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アリスティア、魔法について考える

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「お前練習しなくていいのか?」

「あ、そっか。」

勢いでサンが全部浄化してしまいそうだったが、声をかけられてふと我に返る。

「光で包み込めばいいの?」

「光というより悪ぃもん吹き飛べ!って気合な。」

やっぱり気合なのか。
とりあえず封鎖していた岩壁の逆側、10メートルぐらい先に居た男性職員がこちらを振り返り、ゾンビのように歩いてきたのでそちらに向けて手を向ける。
悪いもの吹き飛べ、ということは浄化のはずだから、黒い霧が光に包まれて消し飛ぶイメージで魔素を練る。
野球ボールサイズになったので、とりあえず男性に向かって(飛んでいくように魔素にも意識し)投げつけてみた。


「あ」
「あちゃー…」

ゴチン!とものすごい音がして、男性が昏倒した。
固形物になっていたっぽい。

「あれお前、浄化の塊になってるから、ものすごい激痛だったと思うぞ。」

「攻撃力的には合格?」

「まぁ、雑魚悪魔には聞くだろうけど本体はどうだかな。」

「じゃあどうすればいいの?」

「その塊、手繰り寄せろ。」

指示された通り手元に戻す。
あ、端っこがちょっとだけ黒くなってる。

「それ、こいつの上に置いて、つつみこめ。」

なるほど、再利用するのか。

「わかったわ。」

魔素塊を男性の上に置いて、ヴェールのように広がり男性を包むイメージをする。
あ、なんかヴェールというよりスライムっぽい。
ついでにさっき魔力塊が当たったおでこも治りますように、と思いを込める。
すると、男性が気が付いた。
眼の色も赤から青になっているので、きっと元の色に戻っているのだろう。

「はっ!私は何を…」

「良かった、正気に戻ったんですね?」

「ええと…」

悪魔になっていた期間の記憶はないんだろうか?

「ちょっと申し訳が無いんですが、ロミア様の石像の間まで戻っていていただけますか?」

「ア、 アリスティア姫様!かしこまりました!」

男性は慌てて駆け去っていく。

「じゃあ最初から、あんな感じで本体を包むイメージにすれば大丈夫?」

「おう、それで問題ないと思うぜ」

小部屋から徐々にあふれ出す黒い霧を散らしながらサンが返答する。
一応奥の方を確認するともう一人悪魔に操られている人が見えたので、その人も浄化(今度は最初からスライムを投げつけるイメージでやった)し、いよいよベラさんがいた小部屋、黒い霧の発生源の扉を開いた。
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