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アリスティア、ジルドアまで旅をする

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そうして訪れた魔道具屋。
交易の要ともなる街の店舗だけあって、かなり大きくしっかりとした感じの店構えだ。
ショーウィンドウにも前に聞いた両手鍋、大きな箱、車輪のついているもの、透明なガラスのような板のついた箱など色々ある。
……王都では子どもの見た目からまともに対応してもらえなかった苦い経験があったが、今回はイーグが良い具合に保護者の役割を果たしてくれるだろう。
とりあえず奇妙な形の魔道具達をぐるりと見回し、片っ端から使い道を聞いていく。

「イーグ、お店の方にあの箱とその機械っぽいやつと、あっちにある鏡と、そのポーチと……」

「アリス様、いっぺんに言われては私も覚えきれません……。お店の者を呼んで参りますので少々お待ちを。」

そう言ってイーグは店の奥の方に向かい、戻ってくるとちょっと痩せ気味のオジサンを連れてきた。
イーグを待っていた連れの私の装いを見て、なんだ、子どものおもちゃ目当てか、と言うように目を細められる。

この日のために多少はお小遣い貯めてたんだから……!

「で?どれについて説明すればいいっすかね?」

「こちらにある箱は?」

「ああ、これは水の魔石をはめて中で循環させることで、食べものを冷やすのに使うやつっす。」

「その機械は?」

「そいつはものを石のサイズとかを分別する時に使う新型っす。風の魔石を入れると、中のふるいが動いて自動的に粒のサイズを揃えてくれるっす。」

他にも気になるものをイーグを通してどんどん聞いていく。
いくつか買ってもいいかなぁというものをリストアップした。
そして残るは……

「あちらの鏡は?」

「ありゃかなりお高いっすよ?時の魔石をはめると、映したものを記録できるので肖像画代わりに使う人もいるっす。とはいえ、絵の方が色々ごまかせて都合が良いと思うんすが……」

お!あれがあればお姉様の晴れ姿を記録できる……?

「あれの小さいものは無いのかしら?」

「嬢ちゃん、ホントにお高いんだぜ?このちっちゃいやつは同じ効果があるが、それでもこの値段だ。」

そう言って見せられた手鏡サイズのものは、値札を見ると普通の暮らしをしている人の1ヶ月のお給料ぐらいする。
買えない値段ではないが、もうちょっとどうにかなるならどうにかしたい。

「イーグ、大きい鏡は無理でも、これなら何とかならないかしら?」

小声で耳打ちすると、イーグは

「店主、ちょっと」

とだけ言い残し店の奥の方に引っ込んで行った。
……値切り交渉が上手くいくように祈ろう。
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みんなの感想(13件)

うめつばめ
2023.06.29 うめつばめ

ずっと続きが読みたくて 待っています。

解除
八神 風
2019.04.19 八神 風

69ページ

アリスならサクサク惚れる
         掘れる です

片上尚
2019.04.19 片上尚

ありがとうございます、2点とも修正しました。

解除
八神 風
2019.04.19 八神 風

35ページ 冒頭の

来ている って 着ている

解除
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