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アリスティア、魔法について考える

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やっと、やっと明日は魔法珠がもらえる…!
ロミア様からもらった指輪の魔宝珠は、他の属性を阻害する効果は特になかったので「じゃ、やり切れてない土、残りは金と火、しっかり練習しようね~」というジュピの号令のもと、次の日からはびっちりと魔法の訓練が行われた。
脱走で事件に巻き込まれたこともあり、真面目に頑張りましたよ…辛かった…
何が辛かったって?
マーズもヴィーナも、キュリー並みに擬音語しか使わないことが本当につらみの極み。
しかもこの2人、キュリーのようなおっとりした感じじゃなくて、もう一刻も早く次の段階に進めとばかりにプレッシャーをかけてくるのだ。
マーズの指導中には何回自慢の庭を燃やしかけたかわからない。
たまたま通りがかったジェスが消し止めてくれたり、キュリーが不穏な気配を察知していつの間にか顕現して待機してくれたりというフォローが無ければ、王城の庭のあちこちが焦土と化していただろう。
ヴィーナの指導はもうとにかく厳しかった。
というか、そもそも土魔法で掘り起こしたものから金属を抽出し、それを加工する、という複合作業をいきなりやらせようとしてもできるわけがない。
そもそも土魔法だってビギナーなのに。
おかげで初日は両手に乗るほどの謎の合金を作り上げた時点で倒れてしまった。
そして倒れる瞬間まで魔素を練っていたせいで、合金はなぜか手のひらサイズの奇妙なオブジェになってしまった。
…でも、そんな辛い日々も今日で終わりだ!

そしてやっと迎えた9歳の誕生日。
朝起きると私の腕には、緑赤茶金青、そして銀色の透明感がある宝石のような素材が精巧な透かし細工にされた、幅5cm薄さ数ミリほどの腕輪が嵌っていた。
これが待ちに待った魔法珠、というものなのか…

「アリス、お誕生日おめでとう~。どう?魔宝珠は。」

「見た目に反して重くないのね。ごつごつもしないし。」

「まあ、元はと言えば魔素からできてるからね~。」

あの事件後も、部屋に常駐しているのは、相変わらずジュピだけだ。
他のみんなは顕現してなかったり他のところに行っていたりと自由だ。
呼べばすぐに来てくれるので不自由はしていない。

「じゃ、魔宝珠が贈られたということで、今日から魔宝珠を使った魔法の使い方を練習しようか~」

「え?」

辛い日々、終わりじゃないんかい!
まあ、ベラさんとソネスさんの結婚式に呼ばれてほっこりしたり、息抜きにお菓子を作ったり、ちょっとした機器を開発したりはしていたが、それからしばらくはまた魔法漬けの日々を送ったのだった。

=====
to be continued…
ファルメディア編はこれで完結です。
ありがとうございました。
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