転生したら脳筋姫に?!転生先ゲームの難易度が高すぎる件について~不可思議な幻想曲~

片上尚

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気がついたらふっかふかベッドだった。
多分ゴージャスな天蓋付き。
全身がだるい。とりあえずまだ寝てたい。
薄目を開けるともう日もとっぷり沈んで夜になっていたようだ。
ランプの明かりが見える。
ホントだるい。指一本動かすのもつらい。頭も痛い。

「セシル」

ふと見ると、父がいた。

「お前、どうして…」

いつも勢いだけで生きているような父が、悲しげに目を伏せる。

「親父?」

掠れる喉から声を絞り出す。

「ウルリカから聞いた。エイドーロンだと。」

ああ、聞くまでやっぱり気付いてなかったんだ。

「あの詠唱は、エイドーロンの知識か。」

かすかにうなずく。あれはセシリアの魔法ではない。
目を覚ましたばかりで痛む頭に、魔法についての記憶が流れ込む。
セシリアは、とりあえずぶっ放して爆発炎上させるしかできなかった。
爆発規模は多少コントロールできても、結局は爆発だ。
…記憶の欠片は、魔力切れの経験?
モノだけではなく経験からも得られる、ということ…?

「あれは、成人し魔力も十分落ち着いた人間が使う魔法だ。それこそ戦略級の。」

あー。確かに大きい魔法ってどのぐらいか試したいと思って選んだしなぁ…

「我が一族しか使うことができない、ここぞという時の大魔法として扱われている。気軽に使わないでくれ。私がいない場所で使った場合のことは想像したくない…」

あの父がしょんぼりするぐらいヤバい、となると相当だろう。

「あのあと、どうなったの?」

「魔力切れで倒れるセシルから聖なる炎が暴走して飛び出した。あれは普通の火と違ってなかなか消えなくてな。何人か火傷している。最終的に私の方で処理しているが、訓練場は一部損壊。かなり頑丈に作ったはずなんだが…」

「火傷は治してあげたら…」

「それが、そこまで血のつながりが濃くはないのだよ。平民も混ざっている。」

思い出した今だからわかる。
魔力の強い人間は、意識をうしなわない限り魔力が切れるまで自分の身体がかなりの割合で傷ついても修復できる。
ただ、他人を癒せるかは別問題で、血縁関係が近しければ近しいほど効きが良い。
逆に、血縁が無い場合や他国の人、平民などはかなり適性や技術が問われることになる。
私はもちろん、父もそれほど治癒の魔法を他人にかけるのは得意ではない。

「今は医者に見せているところだ。とりあえず不自由する期間は我が家で保証する。」

「…ごめんなさい。」

「済んだことだ。ただ、後日該当者に対し謝罪の機会を設けるから自分の口で謝ると良い。」

「…うん。」
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