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アリスティア、魔法について考える

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「ここ、端っこみたいだぜ。」

あっという間に戻ってきたサンが言う。
本人曰く、「光の速さで調べたからな!」とのこと。
比較的隔離された場所にあるようで、近辺に人気は無かったらしい。
そしてこの精霊、ぐう有能。
なんと地図まで見つけて、かつ覚えて、かつ地下室の壁に映し出している。
お前はプロジェクターか!
しかも近辺だけは人間(悪魔に操られていないらしい)の位置もマッピングしてある。
えーと、こっちの世界にはこんな仕組み無いと思うんだけど…
まあいい、全部無事に終わってから聞けばいいや。

「じゃあ、さっきベラさんがいた部屋は?」

「そりゃ、ここだと思うぜ。」

地図を見るとこの神殿は「田」みたいな形に大きな通路が走っていて、そこから枝分かれしているみたいだ。
ロミア様の石像があったのは中央で、現在が右上の角。

「ちなみにさっきベラさんがいたのは?」

「こっちだ。」

サンがさしてるのは左上の角。
…ということは。

「さっきのあれ、結界石とやらだったんじゃない?」

「なんじゃそりゃ。」

「ロミア様が、神殿の四方に結界石があるからそれを壊せって。」

いや、ロミア様がその見た目とか大きさとか教えてくれれば全く問題なかったんだけどさ。

「お前、またロミア様に会ってたのか?よくまぁこんな気の濁ったところで…」

「気?」

「魔素みたいなもんだ。」

「へー、そんなのもあるんだ。」

「そのうちジュピからでも聞いとけ。で、それを壊せばいいって?」

「そう、指輪があればなんとかなるって。」

「さっきの状況であれだけできるなら、確かにその指輪の補助があればなんとかなるんじゃねぇか。まぁありゃ結構まがまがしい感じの貯め込んでたからアタリかもなぁ。お前の光で全部浄化されたっぽいけど。」

「え、そんなまがまがしいとかわかるんだったら最初から教えてよ。」

「うっせーな、あそこには本体がいたからいまいち鼻が利かなかったんだよ。」

まがまがしいかどうか、鼻で判断するの…?

「じゃあとりあえず最初にここの上の部屋でも探してみるか?」

「そうだね、見つかればラッキーだし、無ければ光の速さなサンに探してもらえばいいし。」

「ちっ、めんどくせぇなぁ…だから嫌だったんだよ、こんな役目…」

ぶつくさ言うサンはスルーして。

「よし、いくよー!」

扉に鍵がかかっていないのはさっきのうちに確認済み。
私たちはそーっと石造りの部屋を抜け出した。
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