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あー…どうしようかなぁ…
ありゃ完全にバレてるよなぁ…
こっちの世界の母に、昨日までと中身が別人であることが完全にバレてる、と思うともうとても気が重い。
見た目はギリ少女ぐらいの年齢とはいえ、中身は文明社会で暮らしていたアラサーOLだ。
多少の修羅場はくぐったことがあっても、これは未知の状況。
自室について一人でのたうちながらどうしようもないと腹をくくりかけたところに、机の上にある一冊の本を見つけた。
…これは日記帳?
パラパラとめくっていくと、それは貴族ご令嬢としては目を覆うような内容が書いていた。
今日は家庭教師さぼって親父と剣の特訓をしていた、とか、召使のクルトの背中にカエルを入れてやった、とか、庭の木のてっぺんはやっぱり落ち着く、とか、お袋(母)に勉強しないのを怒られて逃げだした、とか…諸々。
そして最後のページは「来週はいよいよ15歳の誕生日。学園にはどんな強者がいるかワクワクする。訓練に力を入れなければ!」って…
どんな脳筋だったんだよ…
呆然としていると、日記帳がふわっと光り、私も柔らかい光に包まれる。
驚いていると、幼少期から今まで、家族でピクニックをした思い出やちょっとした喧嘩をした時の思い出やらの記憶がぼんやりと流れ込んできた。
あらためてこの子は愛されていたんだなぁと実感していると、部屋がノックされておじいちゃん一歩手前の家庭教師が入ってきた。
「セシリア様。今日は授業を受けていただけるとのことでしたが…」
授業から逃げ出すことがデフォルトだったせいで、家庭教師も訝し気だ。
「ああ、先生。頼むよ。」
とりあえずまずは授業を受けよう。
そこからわかることもきっとあるはずだ。
===
家庭教師の授業はとてもわかりやすかった。
というか、本来のセシリアであればこのぐらいまでわかりやすく説明しなければ通用しなかったのだろう。
今日の内容は貴族について。
中央を治める帝家は火を司る赤のイルマリネン、水を司る青のアハティ、雷を司る黄のウッコ、氷を司る紫のトゥオネタル、風を司る緑のミエリッキの5つの各所属公国からの推薦により皇帝候補の5人が選ばれ、その中から選ばれる。
各公国の爵位は、
公爵>侯爵>伯爵>子爵>男爵>準貴族>平民
となっており、とりまとめをしている公爵家の人間が大公として国を治めている。
そのため、各国の公爵家の子息令嬢は王子様お姫様扱いされていることが多い。
…私が姫様と呼ばれる由来だ。
あとは5年に1度選帝侯会議があること。
皇帝に選ばれる条件は伯爵家以上の出で、学園卒業以上の各貴族家の当主および大公「ではない」こと。
うん、一応『不可思議な幻想曲』で知っていた内容ではあるが本当にややこしい…。
5つの所属公国を分けることで競わせる=対抗心から課金を煽るという『不可思議な幻想曲』の仕様から仕方なくはあるが、本当に混乱する。
とりあえずは復習、ということで、前世知識のボロを出さないように気を付けて不明点を質問しているうちに時間となった。
ありゃ完全にバレてるよなぁ…
こっちの世界の母に、昨日までと中身が別人であることが完全にバレてる、と思うともうとても気が重い。
見た目はギリ少女ぐらいの年齢とはいえ、中身は文明社会で暮らしていたアラサーOLだ。
多少の修羅場はくぐったことがあっても、これは未知の状況。
自室について一人でのたうちながらどうしようもないと腹をくくりかけたところに、机の上にある一冊の本を見つけた。
…これは日記帳?
パラパラとめくっていくと、それは貴族ご令嬢としては目を覆うような内容が書いていた。
今日は家庭教師さぼって親父と剣の特訓をしていた、とか、召使のクルトの背中にカエルを入れてやった、とか、庭の木のてっぺんはやっぱり落ち着く、とか、お袋(母)に勉強しないのを怒られて逃げだした、とか…諸々。
そして最後のページは「来週はいよいよ15歳の誕生日。学園にはどんな強者がいるかワクワクする。訓練に力を入れなければ!」って…
どんな脳筋だったんだよ…
呆然としていると、日記帳がふわっと光り、私も柔らかい光に包まれる。
驚いていると、幼少期から今まで、家族でピクニックをした思い出やちょっとした喧嘩をした時の思い出やらの記憶がぼんやりと流れ込んできた。
あらためてこの子は愛されていたんだなぁと実感していると、部屋がノックされておじいちゃん一歩手前の家庭教師が入ってきた。
「セシリア様。今日は授業を受けていただけるとのことでしたが…」
授業から逃げ出すことがデフォルトだったせいで、家庭教師も訝し気だ。
「ああ、先生。頼むよ。」
とりあえずまずは授業を受けよう。
そこからわかることもきっとあるはずだ。
===
家庭教師の授業はとてもわかりやすかった。
というか、本来のセシリアであればこのぐらいまでわかりやすく説明しなければ通用しなかったのだろう。
今日の内容は貴族について。
中央を治める帝家は火を司る赤のイルマリネン、水を司る青のアハティ、雷を司る黄のウッコ、氷を司る紫のトゥオネタル、風を司る緑のミエリッキの5つの各所属公国からの推薦により皇帝候補の5人が選ばれ、その中から選ばれる。
各公国の爵位は、
公爵>侯爵>伯爵>子爵>男爵>準貴族>平民
となっており、とりまとめをしている公爵家の人間が大公として国を治めている。
そのため、各国の公爵家の子息令嬢は王子様お姫様扱いされていることが多い。
…私が姫様と呼ばれる由来だ。
あとは5年に1度選帝侯会議があること。
皇帝に選ばれる条件は伯爵家以上の出で、学園卒業以上の各貴族家の当主および大公「ではない」こと。
うん、一応『不可思議な幻想曲』で知っていた内容ではあるが本当にややこしい…。
5つの所属公国を分けることで競わせる=対抗心から課金を煽るという『不可思議な幻想曲』の仕様から仕方なくはあるが、本当に混乱する。
とりあえずは復習、ということで、前世知識のボロを出さないように気を付けて不明点を質問しているうちに時間となった。
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