転生したら脳筋姫に?!転生先ゲームの難易度が高すぎる件について~不可思議な幻想曲~

片上尚

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昼食後。
そうして呼ばれた母の部屋。
さっきふんわり思い出した記憶を基に多少でも取り繕っておくか…

「お袋、入るよ」

ノックをしてからドアを開ける。

「どうぞ。こちらにおかけなさい、セシル。…いえ、エイドーロン。別の真名もあるのでしょう?何と呼べばよいか教えてくださるかしら。」

あー…
やっぱりこっちでもエイドーロンという分類は存在するのか。
ゲームではプレイヤーを「特殊な知識や才能を持ち、一族や街を発展させるもの」として分類して、まとめてエイドーロンと呼んでいたけど、定義は同じなのだろうか。
真名というのは『不可思議な幻想曲ファンタジア』では聞いたことが無かったが前世の名前のことを指しているんだろうか?
というか、こちらのエイドーロンはどこから知識を得ている?
もしかして私みたいな転生者…だったりして。

「お袋が嫌じゃなきゃそのままセシルでいいよ。あー…えーと、逆に、私もお母様とお呼びしたほうが良いでしょうか?真名というのは?」

娘の中身が突然変わった、なんて気持ちの折り合いがすぐにつくわけじゃないだろう。
私はさっきふわっとした記憶が入ってきた分それっぽく振舞えなくもないけど、丁寧に話したほうがいいんだろうか。
恐る恐る聞くと、張りつめていた母の雰囲気がふわっとしたものに変わる。

「いえ、あなたが良いならセシルのままの態度で構わないわ。その様子だと「記憶の欠片」は既に見つけているようだし。私の娘であることは変わらないから、楽にして。エイドーロンは、現世での名前のほかに別の記憶、そして真名と呼ばれる名前を持つと言われているわ。貴方にもあるのでしょう?」

「うーん、一応あるけど、先にこっちの世界ではエイドーロンはどういう扱いをされているか教えてもらえる?大変申し訳ないんだけど、セシルの記憶だといまいちはっきりしなくて…。記憶の欠片って?」

「エイドーロンについてまともに把握していないほど授業をさぼっていたの…?とはいえ、それは今言っても仕方がないことね。

エイドーロンは、研究者の間では異なる世界の知識を持つもの、別人格と融合したものとして扱われているわ。
複数の記憶の欠片を得ることで両人格の融合が完成すると言われているけど、記憶の欠片の数は人によって異なるらしいの。

あとは、各公国に一定数存在していて、エイドーロンの周りは富が動くと言われている。
ただし、学園卒業の半年前までは保護されるべき存在とされていて、報酬を支払って知識や能力を買い取ることは禁止されていると同時に、脅迫や誘拐などには重罰を科す法律となっているわ。」
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