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アリスティア、魔法について考える

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「私を、神殿に入れる?」

どういうこと?
神殿には何回か来ているけど。

「神官としてロミア様にお仕えしていただく、ということですね。しかし学院の神学科卒業後とは思わなかったのですか?それに王族が神殿に入られるのであれば、司祭以上は確実となりますが…」

セーニャ様も不思議そうに言う。

「急げ、と言われたのです。彼女は普通の神官ではなく、特殊な巫女だから、年齢は関係ない、と。それで、お話をしている最中になんだかどんどん姫様に対して、その…」

「そこはあんたの言う黒い少年とやらの手が入ったんだと思うぜ。」

言いよどむベラさんに対し、サンが指摘する。

「そいつの好物は人間の強い感情、中でも妬みや嫉み、憎しみは大好物だ。強い感情であればあるほど乗っ取りやすくなるしな。」

「長年かけて自身の気を馴染ませてただろうし、結界もあったからね~。ただ、神殿という場所柄ロミア様の影響も強いし、相手もアリスだったからそこまで強い力は使えなかったみたいだけどさ~。」

「どれだけロミア様の干渉を結界でさえぎったとしても、あの石像が中心にありゃあ限界があるだろ。」

「聖水や聖石もたっぷりため込んでるしね~」

サンとジュピは納得しあってるけど、その気ってものがいまいちどういう影響なのか…
まあいいや。あとで聞こう。

「精霊様たちにお聞きしたいのですが、そうするとベラはやはりその、悪しきもの、黒い少年とやらに操られていた、ということでしょうか。」

「そうなるね~。」

「そんぐらい気合で跳ね飛ばせって言いたいとこだが、ヤツは狡猾だしな。」

「黒魔法を使って悪いことはしてなさそうだしね~。」

「そうすると、ベラ自身に罪は…」

「ん~、全くないとは言わないけど、情状酌量の余地はあるかな~」

心配そうに尋ねるソネスさんと応える精霊たち。
確かにいきさつとかを聞いていると同情してしまう部分もある。
私が黙って聞いていると、セーニャ様がソネスさんたしなめるように言う。

「ソネス、操られていたとはいえ王族を害そうとした事実は残ります。」

「セーニャ様、しかしこの神殿に彼女は必要です!」

ソネスさんが強い口調で言う。

「私が、私が今まで神職について30年以上、どれだけ彼女に支えられてきたことか…今司教という重責を担えているのも、彼女のおかげが大きいのです。」

「ソネス、そんな…」

ベラさんは驚いて絶句している。
あれ?
でもこの問題、私が黙っていたら何とかなるんじゃない?

「あの、セーニャ様、ちなみにこの話はどのぐらいの方がご存知なんでしょうか?」

「神殿側は、ここにいる以外は司教の2人だけです。王城側にはわかり次第詳細を伝えることとしていて、姫様が神殿を救われた、という大まかな功績だけお伝えしてあります。神殿にとっても大きな不祥事となりますので…アリス姫様には恐ろしい思いをさせてしまい、大変申し訳ございません。遅ればせながら責任者としてお詫び申し上げます。」

そう言ってセーニャ様が頭を下げ、ソネスさんとベラさんも慌ててそれに倣う。

「いえ、私は精霊たちやロミア様に従っただけです。それに使命の一部でもありますので…あまり大ごとにしないようにできないでしょうか。」

「そのようなこと……許されるのでしょうか……」

ベラさんがまたはらはらと涙を流す。
と、その瞬間、あたりが真っ白な光で包まれた。
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