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アリスティア、魔法について考える
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「全くもう、予定外すぎるのよ…」
気が付くとそこはロミア様の世界だった。
いつもと違うのは、私だけではないこと。
そう、さっきまで一緒にいた全員がロミア様の白い世界に居たのだ。
「ロミア様、お久しゅうございます。」
セーニャ様が跪き、ソネスさんとベラさんがそれに倣う。
「セーニャ、いつもお勤めご苦労様。よくやってくれているわ、あなたはね。」
ロミア様はそう言った後、ジトっとした目をソネスさんに向ける。
「ソネス。一番身近な人を教え導けなくてどうするのよ。」
「…大変面目ありません。」
「まあヤツの仕業なら仕方なくはあるけど。でもその指輪で加護しておけば守りきれた話だと思うけど。」
「え?」
「使徒との共鳴にばかり使ってたみたいだけど、私が使徒にした人間は私自ら導いてるの。あんた後追いしてどうするのよ。今後は迷える人に導きを与えるために使いなさい。」
「か、かしこまりました。」
「まったく、そんなんだから…まあいいわ、あとは自分で何とかしなさい。」
ん?なんか含みがある…?
ソネスさんを見ると、動揺したように目を白黒している。
そしてロミア様はゆっくりとベラさんに目を移す。
「ヤツの器になってしまうと、私の世界に呼びにくくなってしまうのよ。本当はもっと早くに会えるはずだったんだけど。アリスのおかげでやっと会えたわ。あなたには苦労を掛けたわね。」
ロミア様はあまりの驚きに口をぽかんと開けたままのベラさんに話しかけながら近づき、ソネスさんのとそっくりな指輪を渡す。
「ベラ、あなたの使命はソネスを支え、そしてよりこの国、そして神殿に尽くすこと。その指輪さえあれば、二度と悪しきものの器となることは無いから安心して良いわ。」
「あ、ありがとうございます…!!!」
「セーニャ、人間の都合的なあれこれはうまくやっておいて。」
「かしこまりました。」
セーニャ様もほっとしたようににっこり頷く。
「アリスも予定外だったのにうまくやってくれて助かったわ。ちょっと今回の対応で色々やらなきゃならないことが増えたから、美味しいものの差し入れよろしく。」
「はい、わかりました。」
おとなしく返事をしておく。
にしても、神殿の祭壇にある大量のお供え物は消費しなくていいんだろうか。
「あ、神殿にも降りやすくなったから祭壇のものももらっとくわね。最近なんだか嫌な感じするから行きたくないな~と思ったら結界張ってたなんて、アイツどれだけ狡猾なのかしら。」
え?
「ロミア様結界には気付いてなかったんですか?」
自分のおひざ元なのにそれでいいんだろうか。
「私への影響は最低限にしてたんじゃないかしら。」
「あとは、ロミア様が下界にできる干渉自体が限られているから、ロミア様より精霊側に対して強い結界だったんだと思うよ~。魔法さえ使えなくしちゃえば何とかなるって思ったのかも~。」
なるほど、そんな器用なことが可能なのか。
「よし、これでおおよそ解決ね。あとのことはうまくやって。」
ロミア様がそう言うと、また辺りは強い光に包まれた。
気が付くとそこはロミア様の世界だった。
いつもと違うのは、私だけではないこと。
そう、さっきまで一緒にいた全員がロミア様の白い世界に居たのだ。
「ロミア様、お久しゅうございます。」
セーニャ様が跪き、ソネスさんとベラさんがそれに倣う。
「セーニャ、いつもお勤めご苦労様。よくやってくれているわ、あなたはね。」
ロミア様はそう言った後、ジトっとした目をソネスさんに向ける。
「ソネス。一番身近な人を教え導けなくてどうするのよ。」
「…大変面目ありません。」
「まあヤツの仕業なら仕方なくはあるけど。でもその指輪で加護しておけば守りきれた話だと思うけど。」
「え?」
「使徒との共鳴にばかり使ってたみたいだけど、私が使徒にした人間は私自ら導いてるの。あんた後追いしてどうするのよ。今後は迷える人に導きを与えるために使いなさい。」
「か、かしこまりました。」
「まったく、そんなんだから…まあいいわ、あとは自分で何とかしなさい。」
ん?なんか含みがある…?
ソネスさんを見ると、動揺したように目を白黒している。
そしてロミア様はゆっくりとベラさんに目を移す。
「ヤツの器になってしまうと、私の世界に呼びにくくなってしまうのよ。本当はもっと早くに会えるはずだったんだけど。アリスのおかげでやっと会えたわ。あなたには苦労を掛けたわね。」
ロミア様はあまりの驚きに口をぽかんと開けたままのベラさんに話しかけながら近づき、ソネスさんのとそっくりな指輪を渡す。
「ベラ、あなたの使命はソネスを支え、そしてよりこの国、そして神殿に尽くすこと。その指輪さえあれば、二度と悪しきものの器となることは無いから安心して良いわ。」
「あ、ありがとうございます…!!!」
「セーニャ、人間の都合的なあれこれはうまくやっておいて。」
「かしこまりました。」
セーニャ様もほっとしたようににっこり頷く。
「アリスも予定外だったのにうまくやってくれて助かったわ。ちょっと今回の対応で色々やらなきゃならないことが増えたから、美味しいものの差し入れよろしく。」
「はい、わかりました。」
おとなしく返事をしておく。
にしても、神殿の祭壇にある大量のお供え物は消費しなくていいんだろうか。
「あ、神殿にも降りやすくなったから祭壇のものももらっとくわね。最近なんだか嫌な感じするから行きたくないな~と思ったら結界張ってたなんて、アイツどれだけ狡猾なのかしら。」
え?
「ロミア様結界には気付いてなかったんですか?」
自分のおひざ元なのにそれでいいんだろうか。
「私への影響は最低限にしてたんじゃないかしら。」
「あとは、ロミア様が下界にできる干渉自体が限られているから、ロミア様より精霊側に対して強い結界だったんだと思うよ~。魔法さえ使えなくしちゃえば何とかなるって思ったのかも~。」
なるほど、そんな器用なことが可能なのか。
「よし、これでおおよそ解決ね。あとのことはうまくやって。」
ロミア様がそう言うと、また辺りは強い光に包まれた。
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