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アリスティア、魔法について考える
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廊下を経由しロミア様の石像が安置されている祭壇の間の正面扉を開けると、そこにはすでにずらりと神殿関係者が整列していた。
ソネスさんは同じデザインの服を着たお爺さんとお婆さんに挟まれている。
彼だけしゃきっとしたナイスミドル、という感じなので、若く出世したのだろうか。
そしてその前には紺色に金糸で刺繍の入ったお婆さんが…
あれ?この人ソネスさんとベラさんと一緒に王城に来ていた人だ。
場所と衣装的にはソネスさんより偉そう…ということは大司教様?
大司教(?)と司教以外の神殿関係者の衣装は偉いほど濃い色になっているらしく、右側と左側でグリーンと青色のグラデーションで並んでいる。
何か派閥とか役割分担とかなんだろうか。
中央をジュピにエスコートされながらしずしずと進んでいくと、マーシュお兄様が待っていた。
「アリス、無事でよかった。」
眉を下げてほっとしたように言うお兄様に罪悪感で心が痛い。
「ご心配おかけしごめんなさい。」
「ロミア様からの使命じゃ仕方がないよ。」
まさか魔法の練習に飽きて城を抜け出したなんて言えない。
だがしかし美形イケメンの心配そうな顔に良心が…
「さ、行こう。精霊様たちがお待ちだよ。」
何かの折にきっちりお詫びしよう。
右にジュピ、左にマーシュお兄様を伴って祭壇の前まで進むと、ロミア様の石像の前にはマーズ、ヴィーナ、サン、サタ、キュリーとジュピ以外の精霊たちが勢ぞろいしていた。
「じゃ、僕はあっちだね~」
ジュピがふわっと飛んで右端、キュリーの隣に収まる。
サンがすっと右手を上げて話し出す。
マリクお兄様が跪いたので、私もそれに倣う。
「我ら精霊は古き盟約に従い、大精霊様の名代としてアリスティア王女と契約を交わした。我らが大神である女神ロミア様からも許可を得、今後王女の側に侍ることとなる。」
サンが厳かに話し出すと、キラキラとしたエフェクト(に見える魔素)が私たちの周りを包んだ。
「そして女神ロミア様よりこの地の民に神託があった。ファルメディアは大審判より長きに渡り誠実にあろうとした。今を以てその謹慎を解く。今後はより豊かに国を富ませると良かろう。」
周りからワッと歓声が上がる。
すすり泣いている人もいるようだ。
「ただし」
サンが人々を制する。
「再び悪しきものに惑わせられるな。己が心、周囲、全てに対し誠実で、良き人であるよう努力せよ。女神ロミア様は良き民である限り、このファルメディアの大地に恵みをもたらしてくださる。身を律し、励むが良い。」
人々はサンのことを伏し拝んでいる。
「マーシュ=フィル=ファルディウス」
「は、ここに。」
「次代を担う若き王太子よ。我らの祝福を与えようぞ。王とともにより一層国政に精を出すがいい。」
「ありがたき幸せ。」
お兄様がキラキラと光りだしたと思ったら、肩にいつも小人姿の時の精霊たちよりさらに小さな黄色い帽子の精霊が乗っている。
多分あの子がジュピの言っていた強い小精霊だろう。
「他の親族にも追って祝福の守りを与える。王城にて待つが良い。以上だ。」
部屋全体がものすごくキラキラしたと思ったら、精霊たちはいつものサイズに戻って私のところに飛んできた。
もしかしてもう周りから見えなくなっているんだろうか。
しばらくの間人々は平伏していたが、やがて徐々に喜びの声を上げ始め、その場はいつの間にかお祭り騒ぎのようになっていた。
ソネスさんは同じデザインの服を着たお爺さんとお婆さんに挟まれている。
彼だけしゃきっとしたナイスミドル、という感じなので、若く出世したのだろうか。
そしてその前には紺色に金糸で刺繍の入ったお婆さんが…
あれ?この人ソネスさんとベラさんと一緒に王城に来ていた人だ。
場所と衣装的にはソネスさんより偉そう…ということは大司教様?
大司教(?)と司教以外の神殿関係者の衣装は偉いほど濃い色になっているらしく、右側と左側でグリーンと青色のグラデーションで並んでいる。
何か派閥とか役割分担とかなんだろうか。
中央をジュピにエスコートされながらしずしずと進んでいくと、マーシュお兄様が待っていた。
「アリス、無事でよかった。」
眉を下げてほっとしたように言うお兄様に罪悪感で心が痛い。
「ご心配おかけしごめんなさい。」
「ロミア様からの使命じゃ仕方がないよ。」
まさか魔法の練習に飽きて城を抜け出したなんて言えない。
だがしかし美形イケメンの心配そうな顔に良心が…
「さ、行こう。精霊様たちがお待ちだよ。」
何かの折にきっちりお詫びしよう。
右にジュピ、左にマーシュお兄様を伴って祭壇の前まで進むと、ロミア様の石像の前にはマーズ、ヴィーナ、サン、サタ、キュリーとジュピ以外の精霊たちが勢ぞろいしていた。
「じゃ、僕はあっちだね~」
ジュピがふわっと飛んで右端、キュリーの隣に収まる。
サンがすっと右手を上げて話し出す。
マリクお兄様が跪いたので、私もそれに倣う。
「我ら精霊は古き盟約に従い、大精霊様の名代としてアリスティア王女と契約を交わした。我らが大神である女神ロミア様からも許可を得、今後王女の側に侍ることとなる。」
サンが厳かに話し出すと、キラキラとしたエフェクト(に見える魔素)が私たちの周りを包んだ。
「そして女神ロミア様よりこの地の民に神託があった。ファルメディアは大審判より長きに渡り誠実にあろうとした。今を以てその謹慎を解く。今後はより豊かに国を富ませると良かろう。」
周りからワッと歓声が上がる。
すすり泣いている人もいるようだ。
「ただし」
サンが人々を制する。
「再び悪しきものに惑わせられるな。己が心、周囲、全てに対し誠実で、良き人であるよう努力せよ。女神ロミア様は良き民である限り、このファルメディアの大地に恵みをもたらしてくださる。身を律し、励むが良い。」
人々はサンのことを伏し拝んでいる。
「マーシュ=フィル=ファルディウス」
「は、ここに。」
「次代を担う若き王太子よ。我らの祝福を与えようぞ。王とともにより一層国政に精を出すがいい。」
「ありがたき幸せ。」
お兄様がキラキラと光りだしたと思ったら、肩にいつも小人姿の時の精霊たちよりさらに小さな黄色い帽子の精霊が乗っている。
多分あの子がジュピの言っていた強い小精霊だろう。
「他の親族にも追って祝福の守りを与える。王城にて待つが良い。以上だ。」
部屋全体がものすごくキラキラしたと思ったら、精霊たちはいつものサイズに戻って私のところに飛んできた。
もしかしてもう周りから見えなくなっているんだろうか。
しばらくの間人々は平伏していたが、やがて徐々に喜びの声を上げ始め、その場はいつの間にかお祭り騒ぎのようになっていた。
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