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「これは…」
目の前にあるのは朱塗りに金で美しい幾何学的文様が描かれた、高さ5メートルはあろうかという豪奢な両開きの扉。
思わずぽかんと見上げてしまう。
「渡りの扉。はめ込む鍵で対応した地の対応した扉に飛ぶことができるわ。」
母が教えてくれる。
父は置物のようにニコニコしている。
…ちょっと待て、これから入学式というのになんだ、その手に持ったダンベルは。
「なんだセシル。お前もほしいのか?入学式はきっと暇だからな!あっ!なにをする!」
気付いた母が速攻で取り上げて執事に渡して片づけさせていた。
不意打ち&母には強く出れない父に思わずスペキャ顔になってしまう。
「あなた、鍵を。」
「…わかった。」
父はじゃらりと金属の輪でつながれた鍵束を取り出し、中央の鍵穴に差し込む。
ガチャン!と大きな音が鳴り、いかにもファンタジーにありがちな鍵穴から外延部に向かって文様が光りだす。
父が扉を開くと、左右を揺らめく炎に照らされた不思議な色合いの道が現れた。
道幅は数メートルほどあるのでよほどのことが無い限り落ちることはなさそうだが、道以外は真っ暗闇だ。
「さあ、行くぞ!」
そう言って父が先頭を切って扉をくぐるので、後ろをついていく。
母が中に入ると、最後に私の侍女のダニエラが入り扉を閉めた。
本当に道以外は塗りつぶしたような暗闇で、何とも言えない不安感が煽られる。
「これ、道から外れたらどうなるの?」
「余計なことを考えるのはやめなさい。引きずり込まれるわよ?もう少しで着くから大人しくしていて。」
…本当にこの暗闇には何が居るんだろうか。
別の機会に、少なくとも扉から出てから聞くことにしよう。
とても長い距離を歩いたような気もするが、おそらくは数分程度だろう。
未知の終わりには先ほど入ったのと似た文様の扉があり、父が再び鍵を開ける。
扉から出ると、そこには今出てきた扉を含めて5色の大きな扉が並んでいた。
各公国を示す赤青黄紫緑なので、各国につながっているのだろう。
「さ、行きましょう。」
父に代わって母が先頭に立ちずんずん進んでいく。
「お袋、ここは?」
「もうヴァイナモイネン貴族学院内よ。入学式は講堂のはずだから、まっすぐ向かいましょう。」
本当に直通なのか。
凄いな魔法。
目の前にあるのは朱塗りに金で美しい幾何学的文様が描かれた、高さ5メートルはあろうかという豪奢な両開きの扉。
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母が教えてくれる。
父は置物のようにニコニコしている。
…ちょっと待て、これから入学式というのになんだ、その手に持ったダンベルは。
「なんだセシル。お前もほしいのか?入学式はきっと暇だからな!あっ!なにをする!」
気付いた母が速攻で取り上げて執事に渡して片づけさせていた。
不意打ち&母には強く出れない父に思わずスペキャ顔になってしまう。
「あなた、鍵を。」
「…わかった。」
父はじゃらりと金属の輪でつながれた鍵束を取り出し、中央の鍵穴に差し込む。
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道幅は数メートルほどあるのでよほどのことが無い限り落ちることはなさそうだが、道以外は真っ暗闇だ。
「さあ、行くぞ!」
そう言って父が先頭を切って扉をくぐるので、後ろをついていく。
母が中に入ると、最後に私の侍女のダニエラが入り扉を閉めた。
本当に道以外は塗りつぶしたような暗闇で、何とも言えない不安感が煽られる。
「これ、道から外れたらどうなるの?」
「余計なことを考えるのはやめなさい。引きずり込まれるわよ?もう少しで着くから大人しくしていて。」
…本当にこの暗闇には何が居るんだろうか。
別の機会に、少なくとも扉から出てから聞くことにしよう。
とても長い距離を歩いたような気もするが、おそらくは数分程度だろう。
未知の終わりには先ほど入ったのと似た文様の扉があり、父が再び鍵を開ける。
扉から出ると、そこには今出てきた扉を含めて5色の大きな扉が並んでいた。
各公国を示す赤青黄紫緑なので、各国につながっているのだろう。
「さ、行きましょう。」
父に代わって母が先頭に立ちずんずん進んでいく。
「お袋、ここは?」
「もうヴァイナモイネン貴族学院内よ。入学式は講堂のはずだから、まっすぐ向かいましょう。」
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凄いな魔法。
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