転生したら脳筋姫に?!転生先ゲームの難易度が高すぎる件について~不可思議な幻想曲~

片上尚

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次の日。
やっぱり目が覚めてもゴージャスベッドだった。
一晩寝たら戻れる、なんていうご都合主義は無かったか…
しっかりとドレス拒否をすると体にぴったりと馴染む訓練着が用意されていた。
朝食をとって、早めに訓練場へ。
ちなみに、お貴族様はやっぱり凄い。
馬でちょっと行ったところにちゃんと訓練用の施設があるのだ。
訓練に使う道具は訓練場にある、ということは思い出せていたので、ほぼ手ぶらで向かう。
え?どうして乗馬できるのかって?私だって不安でしたとも。
…愛馬に触ったら乗り方を思い出しました。
記憶の欠片って便利です。

そうして訓練場に着いたので、そのまま更衣室で訓練用の装備を身に着けると…
わぁ、やっぱり記憶の欠片って便利。
親父との筋トレや剣術の訓練内容が走馬灯のように思い出せちゃったよ…
これなら問題なさそうかなぁ。

ただ、なぜか魔法のことだけは全く思い出せなかったので、念のため部屋から持ち出しておいた入門の魔法書をペラペラめくる。
身体を巡る魔力を練って、イメージしたところに放出する、というのが基本の型らしい。
詠唱は練度によって変わるらしく、「血によって命ず、」から始まる魔法ごとの詠唱は存在するが、しっかりとイメージできていれば無詠唱もいけるっぽい。
というか、詠唱内容は言いやすいようにアレンジして良いようだ。
イルマリネン家お得意の火の魔法については、ろうそくに火をともすところからスタートし、入門本は火の玉を飛ばすことで終わっている。
日記を見た感じだと、セシリアはあまり魔法は得意ではなさそうだったが、火の玉のページはチェックがついているから一応できるのだろう。
ただ、「どーんって感じだった」「うまく当たらなかった」みたいなざっくりした感じで感想が書かれていたのがちょっと気がかりではあるのだが…

まあ、どうやら一番でついたらしいので、さっそく練習といこうじゃないか。
えーと、念のため詠唱しとく?
的も用意したし、それでは

「血によって命ず、いでよ火の玉!」

的に向かって手のひらを向けて唱えると、ジリっと手のひらから赤い物体が飛び出し…

ものすごい轟音と高さ5mほどの火柱と共に、的が砕け散った。
念のため屋外でやって良かったよ。
たった今着いたという様子の父が慌てて走って来る。

「セシル、何してるんだ!訓練はまずストレッチからといつも言っているじゃないか!」

…えっと、爆発させたことはOKなわけ?
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