きり)。36歳。オタク。親ガチャハズレの悲惨な生い立ち。
幸薄き彼女が手にした、一冊の辞典。
それは異世界への、特別招待状。
それは推しと一緒にいられる、ミラクルな魔法アイテム。
それは世界を救済する力を秘めた、最強の武器。
本棚を抜けた先は、物語の中の世界――そこからすべてが、始まる。

【コピペ】を授かった俺は異世界で最強。必要な物はコピペで好きなだけ増やし、敵の攻撃はカットで防ぐ。え?倒した相手のスキルももらえるんですか?
黄舞
ファンタジー
パソコンが出来ない上司のせいでコピーアンドペースト(コピペ)を教える毎日だった俺は、トラックに跳ねられて死んでしまった。
「いつになったらコピペ使えるようになるんだ―!!」
が俺の最後の言葉だった。
「あなたの願い叶えました。それでは次の人生を楽しんでください」
そういう女神が俺に与えたスキルは【コピペ(カット機能付き)】
思わぬ事態に最初は戸惑っていた俺だが、そのスキルの有用性に気付き、いつのまにやら異世界で最強の存在になっていた。


せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー
ジミー凌我
ファンタジー
日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。
仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。
そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。
そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。
忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。
生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。
ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。
この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。
冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。
なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。

無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる