6 / 26
5
しおりを挟む
昼食後。
そうして呼ばれた母の部屋。
さっきふんわり思い出した記憶を基に多少でも取り繕っておくか…
「お袋、入るよ」
ノックをしてからドアを開ける。
「どうぞ。こちらにおかけなさい、セシル。…いえ、エイドーロン。別の真名もあるのでしょう?何と呼べばよいか教えてくださるかしら。」
あー…
やっぱりこっちでもエイドーロンという分類は存在するのか。
ゲームではプレイヤーを「特殊な知識や才能を持ち、一族や街を発展させるもの」として分類して、まとめてエイドーロンと呼んでいたけど、定義は同じなのだろうか。
真名というのは『不可思議な幻想曲』では聞いたことが無かったが前世の名前のことを指しているんだろうか?
というか、こちらのエイドーロンはどこから知識を得ている?
もしかして私みたいな転生者…だったりして。
「お袋が嫌じゃなきゃそのままセシルでいいよ。あー…えーと、逆に、私もお母様とお呼びしたほうが良いでしょうか?真名というのは?」
娘の中身が突然変わった、なんて気持ちの折り合いがすぐにつくわけじゃないだろう。
私はさっきふわっとした記憶が入ってきた分それっぽく振舞えなくもないけど、丁寧に話したほうがいいんだろうか。
恐る恐る聞くと、張りつめていた母の雰囲気がふわっとしたものに変わる。
「いえ、あなたが良いならセシルのままの態度で構わないわ。その様子だと「記憶の欠片」は既に見つけているようだし。私の娘であることは変わらないから、楽にして。エイドーロンは、現世での名前のほかに別の記憶、そして真名と呼ばれる名前を持つと言われているわ。貴方にもあるのでしょう?」
「うーん、一応あるけど、先にこっちの世界ではエイドーロンはどういう扱いをされているか教えてもらえる?大変申し訳ないんだけど、セシルの記憶だといまいちはっきりしなくて…。記憶の欠片って?」
「エイドーロンについてまともに把握していないほど授業をさぼっていたの…?とはいえ、それは今言っても仕方がないことね。
エイドーロンは、研究者の間では異なる世界の知識を持つもの、別人格と融合したものとして扱われているわ。
複数の記憶の欠片を得ることで両人格の融合が完成すると言われているけど、記憶の欠片の数は人によって異なるらしいの。
あとは、各公国に一定数存在していて、エイドーロンの周りは富が動くと言われている。
ただし、学園卒業の半年前までは保護されるべき存在とされていて、報酬を支払って知識や能力を買い取ることは禁止されていると同時に、脅迫や誘拐などには重罰を科す法律となっているわ。」
そうして呼ばれた母の部屋。
さっきふんわり思い出した記憶を基に多少でも取り繕っておくか…
「お袋、入るよ」
ノックをしてからドアを開ける。
「どうぞ。こちらにおかけなさい、セシル。…いえ、エイドーロン。別の真名もあるのでしょう?何と呼べばよいか教えてくださるかしら。」
あー…
やっぱりこっちでもエイドーロンという分類は存在するのか。
ゲームではプレイヤーを「特殊な知識や才能を持ち、一族や街を発展させるもの」として分類して、まとめてエイドーロンと呼んでいたけど、定義は同じなのだろうか。
真名というのは『不可思議な幻想曲』では聞いたことが無かったが前世の名前のことを指しているんだろうか?
というか、こちらのエイドーロンはどこから知識を得ている?
もしかして私みたいな転生者…だったりして。
「お袋が嫌じゃなきゃそのままセシルでいいよ。あー…えーと、逆に、私もお母様とお呼びしたほうが良いでしょうか?真名というのは?」
娘の中身が突然変わった、なんて気持ちの折り合いがすぐにつくわけじゃないだろう。
私はさっきふわっとした記憶が入ってきた分それっぽく振舞えなくもないけど、丁寧に話したほうがいいんだろうか。
恐る恐る聞くと、張りつめていた母の雰囲気がふわっとしたものに変わる。
「いえ、あなたが良いならセシルのままの態度で構わないわ。その様子だと「記憶の欠片」は既に見つけているようだし。私の娘であることは変わらないから、楽にして。エイドーロンは、現世での名前のほかに別の記憶、そして真名と呼ばれる名前を持つと言われているわ。貴方にもあるのでしょう?」
「うーん、一応あるけど、先にこっちの世界ではエイドーロンはどういう扱いをされているか教えてもらえる?大変申し訳ないんだけど、セシルの記憶だといまいちはっきりしなくて…。記憶の欠片って?」
「エイドーロンについてまともに把握していないほど授業をさぼっていたの…?とはいえ、それは今言っても仕方がないことね。
エイドーロンは、研究者の間では異なる世界の知識を持つもの、別人格と融合したものとして扱われているわ。
複数の記憶の欠片を得ることで両人格の融合が完成すると言われているけど、記憶の欠片の数は人によって異なるらしいの。
あとは、各公国に一定数存在していて、エイドーロンの周りは富が動くと言われている。
ただし、学園卒業の半年前までは保護されるべき存在とされていて、報酬を支払って知識や能力を買い取ることは禁止されていると同時に、脅迫や誘拐などには重罰を科す法律となっているわ。」
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
推しと行く魔法士学園入学旅行~日本で手に入れた辞典は、異世界の最強アイテムでした~
ことのはおり
ファンタジー
渡会 霧(わたらい きり)。36歳。オタク。親ガチャハズレの悲惨な生い立ち。
幸薄き彼女が手にした、一冊の辞典。
それは異世界への、特別招待状。
それは推しと一緒にいられる、ミラクルな魔法アイテム。
それは世界を救済する力を秘めた、最強の武器。
本棚を抜けた先は、物語の中の世界――そこからすべてが、始まる。

【コピペ】を授かった俺は異世界で最強。必要な物はコピペで好きなだけ増やし、敵の攻撃はカットで防ぐ。え?倒した相手のスキルももらえるんですか?
黄舞
ファンタジー
パソコンが出来ない上司のせいでコピーアンドペースト(コピペ)を教える毎日だった俺は、トラックに跳ねられて死んでしまった。
「いつになったらコピペ使えるようになるんだ―!!」
が俺の最後の言葉だった。
「あなたの願い叶えました。それでは次の人生を楽しんでください」
そういう女神が俺に与えたスキルは【コピペ(カット機能付き)】
思わぬ事態に最初は戸惑っていた俺だが、そのスキルの有用性に気付き、いつのまにやら異世界で最強の存在になっていた。



せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー
ジミー凌我
ファンタジー
日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。
仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。
そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。
そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。
忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。
生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。
ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。
この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。
冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。
なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。


転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)
土岡太郎
ファンタジー
自分の先祖の立派な生き方に憧れていた高校生の少女が、ある日子供助けて死んでしまう。
死んだ先で出会った別の世界の女神はなぜか彼女を気に入っていて、自分の世界で立派な女性として活躍ができるようにしてくれるという。ただし、女神は努力してこそ認められるという考え方なので最初から無双できるほどの能力を与えてくれなかった。少女は憧れの先祖のような立派な人になれるように異世界で愉快で頼れる仲間達と頑張る物語。 でも女神のお気に入りなので無双します。
*10/17 第一話から修正と改訂を初めています。よければ、読み直してみてください。
*R-15としていますが、読む人によってはそう感じるかもしないと思いそうしています。
あと少しパロディもあります。
小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様でも投稿しています。
YouTubeで、ゆっくりを使った音読を始めました。
良ければ、視聴してみてください。
【ゆっくり音読自作小説】女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)
https://youtu.be/cWCv2HSzbgU
それに伴って、プロローグから修正をはじめました。
ツイッター始めました。 https://twitter.com/tero_oo
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる